JMOOC「gacco」で東大 本郷教授が反転授業、参加者は13~81歳

 26日、JMOOCが主催するオンライン講座のうちgaccoが配信するコースから第1回となる受講者のための対面授業を開催した。

教育ICT 大学生
JMOOC第1回対面授業
  • JMOOC第1回対面授業
  • 東京大学 本郷和人教授
  • 議論中心のため教授自らが各グループを回り議論を行う
  • JMOOC第1回対面授業
  • 2つの学説のどちらを指示するか
  • JMOOC第1回対面授業
  • 挙手、発言も活発に行われた
  • 高校生がリーダーとして発言するグループもあった
 本郷教授は、これらの課題を説明したあとはグループごとの議論の時間を10分、15分ととり、全体としては2時間の授業のうち半分ほどをグループディスカッションにあてた。ほかにも、グループごとに、2つの学説のうちどちらを支持するかを議論させ、その理由を各リーダーにディベート形式で発表させたり、薪荘、大隈荘という奈良の2大社寺による荘園勢力の抗争に朝廷と鎌倉幕府がどのようにかかわったかの資料を示し、2つの学説からこの抗争をどのように説明できるか、当時の天皇と将軍の関係や統治形態について考察させる議論などが行われ、参加者は積極的に議論し発表していた。

 授業終了後、本郷教授に第1回の対面授業の感想について聞いた。「思っていたより積極的な発言があってよかったと思います。一般的な大学生よりよく発言してくれたという印象です。また、みなさんよく勉強してきていると思います。その分こちらも準備や資料づくりなどをしっかりとやらなくてはいけないと改めて思いました。」と語った。加えて、資料をあまり詳しくしすぎると、それにとらわれ議論が進まない可能性もあるとし、授業スタイルや資料づくりなど試行錯誤も必要だとした。参加者から「権力の強制力や朝廷と幕府の相互の力の利用(相互補完)といった教えていない意見や概念が発言の中に出てきた」ことにも、反転授業形式の対面授業に手ごたえを感じていたようだ。

 参加者には高校生や中学生もいた。大学での授業はどうだったかを聞いた。大阪から参加したという中学2年生の女子は、「学校の先生からも歴女認定されるほど歴史が好きです。源氏物語や枕草子など平安時代の文学や文化が特に好きで、この講座は母親から紹介されました。みんなと議論ができて楽しかったです。」と、年上の人たちと歴史談義ができたことが勉強になったと語ってくれた。

 高校3年生という受験生でありながら、同じクラスの友達どうしで参加したという女子2名。この学校では日本史の授業の中でgaccoを活用していると言い、歴史好きの2名が対面授業に申込んだのだそうだ。ひとりは戦国時代の歴史が好きで上杉謙信推し。もうひとりは幕末好きで高杉晋作推しだそうだ。授業の感想は「普段とは違った進め方が面白かったです。また、結論は同じでもそこに至るまでの考え方の違いに触れることができてよかったと思います。」とのことだ。受験勉強との両立は大変かという質問には「大学でも歴史を勉強したいので参考になっています。それにこちらは好きな分野なので、むしろ息抜きになっています。」と笑って答えてくれた。

 第1回の参加予定者数は高校生枠(無料)24名、一般68名の合計92名で、このうち高校生枠23名、一般60名の83名が参加。13歳から81歳と幅広い年代の方が、本郷教授の反転授業を受講した。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

+ 続きを読む

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top