【難関大学生座談会】小中高生時代のパソコン活用と学習効果

 有名難関大学に通う学生4名に、いつからパソコンに触れ、どんな使い方をしていたか、効果的だった学習方法や気をつけていたことなどについて語ってもらった。

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 子どもにパソコンで学習をさせたいが、その一方でマイパソコン(子ども専用パソコン)を与える時期や、依存症やネットトラブルなどの不安を抱く保護者の方も少なくない。そこで、現在、有名難関大学に通う学生4名に、いつからパソコンに触れ、どんな使い方をしていたか、効果的だった学習方法や気をつけていたことなどについて語ってもらった。

【参加者】
憶斗(おくと)さん(東京大学 経済学部4年)
暁史(あきふみ)さん(慶應義塾大学 法学部4年)
由奈(ゆな)さん(早稲田大学 文学部2年)
豪(ごう)さん(早稲田大学 文化構想学部1年)

◆パソコン利用は小中学生から、受験勉強や進路選択にも活用

--パソコンを使い始めた時期とマイパソコンを持った時期を教えてください。

憶斗さん:僕は、中学入学後に遊び感覚で動画を見ることから、パソコンを使い始めました。その後、長く通っていた塾の先生から大学の入学祝いとしてプレゼントしてもらったものが、初めての自分用パソコンです。

憶斗さん(東京大学 経済学部4年)

暁史さん:パソコンを使い始めたのは、小学生の頃。自分用を持ったのは、高3からです。大学に入ったら必ず必要になるだろうし、進路など自分で調べたいことも出てくるだろうから、と親が買ってくれました。

由奈さん:使い始めたのは小3か小4ぐらいからで、タイピングゲームなど遊び中心で使っていました。自分のパソコンを持ち始めたのは小5です。大学入学を機に、新しいWindowsパソコンを買ってもらいましたが、Windowsを購入した理由は学校のパソコンとの互換性ですね。

豪さん:中学時代から遊びで使い始め、学習に使い始めたのは高2からです。塾の教材を家に持ち帰って取り組み、ネットで提出するなど、受験勉強に役立てていました。マイパソコンを持ったのは、大学に入ってからです。



◆小中学生時代から授業や課題でパソコン活用

--小中学生時代は、パソコンをどのように使っていましたか。

由奈さん:小学校の授業で、川に住んでいる生物を調べ、その調査でわかった生き物についてまとめるなど、新聞作りにパソコンを活用していました。小学校のパソコンルームで作り、印刷して教室に貼り出すというものです。

由奈さん(早稲田大学 文学部2年)

豪さん:小学校のパソコン授業では、パワーポイントで自分の住んでいる地域やペットの紹介などをまとめました。中学では、興味のある神社仏閣について調べてまとめ、それがどういうものなのか説明をする授業のほか、自由研究でも使っていました。

憶斗さん:小学校のときには、総合授業の一環としてメディアリテラシーを学んだり、あらかじめ用意されたフォーマットに必要な情報を入れ込んで自分のホームページを作ったりする学習がありました。

暁史さん:僕は中高一貫校だったので、高校入試がない代わりに、卒論のようなかたちで、自分で課題を決めてレポートを提出するという課題があり、パソコンを活用しました。

◆小学生より中学生、さらに高校生と学年が上がるほど学習効果アップ

--効果的なパソコン学習や、有効だった教科を教えてください。

由奈さん:高校時代ですが、世界史のサイトなどにあるフリーで使える年表を、自分用にカスタマイズし、さらに穴埋めスタイルに変えて、テスト勉強に使っていました。

憶斗さん:大学1、2年のときの統計の授業は、パソコンがないとキツイなと思うときがありました。手計算では正直いって大変すぎるので、パソコンは必須ですね。

暁史さん:僕が利用していた単語帳サイトは、ランダムに問題を出してくれる仕様だったので、参考書のように並び順でなんとなく覚えるのではなく、英単語をきちんと覚えたかどうか確認でき、とても役立ちました。

豪さん:大学受験のとき、塾で日本史クラスを受講していましたが、終盤、駆け足ぎみに進んだ近代史をカバーするために、塾で配信している年代ごとの講義動画をパソコンで視聴し、理解を深めました。動画は何回も見られるうえ、動画で確認しながら小テストの丸つけをする活用法も、非常に有効でした。

◆有効活用には“けじめ”が重要

--パソコンを利用する際、どんなことに気をつけていましたか。

暁史さん:受験勉強真っ只中というときに自分用のパソコンを購入したため、「ダラダラと使わず、勉強なら勉強、遊びなら遊びとその目的のためだけに今から使うんだ!」と心に決めてパソコンを立ち上げていました。

暁史さん(慶應義塾大学 法学部4年)

憶斗さん:大学の課題で使うようになってからは、情報の信憑性に注意深くなりました。ウィキペディア(インターネット百科事典のようなサイト)の情報をそのまま使わないようにするとか、情報の出どころには常に気をつけています。

由奈さん:小学生時代に、深く考えずにリンクを踏んでしまった経験から、信頼できるサイトかどうかを確かめてから飛ぶことを学びました。小さな失敗体験が、今とても役立っています。当時からフィルタリングはかかっていませんでしたが、家族団らんの時間は「パソコンを使う時間じゃないよ」と注意され、使う時間、使わない時間をきっちり分ける習慣は早くから身に付いていたと思います。

豪さん:勉強でパソコンを使う場合、だれかが見ていないと気が抜けてほかのことをしてしまうので、家族の目があるリビングで使うなど、けじめをつけて利用していました。

◆双方向性など限りなく可能性が広がるパソコン学習

--大学入学前にこんな教材があれば使いたかった、こんなシステムならよかった、というものはありますか。

豪さん:現在、第2外国語の授業では、家で課題に取り組んでから大学の講義に出席するのですが、わからないことをネット経由で質問すると、次回の授業までに先生が答えてくれます。それが、小中高の授業でもあったらよかったのに、と思います。

豪さん(早稲田大学 文化構想学部1年)

由奈さん:受験生のころは、自分で英単語を読み上げてパソコンに録音し、勉強していました。「受験サプリ(現・スタディサプリ)」なども活用し、塾へ行かずにパソコンをフル活用して受験勉強をしていましたが、今は機能がさらに充実していますよね。

憶斗さん:パソコン利用の学習でいいなと思うのは、圧倒的な安さです。僕は私立の中高一貫校に通い、予備校にも行き、今思うと親にとても負担をかけていました。ネット教材は価格面でも魅力です。パソコンによるネット授業なら、リンクを貼ることもできますし、効率よく学べます。科目を横断した学びにもつながると思います。

暁史さん:オンラインでライブ映像授業に取り組んでいる塾(アオイゼミ)があり、受講生がコメントすると、リアルタイムで講師がそのコメントに回答してくれます。その双方向性は、すごく便利だと思います。

◆英語4技能学習やアクティブラーニングにはパソコンが効果的

--子ども時代から始めるパソコン活用の学習についてはどう思いますか。

由奈さん:パソコンがあったから成績が上がったという実感はあまりないのですが(笑)、手元を見ずにブラインドタッチで入力できたり、他の子より操作がスムーズだったりするので、そういった面では小さい頃からのパソコン利用が役立っていると思います。また、小学生のころからパソコンで調べ物をしていたので、いろいろなことをよく知っていると言われたことはあります。

憶斗さん:学校での授業が、中高生時代の受動型から、大学では発信型へ変化し、PowerPoint(パワーポイント)を使うことが増えました。パワーポイントは仕上がりのクオリティで、伝わりやすさや理解度も変わります。僕はあまりキレイに仕上げられないのですが、アニメーションなどを上手に使っている人のまとめ方を見ると、やはり小さい頃から慣れている人は違うなと思います。あとは、プログラミングも勉強しておけばよかったと感じますね。

暁史さん:たとえば世界史で何年に何があったかや、英単語の意味などは、パソコンで調べればすぐにわかります。一方、大学の授業はパソコンで調べて出てきたことは知識として理解している前提で進みます。つまり、パソコンの検索では出てこない「考える授業」が、高校までとの違いです。現在、小中学生にも双方向授業が広がっているそうですが、暗記だけの勉強ではない「考える授業」に取り組み始める学年が、パソコン活用のおかげで下がってきたのではないかと思います。

豪さん:僕が大学受験した2016年度から、早稲田では英語4技能(読む・聞く・書く・話す)を組み合わせた「TEAP受験」が導入されました。ネットに上がっている過去問には、無料で配布されている音声リスニング問題やライティング問題もありますし、リスニングはパソコンがあるとかなり有利だと思います。

--ありがとうございました。

◆パソコンは上手に付き合って学習効果を上げるツール

 4人に共通しているのは、小中学生時代から自宅でも学校の授業でも日常的にパソコンを利用していたこと。早い時期にITリテラシーを身に付け、学習ツールのひとつとして上手に付き合いながら活用し、安全に効果的に使いこなしている。

 大学1年生の豪さんが語る「TEAP受験」をはじめとした英語外部試験を入試に導入する大学は拡大傾向にあり、英語4技能対策は欠かせなくなっている。また、マイクロソフトが、砂場のように自由に遊べるサンドボックス型ものづくりゲーム「Minecraft: Education Edition(教育版マインクラフト)」の提供を開始するなど、教育現場でのプログラミング教育にも、今後ますます熱が入ることが予想される。受験システムやプログラミング教育なども考えると、小中高生からのパソコンによる学習の必要性は、今まで以上に確実に高まりそうだ。

【WDLC My First PC 体験イベント】
 パソコンを活用した学習方法やプログラミング、幼児から中高生が楽しめる知育アプリの体験イベント。
(1)
日時:2016年12月23日(金・祝)~25日(日)11:00~19:00
場所:ダイバーシティ東京プラザ 4階「ハンズビー」
(2)
日時:2016年12月27日(火)~30日(金)11:00~19:00
場所:イオンモール幕張新都心 1階「グランドコート」
参加費:無料
参加申込:不要、入退場自由

《船田るみ子》

船田るみ子

北海道生まれ、フリーランスのコピーライターとして活動中。興味がある分野は、ニューロダイバーシティを含め教育、美術、建築、スポーツ(野球)、NFT、Web3など。企画・編集協力として、日めくり型書籍『年がら年中長嶋茂雄』(ベースボール・マガジン社刊)がある。Podcastを聞きながらのランニングが日課。

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