専門医に聞く子どもの歯列矯正…歯科医選びから受験・留学時の対応まで

 子どもの歯並びが気になる保護者は多く、噛み合わせのバランスが悪いと顎や肩に負担がかかる、集中力に影響するなどという懸念点もあるようだ。その一方で、特に受験期などは矯正治療が子どもに与える不安も気になるところだ。

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矯正歯科専門医の賀久浩生氏
  • 矯正歯科専門医の賀久浩生氏
  • 賀久浩生氏
  • 歯列矯正器具の種類
  • 透明なマウスピースで治療するインビザライン
 治療方法、治療期間、調整の頻度などによって各医院が価格を設定しているかと思います。私の医院では、お子様の歯の状態を見て、コンサルテーション時に治療方法を提案し、治療期間を提示します。治療費は治療期間に応じて設定しているため、治療に2年かかるといった場合は、治療期間が延長したり短縮しても当初想定した2年分の費用としています。

 治療方法によって費用が異なる部分もあります。一般的なワイヤー・ブラケットの装置ではなく、歯の裏側に取付ける装置やインビザラインの場合、患者様それぞれの歯に合わせた治療器具・マウスピースを注文することになります。そういった場合は、一般的なワイヤー・ブラケットの治療費を上回ることもあるので、コンサルテーション時に確認することが必要です。また、毎回の調整ごとに費用が発生する医院の場合には、治療方法による違いとあわせて、想定の通院回数を確認し、事前に全体の治療費を把握できるとよいでしょう。

--小中学生時代に治療のタイミングを逃した場合、高校生になってからでも治療は可能でしょうか。また、治療時の外見を気にする年でもありますので、目立たない治療方法がありましたら教えてください。

 まず、治療は可能ですのでご安心いただきたいと思います。大人になってから治療される患者様も多くいらっしゃいます。

 治療時の外見を気にしていらっしゃるということですので、一般的なワイヤー・ブラケットをイメージしているのではないかと思うのですが、今では治療方法もさまざまです。

 マウスピースの装置であれば、薄く透明で目立たず、治療中の外見も気になりません。装置を外して食事や歯磨きができるので、口腔衛生上、虫歯予防にも効果的な方法でしょう。

◆治療と学習・学校生活への影響

--受験期の治療を心配されている保護者の方々も多いようですが、受験直前だけ通院間隔を空けるようなことはできるのでしょうか。

 受験期間中に通院間隔を空ける患者様は多いので、問題はありません。特に中学受験など、小さいお子様の受験の場合は、心配される保護者の方々も多いでしょう。コンサルテーション時に受験をする可能性や、間隔を空ける必要がある期間などを医師に伝えておくと、治療がスムーズにいくよう対応してもらえると思います。実際に当院でも、矯正治療を受けながら難しい受験を乗り越えたお子様がたくさんいらっしゃいます。

--部活でスポーツをすることの多いお子様など、特に注意することはありますか。

 前歯がいわゆる出っ歯の状態だと、外傷リスクが高まるという論文もありますし、かみ合せの改善が体のバランスの改善につながります。現在では世界のトップアスリートたちも矯正治療を受ける時代ですので、スポーツをする上で矯正治療を進めたほうが良い場合も多くあります。

 矯正治療中のスポーツについては、通常はあまり気にする必要はありません。ラグビーなど、マウスピースの着用が必要なスポーツを行っている場合は、治療中は歯が動いていますので、スポーツ用のマウスピースを随時新しい歯形に合わせる必要があります。体育の授業など、通常の学校生活においては、治療中の場合でもあまり意識する必要はないでしょう。

--ありがとうございました。
《湯浅大資》

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