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新生児も左右の脳を使い分け…慶大が発表

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音韻条件
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 慶應義塾大学は9月20日、新生児脳が言葉の音やイントネーションの変化に対する機能について調べた実験成果を発表。新生児でも左右の脳を使い分けていることを確認した。

 実験成果の発表は、慶應義塾大学大学院社会学研究科・人文グローバルCOEの皆川(河合)泰代特任准教授、渡辺茂教授、慶應義塾大学医学部小児科学教室の有光威志助教、池田一成専任講師、高橋孝雄教授により行われたもの。

 同実験では、慶応義塾大学病院で生まれた生後5日前後の新生児17名に対し、基本の音声刺激として「itta(行った)」を繰り返し、聞き慣れたところで、最終母音の異なる音韻変化条件「itte(行って)」、もしくは語末のイントネーションが異なる抑揚変化条件「itta?(行った?)」を聞かせ、それぞれの脳反応を「近赤外分光法(光トポグラフィー/NIRS)」で計測した。

 実験の結果、新生児でも音変化検出の脳反応が得られた。新生児は抑揚変化に対して聴覚野近傍で右半球優位な脳反応を示した。音韻条件の母音変化に対しては聴覚野近傍の反応の左右差はみられなかったが、言語野の一部である縁上回で左優位な強い反応がみられたという。

 一般的に右利きの成人では、音楽や言語の抑揚、アクセントなどメロディーを右半球の聴覚野優位に処理し、母音や子音の音韻の違いを左聴覚野優位に処理する。これを左右半球の「機能側性化」という。

 これまでに1歳までにこの左右半球の機能が側性化することが報告されていたが、7ヶ月以下の乳児については何も検討されていなかった。同研究で初めて新生児でも抑揚処理機能が既に右聴覚野近傍に側性化しており、抑揚処理に特化した脳内回路が右聴覚野を中心に構築されていることが示唆された。

 これに対し、母音の変化に対しては未だ左聴覚野への側性化が完全ではなく、今後の言語体験により母国語の音韻特性に特化した脳内回路が1歳までに左半球を中心として構築されることが考えられるとしている。

 これまでの成人のfMRI(機能的磁気共鳴画像)を用いた研究で言語野の縁上回と呼ばれる部位が言語の音韻記憶に関与していることが示されてきたが、今回、音韻条件でのみこの部位が強い反応を示したことは、新生児でも既に音韻の記憶に関連する機能をこの部位が担っていることを意味するという。

 新生児の言語聴覚処理の脳機能がこれまで考えられてきたよりも比較的成熟していることを脳画像で明らかにした同研究の成果は、言語機能の神経学的基盤とその発達過程を明らかにすることに寄与するとしている。

 なお、この成果は「Frontiers in Psychology」誌電子版に9月15日に掲載された。
《前田 有香》

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