大学発ベンチャー、旧帝国大学所在地に集積…過半数が黒字

 大学発ベンチャー企業の2012年の損益状況は、損益が判明している304社中166社と54.6%が黒字を計上していることが、帝国データバンクが8月15日に発表した「大学発ベンチャー企業の実態調査」より明らかになった。

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損益状況の割合と業歴
  • 損益状況の割合と業歴
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 大学発ベンチャー企業の2012年の損益状況は、損益が判明している304社中166社と54.6%が黒字を計上していることが、帝国データバンクが8月15日に発表した「大学発ベンチャー企業の実態調査」より明らかになった。

 同調査は、帝国データバンクのデータベース・信用調査報告書ファイル「CCR」(160万社収録)より大学発ベンチャー企業を抽出、2012年1月~2012年12月期の売上高が判明した536社について、設立時期、業種、所在地、業績動向などを分析したもの。

 大学発ベンチャー企業の設立時期は、大学等技術移転促進法(TLO法)が施行された1998年以降増え始め、小泉政権下で実施された「大学発ベンチャー1000社計画」の2003年に最多となった。それ以後は徐々に減少しており、2011年ではピーク時の5分の1程度となっている。

 業種別にみると、1位「サービス業」48.1%、2位「製造業」35.4%、3位「卸売業」13.2%の順に多い。サービス業の詳細をみると、「ソフトウェア受託開発」10.6%などIT関連が多くを占めた。また、業種を問わず医療機器や医薬品に関わる企業が多く、主なものだけでも全体の13.6%にあたる73社にのぼる。

 所在地を都道府県別にみると、1位「東京都」27.1%、2位「神奈川県」9.3%、3位「大阪府」5.8%の順に多い。「東京都」「大阪府」「京都府」「福岡県」「北海道」「愛知県」「宮城県」といった旧帝国大学(東京、大阪、京都、九州、北海道、名古屋、東北)の所在地が上位を占めた。

 2012年の損益状況が判明している304社について分析したところ、166社と54.6%が黒字を計上している。業歴別に詳しくみてみると「5年未満」の企業の3分の2が赤字であるのに対し、「10年~15年未満」の企業は、約6割が黒字となっている。5年未満の新しい企業では、初期段階の開発費がかさみ、また研究者が代表を務める場合など営業面で出遅れるケースが多く、赤字企業が増える原因となっているという。
《工藤めぐみ》

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