【中学受験2016】日能研に聞く「私学の魅力と、学校選びのポイント」

 いよいよ大詰めを迎えた2016年の中学入試。日能研に「中学受験は家族の受験である」というテーマで、公立にない魅力を備える私立中学の特徴から、私学を選ぶ際のポイントまでを聞いた。

教育・受験 小学生
日能研本部取締役の茂呂真理子氏
  • 日能研本部取締役の茂呂真理子氏
  • 日能研本部/進学レーダー編集長の井上修氏
  • 日能研子ども未来進学センター センター長の村上健氏
◆自分の感覚で我が子に合う私学を見極める

--第一志望の難易度が高い場合、小学校低学年から受験の研究や準備は始めていたほうがよいのでしょうか。

茂呂氏:受験の研究というよりは、3年生ぐらいまではその時期に大事にすべきことをしてほしいと思います。私学の学び自体が「今を大事にする」というスタンスで、その時期の子どもたちに必要なものを実践するアクティブさと自由さをもっています。受験は試験対策で終わることなく、入学した後に伸びるために、その時々の学びを大切にすることが重要です。1~2年生に必要なことは、たとえば漢字や計算などの知識獲得の学習ではなく、身の回りの遊びの中から学ぶ、自然を感じることから考えるといった、本格的な受験勉強に入る前の素養を育てることを大事にしています。

井上氏:難関校に入った生徒の成績の推移を調査したところ、4年生の時点では必ずしも高かったわけではありません。偏差値40台から5~6年で60台まで伸びたという生徒もいました。ですから、4年生で難関校の成績に届かなくても、あきらめるといった話はしていません。

 それは私学の学びにも通じていて、私学は中高6年間あり、その間に成績が揺れることもあります。それをトルクと呼んでいますが、一度成績が落ちても復活する可能性をもっています。難関校以外でも、じっくりと6年間かけて伸ばしてくれる学校もあります。

--今の保護者が受験した時代よりも、大学進学率だけが売りではない、特徴のある私学が増えていますね。

井上氏:今でも大学進学率は、学校を選ぶ際の指標のひとつではあります。あくまで指標のひとつであって、オンリーではありません。逆に、まだ実績がなくても、ビジョンがしっかりしている学校は人気がありますね。

--人気の高い学校にはどんな特徴がありますか。

井上氏:授業だけでなく、行事、クラブ。この3つを大事にしている学校は人気が高いです。

村上氏:やはりわかりやすい例でいうとクラブ活動ですね。今は、クラブ活動を頑張っている生徒が進学も頑張っているという実績があります。勉強と夢の実現の両方に向けて頑張るというスタンスが私学に根付きつつあると感じています。

--魅力ある私学の見つけ方があれば教えていただけますか。

井上氏:自分の感覚を大事にすることです。学校説明会に行ったら途中で帰らず最後までいたほうがよいです。最後に校内見学があり、実際に自分の目で見ることができ、かつ先生と直接お話ができます。「自分が取材者になる」ことが大事です。

茂呂氏:保護者のお話を聞いていると、合わない学校は瞬時にわかるようです。私学は、価値観や考え方、背景が色濃く反映されているので、足を運んで自分の感覚で感じてみるとよいですね。

村上氏:合わない学校はわかりやすいのですが、一方で合うほうはわかりにくかったりします。そこで複数の私学にコミットし、「いいな」と感じた点を集めることにより、「我が家はここを大事にしていたんだ」というビジョンが明らかになっていきます。

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《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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