インターネット上の動画をテレビで視聴、Googleがモバイル端末とテレビを連携

 Googleは、タブレットやスマートフォンなどと連携し、インターネット上の動画をテレビで見ることができる「Chromecast」のサービス開始を発表した。欧米など海外ではすでにサービスが始まっていたが、日本では同社初の試みとなる。

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Chromecast
  • Chromecast
  • Google Inc. Chromeエンジニアリング統括ディレクター マージド・ベイカー氏
  • グーグル パートナー事業戦略開発本部 統括部長 林豊氏
  • Chromecastの特徴
  • まずはYouTube、Google Playの映画などが利用できるほか、ドコモのdビデオ、KDDIのビデオパスの番組も対応する
  • dビデオやビデオパスの動画をリビングのテレビでも視聴できる
  • 28日より、amazon、Google Play他量販店で販売開始
  • ChromecastはテレビのHDMI端子に接続する
 最近の子どもは、帰宅後、夕食後にテレビを見るよりスマートフォンやPCにいってしまい、リビングでの団らんがなくなっているという声も聞く。インターネット上の動画やコンテンツがリビングのテレビで簡単に見ることができれば、親子ばらばらにスマートフォンやタブレットの画面を見るという光景は減るのではないだろうか。

 Googleは5月27日、そんな用途での利用も可能な動画視聴サービス「Chromecast」の開始を発表した。Chromecastは、欧米など海外ではすでにサービスが始まっているインターネットテレビサービスのひとつであり、日本は14か国目の対応国となる。

 Chromecastは、スマートフォンやタブレットで視聴する動画コンテンツをリビングの大型テレビでも視聴できるようになるソリューション。サービスを利用するためには、家庭用の無線LANルータなどのWi-Fi環境が前提となる。Chromecast本体(希望小売価格4,200円:税抜き)を購入し、テレビのHDMI端子に接続し、スマートフォンなどに専用アプリをインストールすると利用可能になる。

 発表会では、GoogleのChromeエンジニアリング統括ディレクター マージド・ベイカー氏は、「妻が自宅でNetflix(動画ストリーミングサービス)を見るまでにいくつものステップを踏んでいた、もっと簡単に動画視聴ができるようにできないかと思った」と製品の開発動機とコンセプトを語った。

 続いて同社パートナー事業戦略開発本部の林豊統括部長は、日本でのサービス開始にあたり「リビングに新しいエンターテインメントを届けたい」と述べるとともに、Chromecastの特徴は、簡単なセットアップと操作にあると話した。

 Chromecastで視聴できる動画サービスは、日本では当面YouTube、Google Play、そしてドコモのdビデオ、KDDIのビデオパスとなる。また、対応デバイスはAndroid端末、iOS端末の他、Windows、Mac OSなどPC環境でも視聴可能とのことだ。

 実際の視聴は、YouTubeなら通常通り端末でYouTubeアプリを操作し、大画面でみたいなと思えば、対応アプリやサービスに表示される「キャストアイコン」をプルダウンさせ再生させる。あとは、端末がリモコン代わりとなり動画再生や音量などを操作できる。テレビ上の動画は、端末側のデータではなく、ChromecastがWi-Fi経由でWeb上の同じサービスのコンテンツにアクセスするので、HD映像なども画面に合わせた高画質で再生される。

 PC環境ではChromeブラウザの拡張機能でChromecastに対応する形となる。そのため、ブラウザ上で表示される画面をそのままテレビ画面に映すことができる。機能としてはPCの外部モニタとしてテレビを利用するイメージだが、接続がWi-Fi経由で動画画面だけ大きくミラーリングされる形となる。画質はPC側の仕様に依存するが、ハードディスク内の動画や写真などローカルコンテンツの視聴も可能となる。

 インターネットテレビは以前から存在し、家庭用テレビを利用した類似のストリーミングサービスは主要3キャリアともに提供しているが、セットアップの手間や操作性の問題、課金体系、コンテンツの量などから放送波の視聴スタイルを大きく変えるほどには至っていない。YouTubeのような多くの人がばらばらに見ていたコンテンツを大画面で共有しやすくなれば、状況は少しずつ変わる可能性もある。

 ただし、Chromecastは通常のネット接続やアプリ利用と同じで、コンテンツの選別、フィルタリングは各家庭での対応となる。開発キットやAPIは公開されており、Chromecastに対応したサービスは誰でも作ることができるという。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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