小学生のノート力、バランスを整えるたった2本のライン

 「東大合格生のノートはかならず美しい」(文藝春秋)の著者、太田あやによる小学生のためのノート術をご紹介します。

教育・受験 小学生
2本ラインの使い方(よこ書きノート)
  • 2本ラインの使い方(よこ書きノート)
  • 2本ラインの使い方(たて書きノート)
  • 2本ラインの使い方(算数ノート)
  • 太田あや著 『東大合格生が小学生だったときのノート』 講談社より発売中  Copyright (C) Kodansha Ltd. All Rights Reserved.
 「何をどう構成していこうか?」

 私は、本や雑誌の誌面を作るとき、まっさらな紙を前にして出来上がりをイメージしながら考えます。入れる要素は、タイトルにリードに本文。本文に合わせた写真やイラストはどんなものがいいのか。どれくらいの大きさにしたいのか。真っ白な紙を前に考える作業は、編集の仕事の楽しい部分でもあり、また悩ましい部分でもあります。

◆まるで雑誌のような東大生たちのノート

 東大生のノートを見ていると、まるで雑誌のようだと感じるノートがいくつもありました。小学生時代の自主学習ノートや社会のノート、高校生になってからの日本史、世界史のノートなどに多かったです。タイトルがあり、文章とイラストがあり、ときに資料などが貼ってあり。どう書いたら見て楽しく、分かりやすい構成になるのか。自分が読者と想定しながらノートづくりを楽しんでいたのだなと感じ、この子たちがいつか編集者になったとしたらとても力を発揮するんだろうなと思いました。

 東大生の多くがどうしてこのような編集能力があったのか。ノートにページ数を書いている東大生に「どうしてページ数を書いているの?」と聞くと「本がそうなっているから。ページ数があると見直ししやすいですよね」と答えました。資料をたくさん貼ったノートを作っていた東大生は「好きな雑誌の真似をしました」と教えてくれました。

 そうか。本をたくさん読んできたという経験が、編集能力の高さの理由の一つなんだなと思ったのです。小さい頃から図鑑や雑誌、マンガや絵本などたくさん触れる中で、多くの情報を1ページの紙にまとめる場合、どのようにすると分かりやすいのか、それを知らず知らずのうちに覚えてきたのだと思います。タイトルを書き、ページ数を書き、イラストを入れ、ときには資料を貼り、自分で自分専用の本づくりをするような感覚でノートづくりをしてきたのです。

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◆2本のラインで書きやすく

 知識を分かりやすくノート上に構成するということはなかなか難しい作業でもあります。どこにどう書けばいいのかよく分からない、見やすいノートになっているのか自分では分からないと悩んでいる子はとても多いです。どんな構成が正解なのかがよく分からないのです。本当は、自分で分かりやすいと思っていればそれでOKなのですが、そこにイマイチ自信が持てないという子が多かったです。 

 その一方で、まっさらなノートに知識を編集して書くことは苦手だけど、プリントの穴埋めは得意という子は多いです。プリントの穴埋めは、書くスペースが限られており、書く量も判断できるので編集する手間がなく楽に書けるのです。ですので、ノートにも穴埋めプリントのように書くスペースに制限させると書きやすくなるのです。

 ではどうするのか?

 2本のラインを引き、ノートを3つのパーツに分けることをお勧めしています。

 例えば、横書きの授業ノートの場合には、左から2、3文字の部分に1本。右から5、6文字の部分に1本ひきます。そうすると、ノートが右の狭い部分、真ん中の広い部分、左のやや広い部分の3つのパーツにわかれます。そしてそれぞれに何を書くのかを決めていくのです。左の狭い部分には、教科書のページや問題番号を書く。真ん中には、黒板の内容を書く。そして、右の部分には、先生の解説や気付いたことなどを書く。

 このように、ラインを引くことで、書くスペースに範囲をつけ、書く内容を決めると、悩むことなく手を動かせるようになり、見た目にも整うようになっていきます。

 今紹介した2本のラインの引き方はあくまで一つの例になります。自分にあったラインの位置を見つけたいということであれば、次の手順で進めてください。

1.ノートに書きたい要素を洗い出す。
2.書きたい要素を3つのグループに分ける。
3.それぞれのグループの量がどれくらいになるかを考えて、2本のラインを引く。

 そして1週間ほど使ってみてください。その中でここのパーツはもっと広く
したいとか狭くしたいなど感じたら、調整をし、自分が書きやすい位置とラインの本数を見つけてくれたらなと思います。

◆究極はラインのない無地のノート 

 ラインの本数は基本的に2本をお勧めしています。それ以上になると、ラインを引く作業が手間になってくること、それぞれの書くスペースが狭くなり書きづらさを感じるからです。2本からスタートし、ラインが2本では書きづらいと感じるようになったら1本に減らしてください。

 東大生に取材をしていると、最初はラインを引いてノートを書いていてもだんだんとラインを必要としなくなり、次第に、ノートの罫線すらも邪魔だなと感じるようになっている人が多かったです。ラインや罫線によって自分の書く内容が制限されることにストレスを感じるというのです。自分のノートの書き方が見つかるということは、ラインも罫線もないまっさらな無地のノートに自分の文字で知識を編集していくことに快感を覚えることなのですね。そんな境地にいくにはだいぶノートを書く修行を必要としそうですが。

 今夜は、ぜひお子さんのノートを見てみてください。バランスよく書けていないなと感じたら、2本のラインを引いてみてくださいね。

【小学生のノート力】ノートのバランスが悪いなど感じたら 2本のラインを引いてみよう!

《太田あや》

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