秋田市内の中高一貫校で高校廃止の答申…内部進学者減少に歯止めかからず

 御所野学院検討委員会は11月12日、秋田市立御所野学院中学校・高等学校について、学院高等学校進学者の著しい減少を理由に中学校と高校を単独化するよう答申した。秋田県教育委員会は、この答申に基づき平成28年6月を目処に方針について検討する予定。

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秋田市立御所野学院中学校
  • 秋田市立御所野学院中学校
  • 過去6年間の学院高等学校への進学者数(人)
  • 秋田市立御所野学院高等学校
 御所野学院検討委員会は11月12日、秋田市立御所野学院中学校・高等学校について、学院高等学校進学者の著しい減少を理由に中学校と高校を単独化するよう答申した。秋田県教育委員会は、この答申に基づき平成28年6月を目処に方針について検討する予定。

 秋田市立御所野学院中学校・高等学校は、平成11年度に御所野学院中学校を大規模校から分離新設し、平成12年度に御所野学院高等学校を新設してスタートした市内初の中高一貫教育校。平成27年度は「絆づくり教育プラン」を掲げ6年間の学びを通じた個の成長を目標としているほか、7月17日には国際教養大学(AIU)との間で教育連携の協定を締結している。

 開校当時の中学校における入学者選抜は、秋田市立御所野小学校を卒業した児童85名のほか、市内の小学校を卒業した児童40名を募集。入学を志願した市内の小学校卒業予定者は当時88名で、志願倍率は2.2倍だった。高等学校への進学は、学院中学校を卒業した内部進学者のみ。

 御所野学院検討委員会の答申によれば、秋田市立御所野学院中学校・高等学校へ入学を志願する中学1年生および学院高等学校への進学者数は減少傾向が続いている。さらに、平成28年4月には秋田南高等学校を母体とする県立中高一貫教育校が開校予定であることも、今後に影響が出ると予想している。

 御所野学院検討委員会が検証したところ、過去6年間の学院高等学校への進学者数はそれぞれ平成22年は148名の学院中学校卒業のうち76名、平成23年は同139名に対し72名、平成24年は同123名に対し80名、平成25年は同130名に対し67名、平成26年は同138名に対し56名、平成27年は同109名に対し43名。現中学校3年生の学院高等学校進学予定者も50人台と、学院高等学校への入学者は減り続けている。

 今後の御所野学院のあり方の方向性について、小中高校生の保護者や町内会長、同窓会役員に意見を募ったところ、いずれの層でも入学制度の見直しが必要とする回答が多かった。制度の見直しに関しては、「高校入試を実施し、高校からの入学者を募集する」という意見や「中高一貫教育校の制度を廃止し、学院中を地元の中学校とする」「学力を向上させ、進路の実績をあげる」などの意見が集まっている。制度の見直しによっては、中高一貫校が解体されることとなる。

 御所野学院検討委員会と秋田市教育委員会は今後、御所野学院中学校・高等学校に対し中学入学時の定員を80名から100~120名程度に増やすことや、中学校と高等学校を単独校化することなどを審議する。秋田市教育委員会はこの答申に基づき、平成28年6月を目処に教育委員会としての方針を検討するとしている。
《佐藤亜希》

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