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入学金納入後に入学辞退、返金してもらえるか?

教育・受験 保護者

弁護士 篠田恵里香氏
  • 弁護士 篠田恵里香氏
 センター試験も終わり、2月1日には首都圏で中学受験が解禁となる。2月末からは公立高校受験も本格化し、いよいよ受験シーズンもピーク。高校受験を控えた受験生をもつ保護者のなかには、公立校と私立校をどのように併願するか、また、その際の入学金は払うべきか悩むこともあるのではないだろうか。

 家庭の問題はもちろん、教育トラブルにも詳しいアディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に、入学金との付き合い方を聞いた。

◆私立高校から入学金の振り込み依頼が…これは必ず必要なもの?

 公立高校が第一志望だけれども、念のため受けた滑り止めの私立高校から合格直後に入学金の請求が届き、入学金を支払わないと、公立高校の合格発表前に入学資格が破棄されてしまうということもあるようです。

 私立高校に合格した喜びとともにやってくるのが、「高額な入学金の問題」ですね。複数校受かっている場合は100万円を超える額になる場合も少なくなく、親御さんにとっては頭の痛い問題でもあります。いわゆる「滑り止め」のために私立高校に支払うお金は、大きく分けて「入学金」と「授業料等(入学後の授業等に対する対価)」に分類できます。

 最高裁の考え方によれば、「入学金は、入学できる地位をキープするためのお金」であり、仮に入学しなくとも、不相当に高額等の事情がない限り返還請求ができません。一方、授業料等は、「入学を前提に授業を受ける対価等として学校に支払うべきお金」と考えられており、入学を辞退すれば、原則として返還請求できると考えられています。

 私立高校側は、合格者の入学を前提に準備を進めるため、辞退前にも事務作業等が発生することは否定できません。したがって合理的な範囲内で、入学金などを事前に支払ってもらうことは違法とはならないと考えられます。

◆入学金以外にも、前期の学費や教材費も支払うように言われた。払うべきか?

 基本的には、入学金を支払った段階で在学契約の予約成立、授業料等を支払った段階で在学契約成立、となるのが法律的な考え方です。したがって、入学手続きを完了するには、指定期間内に入学金および授業料等を支払うことが必要となります。

◆入学を辞退した場合、入学金や授業料の返還(払い戻し)はあるか?

 ただ、入学辞退をした場合は、授業料等については返還請求が可能となるのが原則です。仮に、募集要項などに、「入学金および授業料はいかなる場合であっても返還しません」という不返還特約が記載されてあったとしても、「学校側が被る平均的な損害を超える違約金を定める条項は無効」というのが消費者契約法の考え方なので、授業料を返さないという特約は原則無効となります。

 通常は、4月1日より前に入学辞退をすれば、学校側としては何ら損害を被らないというのが裁判所の考え方なので、入学辞退は3月末までに必ず行うようにしましょう。この場合、すでに支払った授業料等は返してもらえます。

 なお、特別な受験の場合、たとえば、推薦入学や入学を確約したうえでの受験の場合は、「学校側は入学手続き完了後、その学生の入学を期待する」ことから、授業料も返還されない可能性が高く、結論が異なってきます。

◆高額な入学金納付を求められている。何の運用に充てるか学校に聞いても良いか。

 入学金があきらかに高額の場合、法律上「高すぎる」として支払い義務を負わないか、実際に支払った額の一部返還が認められる可能性があります。入学金や授業料等の名目および、その使い道についてはしっかり説明を受け、納得がいかない場合には法的に争う可能性も出てきます。通常、学校側で、費目・金額は出してもらえるはずなので、開示を請求してみるのが良いと思われます。

 お子さんのことを大事に思うあまり、学校側の言いなりになってしまいがちなトラブルですが、法的に過大な請求に応じる必要はありませんし、返還すべきものは返還されて然るべきといえます。どのように対応したらいいか悩んだ場合は、弁護士を頼ることも一案です。
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篠田恵里香(弁護士)
 東京弁護士会所属。外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格。債務整理をはじめ、男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。夫婦カウンセラー(JADP認定)資格保有。独自に考案した勉強法をまとめた「ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた夢がかなう勉強法」(あさ出版)の執筆ほか、「Kis-My-Ft2 presentsOLくらぶ」(テレビ朝日)などメディア出演も多い。
《編集部》

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