現役医師に聞く医学部受験対策、「集中できる環境の確保」と「基礎力固め」

 医系専門予備校「メディカルラボ」を運営するキョーイクは1月13日、医師を目指す受験生とその保護者に向けた情報提供を目的として、現役医師300人を対象に実施した「医学部受験と医師生活」に関する調査を結果を公開した。

教育・受験 その他
子どもの医学部受験について(子どもがいる現役医師のうち、子どもにも医師を目指して欲しいと回答した方)
  • 子どもの医学部受験について(子どもがいる現役医師のうち、子どもにも医師を目指して欲しいと回答した方)
  • 医師を志す動機となったもの
  • 医学部受験に向けた勉強法・受験対策について
  • 進学先の医学部受験について
  • 子どもの医学部受験について
  • 子どもの学費や進学・受験にかかる費用として、出してもよいと考えている資金
  • 医療情報の収集にITをどの程度活用しているか
  • 「医師の不在・偏在」と呼ばれる状況について
 医系専門予備校「メディカルラボ」を運営するキョーイクは1月13日、医師を目指す受験生とその保護者に向けた情報提供を目的として、現役医師300人を対象に実施した「医学部受験と医師生活」に関する調査結果を公開した。

 同調査は、2014年11月25日~11月27日に全国の現役医師300人を対象に、インターネットリサーチにより実施。

 設問には、「医師を志したきっかけ」「医学部受験と進学先選び」「医師を目指す子どもの支援」「医師としての生活(仕事関連・私生活)」の項目が用意され、多くの医師が実践していた勉強法・受験対策のほか、仕事しての医師の実態を知ることのできる回答が並んだ。

 医師を志す動機となったものを複数回答で聞いたところ、「人を救う仕事に興味をもって」が33%でもっとも高い結果となった。次いで、「身近な医療関係者が働く姿をみて」23%や、「成績が良かったので」22.7%が2割を越える回答となった。また、20人に1人(5%)が「医療マンガ(ブラックジャックなど)をみて」と回答しており、漫画作品の影響力がうかがえる。

 医学部受験に合格した過去をもつ医師たちは、どのような受験対策を実践してきたのか。「当時実践していたもの」を聞いたところ、「集中できる学習環境を確保する」が39%でもっとも高い結果となった。次いで、「基礎力固め(繰り返し基礎問題を解くなど)」が3割半の36%、以下3割前後で「出題傾向に合わせ、対策を立てる」「規則正しい生活を送る」「学習計画を立てる」などが続いた。

 同様の選択肢で、「効果がある取り組みだと思うもの」という設問でも、「集中できる学習環境の確保」「基礎力固め」「規則正しい生活を送る」などは実践していた割合以上の評価となった。そのほか、「疑問に思うことはそのままにしない(すぐに質問するなど)」28.3%や、「相談でき競いあえる仲間をつくる」18.3%、「相性のいい出題傾向・得点配分の大学を探す」18%といった取り組みも実施していた割合以上の評価となった。こういった対策が、ライバルに差をつけるポイントとなりそうだ。

 進学先選びにあたり「当時、重視していたもの」を聞く設問では、「国立か私立か」57.7%と「大学の所在地」36.7%が過半数を越える結果となった。そのほか、「偏差値」は37.3%、「入試問題・試験・選抜方式との相性」は26.7%、「授業料・学納金の多寡」は26.3%と続いた。「知名度・評判」は15%という結果となった。

 同様の選択肢で「現役医師の視点で重視すべきだと思うもの」は何かを聞くと、「設備・環境」34.7%や「医師国家資格の合格率」20.3%、「学べる内容(医療経営、医療情報学など)」25%、「指導者(著名な教授がいるかなど)」21%などが、「当時、重視していたもの」の割合に比べて高い結果となった。現役の医師たちによる、「入学後の環境について重視して選ぶべきだった」との思いがうかがえる。

 子どもがいる医師232人に、「ゆくゆくは自分の子どもにも、医師を目指して欲しい」と思うか聞いた設問では、「そう思う(「非常に」「やや」を含む、以下同様)」という回答が53.9%と過半数を越えた。また、子どもにも医師を目指して欲しいと回答した医師(125人)に、子どもの学費や進学・受験にかかる費用として、どのくらいの資金が出せるか聞いたところ、半数以上の医師は2,000万円以上を想定しており、全体の平均額は2,798万円となった。

 また、上記125人に「医学部受験には、家族の協力が必要不可欠」かどうか聞いたところ、「そう思う」が96%と、ほとんどの医師が同意。また、医学部に子どもを進学させるのであれば、「中学選びから重要」では70.4%、「予備校選びから重要」では72.0%が「そう思う」と回答した。また、「医学部には何浪してでもいく価値があると思う」では、「そう思う」が38.4%となり、4割弱が苦労してでも挑戦するべきだと考えている事が分かった。

 医療系アプリやSNSなど、ITを活用した情報収集の環境は近年めざましく進歩しているという。そこで、医療情報の収集にITをどの程度活用しているか聞いたところ、「医療系アプリ」の利用率は30.0%、「医師向けのSNSやコミュニティサイト(MedPeerなど)」は56.3%となった。

 「医師の不足感・偏在感」を感じるかの設問では、「感じる(「非常に」「やや」を含む、以下同様)」が83.3%となった。特に20代、30代の若い医師では「感じる」が90%と非常に高く、医師不足を痛感している現状がうかがえる。次に、「医師の労働環境改善の必要性」では「感じる」が91.7%、「女性医師が働きやすい環境整備の必要性」では「感じる」が82.0%となった。特に女性医師は「女性医師が働きやすい環境整備の必要性」を「感じる」が90.7%とより高い結果となった。

 医師が「休日、リフレッシュのために行っていること」は、「旅行に出かける」「おいしいものを食べる」が5割前後でもっとも高く、以下、「買い物に出かける」「恋人や配偶者と過ごす」「本を読む(医学関連以外)」「お酒を飲む」が続いた。
《小林瑞季》

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