「命は美しい」、子どもの自殺・いじめ防げ…SOSダイヤル再度周知

 文部科学省は8月末、「24時間子供SOSダイヤル」やそのほかの悩み相談ダイヤルについて改めて周知を行った。保護者や地域の大人が先導を切り、子どもたちへの浸透を図りたい。

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子供のSOSを受け止めるポスター
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  • 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」
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 文部科学省は8月末、「24時間子供SOSダイヤル」やそのほかの悩み相談ダイヤルについて改めて周知を行った。「24時間子供SOSダイヤル」の番号は「0570-0-78310(なやみ言おう)」。保護者や地域の大人が先導を切り、子どもたちへの浸透を図りたい。

 内閣府が発表した「平成27年度自殺白書」によると、18歳以下の自殺者数がもっとも多い日は夏休み明けの9月1日。特に10代前半の子どもによる自殺は遺書や予兆がなく、大人が子どもの変化に注意を払い、悩みを打ち明けやすい環境を作る必要があるという。

 文科省によれば、2月に発覚した川崎市中学1年生殺害事件においては、一部の子どもが状況に気がついていたにも関わらず、大人には伝わっていなかった。そのため、丹羽秀樹文部科学副大臣を主査とする「川崎市における中学1年生殺人事件に関するタスクフォース」は、「川崎市における事件の検証を踏まえた当面の対応方策」を平成27年3月31日に取りまとめ、子どものSOSを受け止めるダイヤルについて周知することを決定した。

 「24時間子供SOSダイヤル」の周知を図るポスターは、同取りまとめの「川崎市における事件の検証を踏まえた当面の対応方策」を受けて作成されたもの。ポスターには、「命は美しい」を発表した乃木坂46メンバーの西野七瀬が選ばれている。ダイヤルを周知するポスターは全国の約3万7,000校に配布され、学校内および若者が集まる学校周辺の遊技場等に掲示することとされている。

 「24時間子供SOSダイヤル」は、いじめ問題やそのほかの子どものSOS全般に悩む子どもや保護者などが、24時間いつでも相談できるよう設けられたダイヤル。夜間・休日を含め、子どもたちがいつでも相談できるよう、全都道府県および指定都市教育委員会で実施されている。

 文科省以外にも、各省は子どもの悩みを受け付ける相談窓口を開設している。ダイヤルは、「子どもの人権110番(法務局・地方法務局)」や、児童虐待の可能性がある場合に本人や家族、地域の者が相談できる児童相談所全国共通ダイヤル「189番」など。それぞれポスターで詳細を確認できるほか、文科省Webサイト「いじめ問題を含む子供のSOSに対する文部科学省の取組」にも掲載されている。

 インターネット上では、学校に行きたくない児童・学生に向けて鎌倉市図書館が投げかけたあたたかい一言が話題だ。子どもの変化に配慮するのはもちろんのこと、子どもたちが気軽に相談できる窓口を周知し、自らの目の届かない範囲にも多くのセーフティネットを用意することも大人や地域の役割のひとつではないだろうか。
《佐藤亜希》

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