【高校受験2015】東京都立進学指導重点校グループ作成問題<英語>講評

 平成27(2015)年度東京都立高等学校入学者選抜(都立入試)の学力検査が2月24日に実施された。リセマムは、難関高校に高い合格実績をもつSAPIX中学部(サピックス)の協力を得て、進学指導重点校のグループ作成問題について、「英語」の講評を速報する。

教育・受験 受験
東京都立進学指導重点校、講評(英語)
  • 東京都立進学指導重点校、講評(英語)
  • 表1 リスニング
  • 表2 対話文
  • 表3 物語文・説明文
  • 表4 英語まとめ
 平成27(2015)年度東京都立高等学校入学者選抜(都立入試)の学力検査が2月24日に実施された。リセマムは、難関高校に高い合格実績をもつSAPIX中学部(サピックス)の協力を得て、進学指導重点校(日比谷、西、国立、八王子東、戸山、青山、立川)のグループ作成問題について、「英語」の講評を速報する。国語、数学についても同様に掲載する。

進学指導重点校グループ<英語>講評(SAPIX中学部 提供)

◆東京都立高等学校の入試問題
 東京都立高で実施される入試は、下記の進学指導重点校などを除き、全教科同じ問題(以下、「共通問題」と記す)が使用されています。幅広い学力の受験生に対応するために、首都圏難関国私立高と比較すると取り組みやすい問題となっています。

◆進学指導重点校
 都立日比谷高(千代田区)、都立西高(杉並区)、都立国立高(国立市)、都立八王子東高(八王子市)、都立戸山高(新宿区)、都立青山高(渋谷区)、都立立川高(立川市)の7校は「進学指導重点校」の指定を受け、2001年の都立日比谷高を皮切りに独自の入試問題を学校で作成・実施してきました。英語のリスニング・理科・社会は共通問題を使用しますが、リスニング以外の英語および数学と国語は例年非常に難度の高いものが出題されていました。

◆グループ作成
 さらに2014年から、進学指導重点校をはじめとする東京都立難関校が複数のグループにまとまり、共同で入試問題を作成(以下「グループ作成問題」と記す)しています。グループ作成問題では、種類ごとに複数の問題を作成し、高校がそれを組み合わせて入試問題を編成します。それに加えて1つの教科につき大問1題は学校オリジナルの問題(以下「自校作成問題」と記す)に差し替えていいというルールもあります。

 以下では今年の進学指導重点校グループの入試問題を分析し、東京都立高入試がどのように実施されたのかを検証していきたいと思います。

英語【進学指導重点校グループ】

◆リスニング(表1)
 例年通り、問題Aと問題Bに分かれています。問題Aは男性・女性による3つの短い対話文でした。それぞれに対する設問が1つずつあり、適切な英文を選択肢から選ぶ形式、問題Bは短い英文が読まれ、その内容に関する2つの設問に対し英文で答える形式です。

◆対話文(表2)
 グループ作成問題はタイプAのみの出題となり、都立日比谷高、都立国立高の2校が自校作成問題を出しました。タイプAでは、なじみのない単語の意味を文脈から判断させる問題が出されました。都立日比谷高では、30語以上の英文で書かせる問題にかわり、5語以上の英語で補う英作文が3問出題されました。ハイレベルな単語を補わせる出題もあり、豊富な語彙、正確な文脈把握力が必要な問題です。

 都立国立高はLEDについての対話文で、昨年の3Dプリンターと同様、先端技術についての内容でした。全ての対話文が1,000語程度かそれ以上であり、長い英文を読む中で、内容の大筋を見失わずに正確に文脈を把握する力が求められています。十分な対策をしなければ、この大問で得点すること自体が厳しいことに加え、大問3にかける時間がなくなってしまうという展開が考えられます。

◆物語文・説明文(表3)
 タイプA・タイプBともに設問が7つありました。タイプAはGPSに関する説明文で、難解な概念を含む内容のため、非常に解きづらかったと思われます。一方タイプBは、等身大の少女を主人公にした読みやすい物語でした。いずれのタイプも、内容把握を中心とした設問が多く、また本文の内容に関する40語以上50語程度の自由英作文が出題されています。

 自校作成問題の3校に関しては長文の語数、文の読みやすさを考えると、この大問で問題レベルの調節を図ったと予測されます。いずれもタイプAの文章と比べれば読みやすく、解きやすい問題です。タイプA以外の問題を解いた受験生は、この大問にどれだけ多く時間を割くことができたかが合格への鍵となりそうです。

◆英語まとめ(表4)
 昨年と比べ自校作成問題を導入する学校が増えました。大問2(対話文)のグループ作成問題は1つのパターンしかなく、大問3(物語文・説明文)では2パターンでした。大問3における物語文と説明文のレベル差が昨年以上に大きく、説明文を出題した都立日比谷高、都立立川高の受験生は苦戦したと思われます。グループ作成問題は昨年より難しくなりましたが、自校作成問題を通して、よりその学校らしさを追求した学校と難度の調節を図った学校がありました。

 並べ替え・内容一致・自由英作文などはどの組み合わせでも必ず含まれ、そこに図(イラスト)の読み取り・段落の並べ替え・理由説明などの問題を各校の方針に応じて加えるという出題形式になっています。


 このレポートは2015年2月25日(入試翌日)に速報としてSAPIX中学部により作成されたもの。なお、SAPIX中学部は、3月に入試分析会、4月に入試問題分析会を下記の日程で開催する予定。進学指導重点校をはじめ難関都立の出題傾向や対策法を分析した「東京都立高校 入試予想問題集」も販売している。

・2015 高校入試分析会(国私立難関高・東京都立トップ高)
3月14日(土)、代々木ゼミナール本部校 代ゼミタワー(新宿)
3月22日(日)、代々木ゼミナール本部校 代ゼミタワー(新宿)
3月22日(日)、サピックスホール(東京)
3月22日(日)、代々木ゼミナール 立川北口受験プラザ(立川)

・入試問題分析会(開成・筑駒高/慶應女子高/学芸大附高)
4月12日(日)、代ゼミタワー

・入試問題分析会(都立日比谷・西・国立高)
4月26日(日)、代ゼミタワー
《湯浅大資》

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