東京都で国内では非常に稀な「コクサッキーウイルスA群21型」を検出

 国立感染症研究所は2月19日、2013年第35~36週(8月26日~9月8日)に採取された2検体から、ウイルス性髄膜炎などを引き起こす国内では非常に稀な「コクサッキーウイルスA群21型」(以下CA21)が検出されたと報告した。

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 国立感染症研究所は2月19日、2013年第35~36週(8月26日~9月8日)に採取された2検体から、ウイルス性髄膜炎などを引き起こす国内では非常に稀な「コクサッキーウイルスA群21型」(以下CA21)が検出されたと報告した。

 これは感染症発生動向調査事業の1つとして東京都健康安全研究センターが都内にある内科病原体定点医療機関である15定点から提供されるインフルエンザ様症状を示した患者検体の検査を行っているもの。当該の検体は第35週と第36週に23区内の異なる区から咽頭ぬぐい液として1検体ずつ搬入された。

 患者は39歳と17歳でどちらも発熱症状(38.3度、39度)が見られ筋関節痛や上気道炎などの風邪の症状が出ていたという。また、発症前行動は約2週間前にフィリピンへ渡航していた者と、国内に滞在していた者となっており、ともに共通性はなく発症時期から推定すると両者とも国内感染が強く疑われる。

 国内検出報告が少ないCA21ウイルスは臨床材料からの報告は1986年の埼玉県の刑務所施設を最後に報告されておらず、実に27年ぶりとなる。しかし近年海外では中国・フィリピンなどでも報告が上がっており、また環境材料(下水検体)から2010年、2011年と福岡で報告されていることを鑑みると、今後国内で発生が危惧されるウイルスだといえる。

 今回ウイルスの拡散はなかったものの、都内の異なった地域で複数の感染例が報告されたことでエンテロウイルス発生動向調査には今後注意が必要だ。
《田邊良恵》

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