海外大学志向高まる…中高生向けプログラムや取組みが活発化

 56万人以上が志願したセンター試験が18日、19日に行われ、国内大学への進学希望者の入試がピークを迎える中、日本の高校から、海外の大学を目指す動きも増えてきているという。

教育・受験 受験
ベネッセコーポレーションの「海外大併願コースWEB Class」
  • ベネッセコーポレーションの「海外大併願コースWEB Class」
  • ベネッセコーポレーションの「ルートH」
  • Z会の「日米トップ大学併願プログラム」
  • 早稲田アカデミーの「東大受験生のためのハーバード併願コース」
  • 学校法人根津育英会武蔵学園
  • 河合塾
  • 早稲田塾の「海外進学・留学館」
  • 熊本県の「海外チャレンジ塾」
 武蔵中学・高校のプログラムは、学園内に限らず、他校の生徒も広く受け入れるという点でも注目される。中学2年生を対象にしたパイロット版サマープログラムを開講した際には、情報公開と同時に24名の定員枠に応募が殺到したという。

 海外の難関大進学に特化した中高一貫校の設立を目指す動きもある。予備校大手の「河合塾」は、東京学園高校の運営に参画する形で、2017年度の中高一貫校開校を目指し、準備を進めている。ハーバード、オックスフォードなど、海外の名門大進学に照準を合わせることで、他の中高一貫校と差別化を図りたい考えだ。

◆自治体の取組み

 多くの自治体も、海外への留学や進学を支援しており、中でも、目を引くのが熊本県の取組みだ。2013年度にスタートした「海外チャレンジ塾」では、海外進学を目指して集まった県内の中高生を対象にTOEFLや英文エッセー対策、海外進学に関する説明・相談、願書手続きのアドバイスなどを行っている。2012年度からは、世界ランキング50位以内の海外大学へ進学した高校生や県内卒業生に対し、進学資金として100万円を交付する独自の奨学金制度を創設し、話題を集めた。

 「熊本県の子どもに進路選択のチャンスを与えたい」という、ハーバード大卒の蒲島郁夫知事のリーダーシップで、海外進学に必要な力を養う「海外チャレンジ塾」、経済的に支援する「海外大学進学推進事業」などに着手。

 「海外チャレンジ塾」の2013年度の塾生は、中1~高3まで100名。このうち、高3生5名が海外進学を予定している。「世界ランキング50位以内」というハードルは高く、まだ100万円を手にした生徒はいないものの、それも「時間の問題」(県担当者)。同じ夢や志を持った塾生同士が切磋琢磨する中で、着実に力をつけているという。

 英語教育や国際化に力を入れる大阪府でも、2012年度に海外への進学や留学を目指す高校生のための「おおさかグローバル塾」を開設している。米国留学、英国留学の2コースあり、各コース48名が受講。「TOEFL iBT」試験対策をベースに英語力を総合的に磨き、スピーチやディスカッションなどの技術も習得、夏休み期間中には約2週間の短期留学も体験するという。

 塾生に出願するには、「TOEFL iBT45」「TOEFL PBT(ITP)450」以上などの英語力が求められる上、96名の定員に対し、1期生は380名、2期生も124名の応募があり、選抜で塾生が決定する。塾生の志や意識は高く、修了時点でほぼ100%の塾生が海外志望だという。1期生からは、5名が海外進学、2名が高校留学、2期生からもすでに数名の海外大学合格者が出ており、成果は着実に実を結びつつある。

◆政府の取組み

 日本人の海外留学(進学を含む)が減少傾向にあり、若者の内向き志向が指摘される中、国は海外留学支援の動きを鮮明に打ち出している。2020年には、日本人留学生を6万人(2010年)から12万人へと、倍増させる目標を設定。海外留学のための無利子奨学金制度や海外留学支援制度の創設を計画しているほか、2013年10月には「トビタテ!留学JAPAN」と題した留学促進キャンペーンを開始。高校生や大学生の留学機運を盛り上げようと、イベント開催や情報提供に力を入れ始めている。

 グローバル化の進展に伴い、海外大学進学をめぐる動きは、大きな転換期を迎えつつある。国や自治体などの後押しもあり、海外に目を向ける高校生は、今後ますます増えていくことになりそうだ。
《奥山直美》

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