学校外教育支出が多い家庭の子ほど学力は高い…全国学テの保護者調査

 文部科学省が、「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)」の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究、保護者に対する調査および教育委員会に対する調査結果について公表した。

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 文部科学省が、「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)」の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究、保護者に対する調査および教育委員会に対する調査結果について公表した。

 平成25年度全国学力・学習状況調査では、本体調査にあわせて保護者に対する調査を実施。家庭状況と児童生徒の学力などの関係について分析するために、児童生徒の家庭状況や保護者の教育に関する考え方などを調べた。

 対象は無作為に抽出された公立学校で、本体調査を受けた児童生徒の保護者で、全国の430小学校、414中学校を無作為に抽出した。調査は昨年5月~6月に実施され、同省の委託によりお茶の水女子大学が分析。

 分析の結果、家庭の社会経済的背景が高い児童生徒のほうが各教科の平均正答率が高い傾向がみられた。これは、家庭所得、父親学歴、母親学歴の3つの変数を合成した指標(SES)を4段階に分けて分析した結果から。小学校の算数BのテストではSESの1番高いHighest SESと1番低いLowest SESでは平均正答率が22.6ポイントの差があった。同様に中学校の数学Bでも23.9ポイントの差があった。

 塾などの学校外教育支出と学力の関係は強く、学校外教育支出が多い家庭の子どもほど学力は高く、世帯収入が高くなるにつれて学校外教育支出も多くなる傾向がある。

 しかし、家庭の社会経済的背景が低いすべての子どもの学力が低いわけではなく、学習時間は不利な環境を克服する手段になっている。平日の学習時間と教科の平均正答率の関係をみると、経済的背景に関係なく30分以上の学習をしている小学生は、国語Aで平均正答率が50%を超えている。

 社会経済的背景が低くても学力が高い児童生徒の特長として、毎日同じ時間に起きて朝食を食べ、テレビを見たりゲームをする時間が少なかった。また、保護者が子どもに本や新聞を読むように勧め、勉強や成績に関する会話や保護者の高い学歴への期待があった。児童生徒自身も家で計画をたてて勉強していることもわかった。

 社会経済的背景の影響を取り除いた場合でも、保護者の行動や考え方で子どもが高い学力の傾向がみられた。例えば、毎日決まった時間に起き、朝食を食べさせる規則正しい生活。携帯電話の使用に関するルールや約束を作っている。読書や新聞を読む働きかけ、子どもの勉強をふだんから見ていたり、計画的に勉強するように促す。子どもが英語や外国の文化に触れるよう意識している。

 さらに、子どもの教育について「自立できるようにする」「人の気持ちがわかる」「自分の意見をはっきり言える」「将来の夢や目標に向かって努力する」ことを重視する考え方を持っていた。

 また、社会経済的背景が低い不利な環境でも学力向上の成果をあげている学校の取り組みとして、家庭学習指導の充実や小中学校連携の取り組み、話すことや書くことなど言語活動の充実、習熟度別指導の導入などがあった。

 そのほか、経年変化分析調査や教育委員会に対する調査は、国立教育政策研究所のホームページで見ることができる。
《田中志実》

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