授業理解度向上、自尊感情が高いほど高正答…東京都調査

 東京都教育委員会は平成29年11月9日、7月に実施した「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果をまとめ公表した。授業の理解度が向上し、自尊感情や家族との会話についてより肯定的な回答をした子どもほど、問題の正答率も高いことがわかった。

教育・受験 小学生
授業の内容はどのくらいわかりますか 小学5年生(小学5年生)
  • 授業の内容はどのくらいわかりますか 小学5年生(小学5年生)
  • 授業が「よくわかる」「どちらかといえばよくわかる」と回答した児童の割合(小学校5年生経年変化)
  • 平成29年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」正答数分布(都全体)
  • 平成29年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
  • 平成29年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
 東京都教育委員会は平成29年11月9日、7月に実施した平成29年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果をまとめ公表した。授業内容の理解度が向上し、自尊感情や家族との会話についてより肯定的な回答をした子どもほど、問題の正答率も高いことがわかった。

 平成29年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」は7月6日、都内公立小学校5年生9万1,434名と都内公立中学校2年生7万2,601名を対象に実施した。「学習指導要領に示されている目標および内容」の実現状況および「読み解く力に関する内容」の定着状況を把握し、指導方法の改善に結び付けることにより、児童・生徒ひとりひとりの「確かな学力」の定着と伸長を図ることが目的とされる。

 調査では、教科に関する内容として国語、社会、算数・数学、理科に加え中学校では英語のペーパーテストを実施。学習や生活に関する意識や生活習慣などを調べるための児童・生徒質問紙調査と、指導方法に対する取組みや学習環境・生活指導などを調べる学校質問紙調査も行った。

授業「わかる」児童・生徒が増加



 平成29年度調査結果では、経年変化を見ている問題については小中学生ともに全教科で正答率が改善し、授業の内容が「わかる」と回答した児童・生徒の割合は、各教科とも増加傾向にあることがわかった。

 たとえば、小学5年生は授業の内容が「よくわかる」「どちらかといえばわかる」と回答した児童の割合を前年度(平成28年度)と比較すると、国語は42.9%から45.9%、社会は41.1%から44.5%、算数は55.8%から56.5%、理科は54.5%から57.5%へと、いずれも上昇が見られた。平成19年度からの経年変化を見ると、国語・算数・理科に比べ社会の回答が低い傾向が続いているものの、教科ごとの理解度の差は縮まりつつある。

 授業の内容がわかる要因をたずねると、「先生の教え方がていねいだから」が平成24年度43.9%から平成29年度50.7%へ、「お互いに意見を出し合ったり、学び合ったりする授業が多いから」が平成24年度20.9%から平成29年度40.6%へ上昇しており、学習方法に関する項目の増加が見られた。

自己肯定感の高い児童・生徒、平均正答率高く



 自尊感情に関する質問に対し、「自分のことを大切な存在だと感じているか」との質問に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した小学生は、平成24年度39.0%から平成26年度に一度36.9%へ低下したものの、平成29年度は40.0%に回復。中学生については、平成24年度15.7%から平成29年度21.5%へ5.8ポイント上昇しており、肯定的な回答をする生徒が増加傾向にあることがわかった。

 また、自尊感情と平均正答率の相関を見ると、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した小中学生の平均正答率は、「思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答した児童・生徒に比べ高いことがわかった。

 たとえば、小学生社会では「そう思う」と回答をした児童の平均正答率が73.2%であるのに対し、「思わない」と回答した児童の平均正答率は66.0%と、7.2ポイントの開きがあった。また、中学生数学では、「そう思う」と回答した生徒の平均正答率が55.9%だったのに対し、「思わない」と回答した児童の平均正答率は48.5%と、7.4ポイントの差があった。

 東京都教育委員会では今後の取組みとして、グループ活動を通して自他のよさを認め合いながら主体的に学習に取り組む意欲を育むほか、保護者への情報発信を推進して学校と家庭との連携の充実させるなどの方向性を示している。
《編集部》

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