【センター試験2017】(2日目)アオイゼミ、「数学1・2」講評…数学IIBやや易化

 1月14日(土)と15日(日)の2日間にわたり実施された平成29年度(2017年度)の大学入試センター試験。リセマムでは、スマホ学習塾「アオイゼミ」を展開する葵の協力を得て、「数学1(数学I・数学A)」と「数学2(数学II・数学B)の講評を公開する。

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センター試験2017
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  • アオイゼミ 問題講評 数学1「数学I・数学A」
  • アオイゼミ 問題講評 数学2「数学II・数学B」
 1月14日(土)と15日(日)の2日間にわたり実施された平成29年度(2017年度)の大学入試センター試験。志願者数は57万5,967人、現役志願率は過去最高の43.9%。大学・短期大学あわせて848大学が参加した。今後、1月18日には平均点や受験者数の中間発表が予定されている。

 リセマムでは、スマホ学習塾「アオイゼミ」を展開する葵の協力を得て、「数学1(数学I・数学A)」と「数学2(数学II・数学B)の講評を公開する。

◆数学1「数学I・数学A」

【難易度】変化なし
選択問題では完答することの難易度が少し高いものも見られたが、必答問題は基本的な問題のみで解きやすいものとなっているため、全体としては難易度の変化はない。

【出題分量(前年度比)】変化なし
分量に変化は見られない。計算量がやや多くなったため、計算の正確性がより問われるようになった。

【出題傾向分析】
・全体概観
基礎から応用まで幅広く出題されている。出題分野に大きな変化は見られない。ほぼすべての大問において、完答するにはその分野の深い理解が必要となっており、しっかりとした練習を積むことが不可欠となっている。
第3問では、選択肢の中から選ぶという形で和事象や排反事象といった概念を問う問題が今までにないものだった。昨年に引き続き新課程内容の条件付き確率が出題された。

・大問別:
大問1
[1]式の展開、因数分解を用いて値を求めて行く問題。対称式の考えが身に付いていれば容易な問題。3次式の因数分解は数学IIの範囲だが、式が穴埋め式になっているため、丁寧に計算すれば、解くことができる。
[2]必要十分条件の問題、与えられている条件がわかりやすいため丁寧に条件をまとめられれば正答は容易。
[3]小問の一番最初の平方完成をミスなくこなすことが重要となってくる。文字の置き換えをした際に、変数が0以上になっていることに注意。

大問2
[1]正弦定理、余弦定理、面積に関する問題。問題自体は平易だが、平方根の計算がやや複雑なため、正確な計算を心がけたい。
[2]スキージャンプのデータをもとにした4つの値の相関の読み取りの問題。散布図の読み取り、共分散・相関係数を考えるもの、ヒストグラムと箱ひげ図の読み取りを問う問題が出題された。用語の理解がきちんとしていれば容易な問題であった。

大問3
3人が順番にくじをひいていく問題。(1)は余事象の基礎的な問題(2)(4)の選択肢を選ぶ問題は選択肢が易しいため正解を選ぶことは容易だった。(3)は条件付き確率を求める問題。それまでの問題が解けていれば(5)は解ける。

大問4
倍数・約数の性質を用いた問題。(1)(2)は4と9の倍数の性質を知っていることが重要。また、4の倍数かつ9の倍数が6の2乗の倍数になることにも注意。ここは誘導を理解できるかが鍵。(3)は約数を用いた基本的な計算問題に加え、二進法で表した際の末尾に並ぶ0の数を問う問題だった。誘導をしっかりと理解した上で、基本的知識を持っているかを問う問題。10進法の末尾の0の数が10で割り切れる回数と等しくなる事を考えれば、二進法の末尾に並ぶ0の数が2で割り切れる回数と等しくなることがわかりやすくなる。

大問5
三角形と円に関する問題。(1)は方べきの定理とメネラウスの定理を用いれば容易に計算できる。(2)は三角形の内心に関する問題。
余弦定理や面積公式を用いる必要がある。内接円の特性を理解していれば、容易な問題であった。

◆数学2「数学II・数学B」

【難易度】やや易化
計算量が例年より少ない。誘導が丁寧であり取り組みやすい。

【出題分量(前年度比)】変化なし
設問数は変化なし。計算量が第2・3・4問でやや減少。

【出題傾向分析】
総じて真新しい問題はない。大問1・2ともにほぼすべてが誘導問題となっており、誘導の途中でつまづかなければ最後まで解ききれるであろう。選択問題は大問3・4に比べ、大問5がやや平易。ただし、正確な知識が必要とされる。
大問2ではこの2年間出題のなかった図形と方程式が指数対数との融合問題として出題された。

・大問別:
大問1
[1]三角関数を用いた連立方程式。誘導に従って解いていく。最後のcosを求めるところは条件をよく整理しよう。
[2]対数関数の問題で、聞かれていることは基本的な内容。内分点の求め方でつまづかなければ最後まで解けるだろう。最後の計算問題は対数の性質を使って式を簡単にしてから代入する。
[1][2]とも計算はそこまで複雑ではない。落ち着いて解こう。

大問2
(1)は微分で接線の方程式を求める基本的な問題。落ち着いて解こう。(2)は三角形の面積の増減を調べる。これも平易な計算。(3)は積分の問題。正確な計算が求められる。最後の問題はTの増減を求め、aの定義域と照らし合わせる。
総じて誘導にのって正確に計算できれば答えにたどり着く。

大問3
この問題は計算が煩雑である。(1)は基本問題。(2)は誘導通りに解く。式変形に戸惑わないように。(3)はひたすら計算。二次方程式を解くことから始まり、最後の数列の和まで、結構時間を取られる計算が続くが、焦らずに解きたいところ。途中、もとの数列の対数関数で新しい数列を定義しているが、等比数列なので分解できる。

大問4
(1)、(2)はベクトルの基本。確実に正解したい。(3)はHの座標を求めるところで少し苦労する。典型的なベクトルの問題ではあるが、答えにたどり着くまでのステップをしっかり踏まなければならない。(座標上の成分計算なので実はベクトルで解くよりも一次関数で解く方が楽に解ける。)これをクリアできれば最後の内積の計算にたどり着ける。

大問5
(1)は2項分布の基礎知識、(2)2項分布の正規分布による近似で正規分布表を用いる。(3)は確率密度関数の理解が問われている。他の選択問題に比べ、問われていることが基礎的で計算量も少なめなので、しっかりと知識が身についていれば容易であった。

(協力:葵「アオイゼミ」)
《編集部》

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