「テクノロジーと社会」を考える、照準は世界…朝日新聞社×リーダー塾igsZ

 2016年12月26日、東京・築地の朝日新聞本社にて、朝日新聞社とグローバルリーダー塾「英語で考えるリーダー塾igsZ(Institution for a Global Society × Z会)」による「未来のSEKAIを考えるWinter2016」が共同開催された。

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グローバルリーダー塾igsZ福原氏のプレゼンテーションに聞き入る高校生たち
  • グローバルリーダー塾igsZ福原氏のプレゼンテーションに聞き入る高校生たち
  • コンピュータが主体性や感情を持ったとき、人間はコンピューターに淘汰されるのか。高校生からは進化論に踏み込んだ質問もあり、コンピュータは世界を支配し得ると落合氏は語った。
 2016年12月26日、東京・築地の朝日新聞本社にて、朝日新聞社とグローバルリーダー塾「英語で考えるリーダー塾igsZ(Institution for a Global Society × Z会)」による「未来のSEKAIを考えるWinter2016」が共同開催された。

 2016年夏、日本全国から集まった高校生(中学3年生も含む)が、2050年の世界を見据えて、現在の世界の課題と解決策について考えた「未来のSEKAIを考える」サマーキャンプ。夏に続くウィンターワークショップにも、igsZ代表取締役・学院長の福原正大氏が開講する「福原アカデミー」参加者を含め、多くの高校生が集まった。

 まず「福原アカデミー」の生徒が、授業の一環として2016年の夏に訪問したカンボジアでの見聞など、この1年間の学びを発表した。孤児院への訪問、ゴミ山で働く人々の実態、現地の人々が自分たちへのもてなしのために豚を屠殺するようすを目の当たりにし、食と命の大切さを実感したことなど、現実の世界は「インターネットを通じて何もかもわかっているかのように思えていただけ」と言い、机上だけでは知り得ない「現場」を知ることの重要性を口々に語った。

 昼食を挟み行われた特別講演は、筑波大学助教でありメディアアーティストでもある落合陽一氏による「テクノロジーと社会」。「現代の魔法使い」の異名を取る同氏のプレゼンテーションは多くの示唆に富み、「魔法」が技術的な裏付けを持って実現していく近未来を、現実のものとして見せてくれた。「時代の流れよりも進捗の遅い研究の進捗度はゼロ」と喝破し、「人間が目で見て、耳で聞くものはまったく信用できない時代になる。コンピューターは世界を支配し、AIは人間を淘汰しうるもの。そんな時代だからこそ、インターネットの中と実質の垣根を超えていく人材がもっと出てきてほしい」と、高校生たちにエールを送った。

 引き続いてigsZ福原学院長によるワークショップが開催された。「テクノロジーと社会」という大きなテーマのもと、「未来の大学のあり方」について、いくつかのグループに分かれてディスカッションを行った。各グループには、igsZの卒業生であり、現在アメリカやイギリスの名門大学で学ぶ学生たちがファシリテーターとして参加し、参加者の議論を深める役割を担った。

 参加者の多くは、社会への問題意識が高く、学校という枠を超え、自らのコミュニティーを広げたいという思いで参加したという。海外の大学で学びたいという日本の高校生もいれば、海外の全寮制高校やインターナショナルスクールに在籍し、日本の高校生と交流したいという高校生もいて、各々が実に多様なバックグラウンドを有していた。

 彼らのように、一般的な座学形式の授業では飽き足らず、まだ答えのない問題に対して議論を深めながら学びたい、という高校生は数多くいることだろう。こうした意識の高い高校生を対象に、朝日新聞社は、引き続き3月下旬に東京にて「未来のSEKAIを考えるSpring」の開催を予定している。

 また、igsZ福原正大学院長によるグローバルリーダー講座「福原アカデミー」が2017年度も開講する。自らの軸を確立するための哲学的アプローチを継承しつつ、2017年度は年間テーマとして「テクノロジーと社会」を課題に掲げる。そのため、国内・海外のテクノロジー系企業や研究機関などの訪問も、授業の中に組み込まれる。2016年夏の研修先は上述の通りカンボジアだったが、2017年はシリコンバレーを予定している。

 「アカデミー修了時には、世界のトップスクールや東大推薦入試、京大特色入試、阪大世界適塾入試や早慶のAO入試などに合格できるエッセイが書けるようになるのは勿論、2020年度以降の新大学入試で問われる『自ら課題を発見し、深く考え、表現する力』をしっかりと身につけられるでしょう。」(福原学院長)

 「福原アカデミー」の対象学年は高校1年生から3年生。東京、大阪で各15名ずつ、論文選考によって選抜される。講座説明を含めた「AI時代が到来する未来に向け中高生が身につけるべき力」についてのセミナーは、2月5日午後1時~3時(東京)および2月11日午後1時~3時(大阪)に開催する。参加費は無料。詳しくはigsZのWebサイトで確認できる。
《加藤紀子》

加藤紀子

京都市出まれ。東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、経済産業省『未来の教室』など、教育分野を中心に様々なメディアで取材・執筆。初の自著『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)は17万部のベストセラーに。現在はリセマムで編集長を務める。

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