お酒で赤くなりやすい人、大腿骨骨折リスクが高い…慶大調査

 お酒を飲むと赤くなりやすい人は、骨粗しょう症による大腿骨近位部骨折をおこしやすくなることが、慶應義塾大学医学部の研究結果より明らかになった。ビタミンE摂取が骨折予防に効果があるという。

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 お酒を飲むと赤くなりやすい人は、骨粗しょう症による大腿骨近位部骨折をおこしやすくなることが、慶應義塾大学医学部の研究結果より明らかになった。ビタミンE摂取が骨折予防に効果があるという。

 お酒を飲んだ際に赤くなりやすい人は、お酒を飲んだ後のアルコール代謝の過程で発生するアセトアルデヒドの分解に機能する「ALDH2」という酵素タンパク質が遺伝子的に活性が弱いか欠けている。この遺伝は、日本人など東アジアの人種に多いとされている。

 大腿骨近位部骨折は、骨粗しょう症による骨折の中でも、もっとも重篤であり、寝たきりや要介護の要因となる。また、骨折発生後1年で亡くなるケースなど、死亡率も増加させることから、予防が重要だという。

 慶應義塾大学医学部整形外科学教室の宮本健史(先進運動器疾患治療学寄附講座特任准教授)らは、大腿骨近位部骨折をおこした92名を大腿骨近位部骨折群(骨折群)、大腿骨近位部骨折をおこしておらず骨粗しょう症の診断基準も満たさない48名を正常群として、ゲノムDNAを回収した。

 分析の結果、お酒を飲むと赤くなるflash syndromeと呼ばれる体質の原因となる遺伝子多型「rs671」の保有率が、骨折群は正常群と比べて高く、それによって骨折のリスクが2.48倍高くなることがわかった。また、機能不全をおこした骨芽細胞に「ビタミンE」を添加することにより、機能不全を回避できることを試験管培養にて見出した。

 今回の研究から、お酒を飲むと赤くなることが、本人や家族など周りの人が骨折のリスクに気づくためのわかりやすい指標となり、高齢者の骨折を未然に防ぐ取組みを講じるきっかけとして、家庭でできる骨折予防へと発展することが期待される。

 研究成果は、3月27日に学際的総合ジャーナル Scientific Reports 誌に掲載された。
《工藤めぐみ》

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