【難関中合格AtoZ】志望校別特訓は必須? 秋以降の過ごし方…SS-1馬屋原先生

 中学受験直前になると、大手塾では小学6年生を対象とした志望校別特訓が始まる。特訓に参加する必要性や志望校合格に向けた秋以降の勉強法について、中学受験において定評のある個別指導塾SS-1の馬屋原吉博先生に話を聞いた。

教育・受験 小学生
個別指導塾SS-1自由が丘教室の馬屋原吉博先生
  • 個別指導塾SS-1自由が丘教室の馬屋原吉博先生
  • 「過去問は最高の問題集」と語る馬屋原先生
  • SAPIXの「難関校SS特訓(サンデーサピックス)」は9月からの5か月コースになっている
  • 早稲田アカデミーの「NN(なにがなんでも)学校別オープン模試」
◆基本的には希望制、テストがある塾も

--志望校別特訓には、希望すれば必ず入れますか。

馬屋原先生:志望校別コースの参加資格は、塾やコースごとに異なります。SAPIXの場合は基本的に希望制です。志望校に達するほどの学力がなくても入れますが、そういった場合、コース内のクラスは下の方になります。

 日能研では、これまでの公開テストの偏差値や向き不向きなどを考慮して塾の先生が特定のコースを勧めることもあるようです。早稲田アカデミーで「NN」に通うためには、資格試験をクリアする必要があります。9月以降の「NN志望校別コース」に通いたい場合は、7~8月にある試験に合格しなければいけません。

--志望校別特訓には、必ず入った方が良いですか。

馬屋原先生:自分の「第一志望校のみが対象」となっていて、かつ、「通える範囲」で実績を出しているコースが開催されているのであれば、基本的には活用した方が良いでしょう。同じ志望校を目指す者と机を並べることで、お子さまのモチベーションも上がります。一方で、厳しいことを言うと、志望校別特訓に参加試験があり、その結果特訓に参加できなかったならば志望校を再考することが必要かもしれません。

 また、参加資格を得られたからといって合格するとは限らないことも志望校別特訓を受けるうえで十分に意識しておかなければなりません。志望校特訓に参加できても、基本的な部分の抜けなどが大きく、一般的な公開テストの偏差値が足りていない場合は合格の可能性は非常に低くなってしまいます。

◆志望校の特訓がない場合は「過去問演習」と基礎固めが大切

馬屋原先生:また、塾より自宅の方がより自分の志望校を目指して勉強ができそうならば、必ずしも志望校別特訓に参加する必要はありません。特に、通えそうなコースが複数の学校を対象としている場合は検討した方が良いかもしれません。

 そもそも、志望している学校の特訓コースがない場合は志望校対策をご家庭で進める必要が出てきます。決して急ぐ必要はありませんが、併願校も含めて、計画的に過去問演習を進めていかねばなりません。

 過去問を解く目的は2つあります。ひとつめは、その学校の出題形式や時間配分に慣れていくことです。もうひとつは、合格ラインに達するために伸ばさなくてはいけないところや苦手分野を発見し、もっとも重要である「対策」を講じることです。しかし、過去問演習の量や解く順番、行うタイミングなどのプランニングや答案の分析をご家庭だけで進めるのは厳しいでしょう。可能な範囲で、塾の先生や個別指導・家庭教師など、プロの力を借りた方が良いかと思います。

《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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