--ITキャンプには、どういうお子さんが参加されていますか。水野氏:パソコンおたく、ゲームおたくみたいな子を想像されるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。短期集中型のITキャンプ以外に、毎週プログラミングを学ぶITスクールも開催していますが、いわゆる、普通の中高生がほとんどです。野球部、バレー部、バトミントン部、バトン部などの子が、他の習いごとや塾と同じような感覚で通ってきています。プログラミングを学び、iPhoneアプリやゲーム、新しいサービスをつくることは、今の子どもたちにとって「イケてる」ことのようです(笑)。--プログラミングを指導するメンターは、どうやって選ばれているのでしょうか。水野氏:おもに、プログラミング経験の豊富な大学生にお願いしていますが、プログラミングの技術や知識に加え、子どもに教えるスキル、コミュニケーション能力なども重視し、デザインについては美術系大学の学生さんの力もお借りしています。指導するメンターについても、「イケてる」ことが重要で、中高生が目標にできるような大学生を選んでいます。--水野さんご自身はどのようなお子さんでしたか。水野氏:いわゆる普通の子でしたが、どちらかというとリーダーシップはあるほうだったと思います。小学校2年生から高校3年生まで野球を続けていました。現役時代の原辰徳選手(現・読売ジャイアンツ監督)の大ファンでした。--教育に興味を持たれたのは、いつ頃ですか。水野氏:教育にはもともと興味があり、大学時代に塾の講師や家庭教師のアルバイトをしていました。また、大学院生のときから、開成高校や早稲田高校で物理の非常勤講師を務めました。教えるのが好きでしたね。何かのきっかけで、子どもが急に伸びるようすを見るのが好きなのです。--起業については、学生時代から志していたのでしょうか。水野氏:いいえ、まったく。27歳まで、自分が起業するとは思ってもみませんでした。教育を変えたくて会社を立ち上げ、ITキャンプをスタートさせ、多くの中高生に参加していただくことになるとは、自分でも驚きです。--最後に、今後の抱負についてお聞かせください。水野氏:2025年までの目標として、6つの教育改革を掲げています。1つ目の「IT教育による、創造力の育成」は、ITキャンプなどで取り組んできました。中高生によるスマートフォンアプリのコンテスト「アプリ甲子園」、IT業界にもプロ野球のようなヒーローをつくりたいと「ITドラフト会議」を誕生させました。プログラミングを学ぶ(インプット)だけでなく、アウトプットまで用意することで、モチベーションが上がります。 2つ目は「アントレプレナーシップ教育による、実行力の育成」。これは起業家教育ですが、全員が起業家を目指すということでなく、さまざまな問題や課題に直面したとき、自分で解決できる力を付けてほしい、そのような能力を身に付けてほしいというものです。 3つ目は「オンライン教育による、知のオープン化」。オンライン教育を推し進めることで経済的、物理的な不公平をなくしたいと思っています。 4つ目は「先生の力を最大化するプラットフォーム」。先日、中学校・高校の情報化教諭専用の授業支援プログラム「TECH for TEACHERS」の提供を開始しましたが、教育現場のサポートもし続けていくつもりです。 5つ目は「21世紀の学校」。ゆくゆくは学校運営もしたいと考えています。 そして、最後に「グローバルに学び合う土壌」。昨年、シンガポールでのITキャンプを開催するなど、グローバルなIT教育も展開していきます。着手しはじめているものもありますが、2025年までにこの6つを達成したいと考えています。--ありがとうございました。 次から次へとアイデアがあふれ出す水野氏。エネルギッシュな水野氏の語りを聞いていると、ITキャンプのさらなる浸透をはじめ、新たなサービス開始や協業の拡大、ライフイズテックによって世界がどう変わるのか、おおいに期待が高まる。《聞き手:田村麻里子》