【中学受験】西村則康氏に聞く、入塾前準備と塾選びのポイント

 塾選びから、受験生である子どもに対する親の関わり方について、30年以上中学・高校受験指導の実績をもち、「塾ソムリエ」として活躍中の西村則康氏の助言をもとに、一緒に考えてみたい。

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西村則康氏
  • 西村則康氏
  • 西村氏の著書「中学受験は親が9割」
◆親は子どもにどう関わるか

 子どもに、「あなたは●●だから、××をしないといけない」と言ってしまう人は多いのではないだろうか? こうした言い方はやめたほうがいい。もし、子どもに声をかけるなら、「あなたは○○といった良い面をもっているから▲▲すれば、□□しそうね」と成功を想像させるような言い方をするのがいい。このように、一声のフレーズの選び方が重要だと西村氏は言う。

 また、会話のすべてが勉強のことだけでは子どもは伸びないそうだ。「勉強をしろ」と言うのではなく、普段の生活のこと、学校であったことなど日常の会話を大事にすることも重要なことだそうだ。

 丸つけは、4年生までは親がしていい。ただし、記述問題は塾の先生に任せるほうがいい。さらに、算数の難易度が上がり、親が見ることが困難になってきた場合は、「家庭教師などの助けを借りるのもいいです」と西村氏は言う。そして、親が関われるうちに、間違えた問題の原因を明らかにして、自分で見直しができるようにしておくことが重要だ。

 また、塾の送迎についても、きちんと目をかけてやる必要がある。授業が終わったあとも、質問などをしていると、どうしても夜遅くになってしまう。できるだけ送迎をしてあげることで、子どもが勉強に集中できる環境を整えてあげたい。

 そして、子どもの体調にも気を配りたい。勉強を続けるうえで、睡眠時間は大切な要素だ。ついつい夜遅くまで勉強をすることになってしまう子どもがいるかもしれないが、できるだけ睡眠はとった方がいい。睡眠時間は、子どもによって個体差があるが、気持ちよく起きているかどうかを観察してあげてほしい。起きたくないというのは、睡眠が足りていないか、起きるのが楽しくないことなどが考えられる。寝る前に、労いの言葉をかけてあげることも重要になる。

◆過酷な中学受験、しかし決して無駄にはならない

 中学受験をするにあたり、「今は塾に通わないと合格することはできない」と西村氏は言う。塾に通うことはもはや必須になっている。それゆえに、子どものスケジュール管理も大切になる。しかし、子どもは機械ではない。なんでもかんでも時間通りにしなくてはいけないと押さえつけないようにしたい。柔軟に対応し、いい気分で勉強ができる環境を築いてあげることが何よりも大事だ。

 最後に、進路はひとつではない。残念ながら志望校に行けないことになり、併願校に行くことになることもあるだろう。そうなったときのために、「併願校のよさもきちんと説明してあげることが大事」と西村氏はアドバイスする。「行きたくなかった学校に行く」と思うのではなく、「新しい学校に行く」と思えるようにしてあげたい。勉強を通して、受験をすることによって、「自己を肯定する力」を養うことも受験の大事な要素なのだから。

・西村則康氏(名門指導会代表・中学受験情報局主任相談員・塾ソムリエ)
 35年以上、難関中学・高校受験指導を一筋に行う家庭教師のプロフェッショナル。これまでに男子御三家の開成、麻布、武蔵、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉をはじめ、灘、洛南高附属、東大寺学園、神戸女学院などの難関校に合格させた生徒は2,500人以上にのぼる。著書に「中学受験は親が9割」(青春出版社)、「御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方」(アスコム)ほか多数。
《苅谷崇之》

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