初等教育から広く利用できるMOOC…国内外比較とまとめ

 BL(ブレンディッドラーニング)の中心的な方法論である「個別カリキュラム+学習者主導+達成度基準」を実践するうえで欠かせないのが、映像授業や演習問題ソフト、学習アプリ、校内SNSなど、ネット環境やデジタル機器の進化がもたらしたICTツールです。

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初等教育から広く利用できるMOOC…国内外比較とまとめ(画像はイメージ)
  • 初等教育から広く利用できるMOOC…国内外比較とまとめ(画像はイメージ)
  • iPAL「カーン・アカデミー講座」小松健司訳付
◆MOOCの真の醍醐味とは

 ここ数年のMOOCの爆発的な普及を後押ししているのは、世界の一流大学の講義を無料で提供する「Coursera」や「Udacity」、「edX」などで、今では合計数千ものコースが公開されていると言われています。

 私自身も2年前にCourseraでBLに関するコースを6週間にわたり受講しました。毎週、10本前後に小分けされた合計1時間程度のビデオを学習して課題を提出するのですが、字幕の表示や音速の調整ができるうえ、わかりづらい箇所は繰り返し見直せるので、特に支障なく理解することができました。時空を超えてマイペースで興味あるトピックを一流の専門家から勉強できる素晴らしさは何にも代え難いものです。その内容を再編集したリメイク版がカーンアカデミーでも公開されていて、私自身の翻訳による日本語字幕も付いていますので、関心のある方はご覧ください。

 いつでも・どこでも・マイペースで進められるビデオ学習の利便性もさることながら、MOOCの真の醍醐味は、コースのサイトに設けられたフォーラムで世界中の「学友」と国籍や年齢、経歴など無関係にさまざまなトピックについて文字通り議論できることです。私自身は週に2、3本しかコメントを投稿できませんでしたが、なかには毎週何十本も投稿している猛者もいました。

 毎週のクイズや課題提出に加えてフォーラムでのコメント数がコース成績に反映されるためですが、疑問点を投げかけて意見を聞いたり他国での実例や問題点を教えてもらったりと、講習内容の理解を深めるのに大いに役立ちました。また、提出課題は他の聴講生に評価・採点されることもアメリカらしいオープンな方法だと思いました。そしてコースの最後には修了証が発行されます。

 この先、アメリカではMOOCの修了証が就職の際に重視される時代になりそうです。この点については次回最終回、第6回でお話します。

◆カーン・アカデミー講座(日本語訳:小松健司・他)
The Case for Blended Learning


 このほかの日本語訳付き「カーン・アカデミー講座」5週間39本はWebサイト「Blended Learning」で視聴できる。
《小松健司》

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