【プログラミング教育1】なぜ注目される? 子どものプログラミング教育

 「子どもがプログラミングを学ぶメリットは何なのか」「子どもに学ばせるとしたらどういったことから始めればいいのか」…学校および民間の取組み、有識者インタビュー、子どもに人気のプログラミングツールやサービスなどプログラミング教育事情をお届けする。

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注目される子どものプログラミング学習(イメージ写真)
  • 注目される子どものプログラミング学習(イメージ写真)
  • 「Scratch(スクラッチ)」の画面
◆楽しみながら学べるビジュアルプログラミング言語

 たとえば、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボで開発された「Scratch(スクラッチ)」というビジュアルプログラミング言語がある。スクラッチでは、命令を表すブロックを組み合わせていくことで、すぐに猫などのキャラクターが動くアニメーションが作れる。スクラッチは無償提供されており、ブラウザ上で動くバージョンならスクラッチのWebサイトにアクセスすれば使え、物語やゲームができたら公開して世界中の人からコメントをもらえるなど、気軽に楽しみながらプログラミングを学習できる。

 プログラミング教育は、前述の論理的思考力や問題解決能力に加え、創造力を育てることにも効果的と言われている。コンピューターは、人間のすることを代替するだけでなく、今まで存在しなかった商品やサービスを生み出すものだ。個人レベルでパソコンやタブレット、スマートフォンが使える今、自分のアイデア次第で世界中の人を楽しませたり、身近で困っている人を助けたりできるようにもなってきた。子どもが自分のアイデアをプログラミングで表現し、できあがったアプリや装置を世の中へ発信し、使ってくれる人とコミュニケーションすることでさらに新しいアイデアを膨らませたり、他の人が作ったプログラムと連携させて思いもよらない感動を得たりと、子どもの創造性を高めるツールとしても身近なものになってきた。

◆グローバル人材の重要な能力

 そして、ITが国境を越え社会のあらゆる領域で重要性を増すなか、プログラミングを将来の仕事にしないまでもプログラミングを通じて各種の装置やサービスの仕組みを知っておくことは、世の中の仕組みを知り新たな仕組みを創造していくうえでも役立つ。グローバル化への対応として英語教育の必要性が叫ばれているが、プログラミングもまた、グローバル人材の重要な能力になると考えられている。

 以上のような子どもの能力や可能性を高めるという側面に加えて、国をあげてのIT人材育成という側面からも子どものプログラミング教育のニーズが高まっている。新学習指導要領に基づき、2012年から中学校の技術・家庭で「プログラムによる計測・制御」はすでに必須になっている。

◆義務教育段階からのプログラミング教育

 加えて、アベノミクスの3本目の矢として2013年6月に発表された「成長戦略(案)」では、「世界最高水準のIT社会の実現」に向けて「義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進する」と言及。また、同月に発表された「世界最先端IT国家創造宣言」では、「国際的にも通用・リードする実践的な高度なIT人材の育成」が必要であるとして、「初等・中等教育段階からプログラミング等のIT教育」を推進することが明記された。

 これを機に、それまで民間の教育機関やNPO、一部の学校で先進的に行われていた子どものプログラミング教育への注目度が一層高まり、ワークショップの開催や紹介本の発行などが活発化している。

 第2回では、日本のプログラミング教育の現状について、学校や民間の取組み事例を紹介する。
《柏木由美子》

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