【AO入試の基礎9】AO入試対策、スタートは高2の夏から

 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第9弾では、AO入試を受験する際の対策をどのように進めていくべきかについて話を聞いた。

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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第9弾では、AO入試を受験する際の対策をどのように進めていくべきかについて話を聞いた。

◆AO入試の対策は、高2の夏からが理想

 「さあ、これからAO入試での合格をめざそう」と思った時に、多くの受験生やその保護者は、このように感じるはずです。「一体、何から始めればいいのだろう?」「いつからどのように対策を始めればいいのだろう?」と。

 AO入試は、一般受験と比べると歴史が浅いうえ、学校でも十分にノウハウが蓄積されていないことも多く、さらには個別性が強いので、受験対策のスケジュールを自分で考えて作っていかなければなりません。

 一般受験であれば、「この時期までに志望校を決めよう」「この大学を受験するなら今はここまでやっておこう」という情報がさまざまなところに存在しています。ある意味、学校なり予備校なりが教えてくれるそうした情報にうまく乗ることができればいいわけです。

 ところが、AO入試はそうはいかないので、受験を意識しつつもなんとなくやることがわからない。そして受験の数か月前、志願書類の提出が現実味を帯びてきた頃になって、初めて「書類を書く」という具体的なやるべきことが出てくる。その時点になってようやく志望理由やら学びたいことを真剣に考え始める…ということになってしまうケースは少なくありません。つまり、実質的には、対策をしたのは直前の1~2か月ということです。

 ただ、直前の1~2か月の対策で合格できることがあるのも事実です。これは、それまでほとんど勉強をしておらず、1~2か月の対策だけでは志望校に合格するのが非常に難しい一般入試と異なる点です。

 とはいえ、これではAO入試の受験が「賭け」や「一発逆転」の手段になってしまいます。また、対策の期間を集中させると、その数か月の期間は一般受験の対策が完全にストップすることになるので、その意味でもリスクが非常に高くなります。

 それでは、結局のところ、いつから始めるのがよいでしょうか?理想的には、AO入試の対策を始めるのは「高2の夏休みから」になります。

◆なぜ「高2の夏休みから」なのか、3つの理由

 なぜ「高2の夏休みから」を推奨するのでしょうか。理由は3つあります。

 1つ目は、「AO入試専願」は、仮に対策をきちんとやったとしても、やはり不確かな部分は残るので、基本的に一般受験を視野に入れることを薦めたいからです。そのため、一般受験のための受験勉強と両立させることを考えるとやはり高2の夏からが理想的です。

 2つ目は、高2の時にオープンキャンパスを活用しておきたいからです。前回・前々回のこの連載でオープンキャンパスの重要性と活用の仕方を取り上げましたが、この機会を踏まえた大学選びをしておくことは対策の意欲を高めたり、志望の意思を確固たるものにする意味で非常に重要だからです。

 そして3つ目。AO入試で合格をめざすには、「行動する」ということが非常に重要で、そのためには一定の期間が必要だからです。ここで「行動する」とはどのような意味か。これは、たとえばボランティア活動への参加やさまざまな人に会って話を聞くなどのことです。

 というのは、たとえば「弁護士になりたいから法学部に入りたい」といった志望理由に対しては、この例であれば必ず「なぜ弁護士になりたいのか」が必要になります。その際には、「◯◯を見て」「◯◯という話を聞いて」という間接的な経験よりも、「自分が◯◯に参加して」「実際に◯◯の話を聞いて」「◯◯した経験を通じてこう思った」といった、実体験をベースにしたストーリーがある方が、説得力が増すからです。

 このように言うと、「書類や面接で説得力がある」という受験対策としてのように思われるかもしれませんが、実はこれは副産物。本質的には、AO入試をきっかけにしてさまざまな経験をすることで、大学への志望度合いや意欲を高めたり、経験しないとわからなかったような新しい気づきを得たりすることが重要なのです。その経験によってこそ、入試対策用ではない、明確な学ぶ目的が生まれるからです。

 こうした経験が必要だからこそ、直前の「合格するためだけ」になりがちな対策ではなく、計画的で中期的な対策が必要なのです。

 一方で、現状、多くの人がAO入試の受験を検討するのは高2の冬休み、つまり学校や予備校などが志望校の決定や受験勉強の本格的なスタートを迫る時期、あるいは高2の春休み、つまり高3になる直前や高3の4月になる時期というケースが多いです。何かしら行動をするとなると、ここまでが本当にギリギリの時期でしょう。

 高3の4月以降になると、AO入試を意識して何かの行動をするのはかなり難しく、これまでの経験のなかから紐解いていくしかなくなります。だからといって合格は不可能というわけではありませんが、合格するためには、一般受験との併願を視野に入れ、高2の夏からの対策を意識しましょう。次回からは、高2の夏から具体的に「いつから」「何を」やっていくべきかについて解説していきます。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回もAO入試お役立ち情報を掲載する。

《編集部》

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