【AO入試の基礎11】AO入試で自己分析が必要な理由

 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第11弾では、自己分析について話を聞いた。

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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第11弾では、自己分析について話を聞いた。

◆「自己分析は高校生には早すぎる」ことはない。むしろ、やるのは今

 自己分析とは、文字どおり「自分を分析すること」。その目的は、自分を分析した結果、自分が本当に行くべき、ないしは納得ができる大学に進学すること。具体的なゴールこそ進学先を決めることですが、その前提は自分が「やりたいこと」や「なりたい自分」を見つけることです。というのも、本来、それがあって初めて進学先を決められるはずだからです。

 ただ、ここで注意したいのは、自分が「やりたいこと」を考えるといったときに、それを単なる「就きたい仕事探し」や仕事に活かせそうな「長所や好きな事探し」で終わらせてしまわないことが重要です。

 就職活動での自己分析で重要なのは、単に仕事や会社を決めることではなく、自分がどのように生きたいかを考えることだと多くの人が指摘しています。AO入試のために行う自己分析もそれと同様。どの大学・学部に行くかということだけではなく、これから先、自分がめざす生き方を考えてほしいと思います。実際、それこそが「キャリアを考える」ことでもあります。

 とはいえ、高校生には大学生活や就職活動が控えているし、そもそもそんなことを考えるにはまだ早いと考える保護者の方もいるかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。就職活動をした学生はよく次のように言います。

 「こんなに真剣に将来のことを考えたのは初めてだ。」

 これは、それまでは真剣に考えてこなかった(あるいは漠然としか考えていなかった)ということを言い表しています。また、「就職活動の期間ですごく成長することができたと思う」という声もよく聞きます。

 将来のことを真剣に考えることによって、自分の課題ややるべきことがわかり、大きく成長することができるということ。そうであるなら、たとえ大学生よりは未熟だったとしても、AO入試をきっかけに自己分析をすれば、この機会を3年後の就職活動まで「延期」した場合よりも早く、大きな成長の機会を得ることができるのです。

◆「やりたいこと」を、仕事と直接結びつくことに限定しない

 自己分析で最初にやるべきこと自体は、そんなに複雑である必要はありません。とにかく、「これからやりたいこと」や「どのような大人になりたいか」を思いつくまま、なるべく多く挙げ、付箋などに書き出すことです。就活生向けの本では、100個は書き出してみようと書かれていたりもします。さすがに100個を挙げるのは難しいかもしれませんが、重要なのは、とにかく「出し切る」こと。これ自体は誰かに評価されるようなものではないので、他人の目を気にせず思いつくまま挙げてください。50個は挙げてください。

 その際、「やりたいこと」や「どのようになりたいか」を、「仕事」と直接結びつくようなことに限定せずに挙げていって構いません。また、具体的だったり抽象的だったりといったことも気にせずに。そして、「自分なんてこんなものだろう」と、自分で枠を決めてしまわないこと。ですので、たとえば「周りの人から注目されたい」「お金に困らないようになりたい」「世界中の人から感謝されたい」「自分がやりたくないことはやらないでいい生き方をしたい」など、それぞれの一貫性なども今は考えず、次々に挙げていくことを心がけましょう。

 出し切った後は、いわゆる「KJ法」と同じ要領です。似通ったものを集めていくつかのグループに分けていくと、自分が考えていることに、一定の傾向があることがわかってきます。ただ、「たくさん挙げる」まではおそらく高校生が独力できることと思いますが、それをグループ化していくのは難しい場合があるので、この作業を意味あるものにしていくためには、きちんとサポートをしてくれる人がいることが条件となるでしょう。そうでないと、「挙げっぱなし」になってしまうことが多いからです。

 さて、こうして「やりたいこと」や「なりたい自分」へのイメージがある程度わかったとしても、自己分析はそれで完了というわけにはいきません。というのは、それらを実現していくためにやるべきこともあれば、今、何ができているのかを知る必要もあるからです。つまり、「今の自分」の状態です。「今の自分」と、この「やりたいこと」「なりたい自分」との差を知り、これからの課題を具体的にしていくことこそが、自己分析のゴールです。次回は、このことについて説明をしていきます。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回もAO入試お役立ち情報を掲載する。

《編集部》

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