【中学受験】志望校選択と、来年の中学受験予想

 栄光ゼミナールは、首都圏を中心に6万人超の生徒を擁す大手学習塾だ。同塾の受験指導に続き、中学受験の動向について、広報室 進学情報担当 課長の山中亨氏に聞いた。

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栄光ゼミナール 広報室 進学情報担当 課長 山中亨 氏
  • 栄光ゼミナール 広報室 進学情報担当 課長 山中亨 氏
 栄光ゼミナールは、首都圏を中心に6万人超の生徒を擁し、今年で30周年を迎える大手学習塾だ。同塾の受験指導に続き、中学受験の動向について、広報室 進学情報担当 課長の山中亨氏に聞いた。

Q. 志望校の選択は何年生から始めるのがよいでしょうか?

 「5年生から」と言われる時代もありましたが、今は4年生から始めたほうがいいのではないでしょうか。4年生の時点で第一志望校を具体的に決めるところまではいかなくとも、「中学受験でこういう学校に入りたいな」というイメージを作り、実際の文化祭や体育祭を経験しながら「この学校ならいいな」と絞り込んでいくくらいのペースが必要でしょう。5年生になると併願校も見なければいけませんし、6年生なってから探して過去問対策を始めるのでは間に合いませんから。「6年生2学期の学校説明会は、願書を揃えるためのもの」と考えたほうがいいでしょう。

 ここ数年、「どこでもいいからとりあえず受験する」という“無駄打ち”をするご家庭が減っています。早めに学校を見て回って、ご家庭の意向に沿う学校に絞り込むという流れが主流になりつつあり、これは、低学年の頃から学校見学等に足を運ばれているご家庭が多いということの表れかもしれません。

Q. ここ数年で志望校の選定傾向に変化はありますか?

 どのご家庭も将来を意識して学校を選んでいますので、判断材料となるのはやはり大学の合格実績というのが率直なところです。そのため、大学合格実績のよい学校や大学附属校に人気が集まるという傾向が若干見てとれます。

 また、「第一希望は私立だけど、それ相応のお金がかかるから公立も受けてみよう」、あるいは「第一志望は公立だけれど不合格になって地元の学校に行きたくないから私立も受けておこう」といったように、以前ははっきり棲み分けされていた私立と公立一貫が、融和する傾向が見られます。

 こうした背景には、「12歳でも学校を選べる」ことにご家庭が気付き始めた、ということがあるのでしょう。以前は「地元の中学に通って高校で受験する」というのが一般的でしたが、都内に11校もの公立一貫が生まれてきて、選択肢が広がってきています。

Q. 来年の中学受験はどうなると予想されていますか?

 「模擬試験の受験者数が減少気味」ということが言われています。私の試算でも、去年より2%くらい減少しているようです。子どもの数は増えているにもかかわらず減少気味になっているのは、理由の1つとしてお金の問題もあるようです。直接的にリーマンショックが影響しているというよりも、「今は大丈夫だけれど、6年間も払い続けられるの?」という将来への不安をもつご家庭が出始めていると考えられます。

 もう1つの理由として、先ほど申し上げた、志望校を厳選していることが考えられます。実際、模試の志望校欄に第8志望まで書けるところを第3希望までしか書いてない受験生がいます。併願校数が減っていることから、本番入試は2%以上の減少になると考えられ、こうした冷え込みを感じている学校も見られます。しかしその一方で、去年よりも説明会の参加人数が10%、20%増になっている学校があるのも事実です。二極化とまではいきませんが、来年はいくつかのグループができてきそうです。

Q. 中学受験を目指す小学生に必要なものは何だとお考えですか?

 一番大切なのは、ご家庭としての目標であり、ベクトルではないでしょうか。何のために中学受験をするのかについて、ご家庭の中できちんとコンセンサスを得ておくことが大切です。たとえば、お父さま、お母さま、本人、ご兄弟、おじいさま、おばあさまも含めて、「本人の将来のために」「この学校に行かせるために」といった目的をしっかりもち、ベクトルを揃えておくことです。そのうえで、お父さまの役割、お母さまの役割、といったものを明確にし、協力体制を構築しておくことです。子どもはどうしても飽きっぽいですし、将来もよめません。ですからそこのところは保護者の方がしっかりサポートしてあげる必要があります。そして当然ながら、本人が納得することです。「あの学校で将棋をやりたい」「文化祭で見たあの先輩の学校に行きたい」「あの学校の制服が着たい」など、理由は何でもかまわないと思いますよ。

 学習面に関しては、小学校の学習だけでは正直、中学受験には十分ではありません。低学年のうちに机に向かう習慣付けから始めて、自分を律するということを知っておく必要があります。そして5年、6年になれば、自分の弱点がどこかを把握できる力が付けばさらにいいでしょうね。しかしなかなか難しいのが事実ですから、そのサポートに塾がある、と捉えていただければと思います。

--ありがとうございました。
《柏木由美子》

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