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【AO入試の基礎20】 プレゼミナールを経た新挑戦、お茶の水女子大学編

教育・受験 高校生

今さら聞けない!AO入試の基礎知識
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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第20弾では、お茶の水女子大学の新型AO入試について聞いた。

◆お茶の水女子大学の新型AO入試「新フンボルト入試」

 今回取り上げるのは、お茶の水女子大学が2016年の夏から実施する新型AO入試「新フンボルト入試」です。どういったところが「新型」なのか。それを知るために、まずは既存のお茶の水女子大学のAO入試について説明しておきましょう。

 お茶の水女子大のAO入試は2008年度から行われています。内容は1次試験は書類審査。その後2次試験として授業を受けてのレポート作成とグループ討論、小論文執筆があります。それに加えて、2日目には英語での授業を受けてレポートを作成し、グループ面接などを行うという入試が実施されます。

 1日目の内容などは前回紹介した九州大学の21世紀プログラムのAO入試と近いものと言えるでしょう。これは、大学での学習の流れに近い活動を行って、入学後に大学で伸びる可能性を評価しようという評価したいという意図が感じられるものでした。

 このAO入試の活動を、求める学生像はそのままに、「新型」の入試としてより学ぶプロセスを重視して評価し、伸びしろのある学生を選抜する方向へと一歩進めたものがお茶の水大学の「新フンボルト入試」なのです。

 そもそも「フンボルト」とは「ヴィルヘルム・フォン・フンボルト」という、ベルリン大学の創設者で近代大学の祖と言われる人物の名前。入試のねらいはこの名前に集約されており、お茶の水女子大学は「研究中心主義のドイツ近代大学では、文系は図書館、理系は実験室でゼミナールをすることが重視され、大学は知識を吸収する場ではなく知識を生産する場として構想されました。このフンボルトの理念を、そのまま入試のプロセスに反映させたのが『お茶大発新型AO入試(新フンボルト入試)』です」と、意図を説明しています。

◆中心となるのは図書館や実験室での活動

 入試は、プレゼミナール、第1次選考、第2次選考を経て合格発表という流れで行わ
れます。プレゼミナールは2日間で行われ、この時点で講義や演習(実験)、情報検索やレポートの書き方を受講します。特徴的なのは、プレゼミナールは受験生だけではなく、高校2年生や高校の先生にも開かれたものである点。これは、大学での学びを受験生に限らず、高校の教育現場に対しても知ってもらい、高校教育への波及効果を意図しています。

 1次試験は、プレゼミナールのレポートやTOEFLなどの外部試験を利用した書類審査が実施されます。そして、ユニークなのは2次試験。3日間に分けて行われ、1日目に英語での授業を受講してレポートを提出したあとは、2日間文系の受験生は図書館、理系の受験生は実験室を使ってレポートを作成します。

 文系では、漠然としたテーマが与えられ、そのテーマに対して図書館を活用して自分の解釈でレポートを作成する。提出する前に、途中で一度、発表と審査員からの講評を挟み、軌道修正なども可能にしたうえで、再度発表を行います。そのうえでグループ討論などを行います。

 問題を設定して情報を探索・活用し、論理的に表現することだけではなく、第三者の意見を「聞く」という活動も含まれています。このように、「新フンボルト入試」はこれまでのAO入試よりもより多面的に評価をする入試になっています。

 ちなみに、入試は8~9月に予定されており、比較的早くに合格が決まることから、合格後には入学前教育やセンター試験の受験も課しています。

◆2016年夏の第1回の実施に注目

 このような新フンボルト入試は、AO入試の中でも極めて先駆的な試みです。この入試での入学定員は、20名程度が予定されています。これは入学者全体の5%弱です。入試にかかる多大な時間と労力やコストを考えると、これをこのまま拡大することは相当難しいはずです。しかし現在、高校までの学校現場が取り組んでいるアクティブ・ラーニングと入試のやり方との整合性を考えると、この入試がひとつのモデルになることは確かです。今後、この入試の成果も積極的に発信していくそうなので、2016年夏の最初の実施の時点から注目しておきたいですね。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回以降も、人気大学や特徴のあるAO・推薦入試を行っている大学・学部の出題例やねらいを分析していく。
《編集部》

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