発表機会あるほど正答率高い傾向…東京都が学力調査分析

 東京都教育委員会は2018年10月25日、2018年度の「児童・生徒の学力向上を図るための調査」と「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」の結果を公表した。学習したことを発表する機会がある児童生徒ほど、問題の正答率が高いことがわかった。

教育・受験 小学生
授業が「よくわかる」「どちらかといえばよくわかる」と回答した児童の割合(小学校5年生経年変化)
  • 授業が「よくわかる」「どちらかといえばよくわかる」と回答した児童の割合(小学校5年生経年変化)
  • 授業が「よく分かる」「どちらかといえばよく分かる」と回答した生徒の割合(中学校2年生経年変化)
  • 平成30年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
  • 平成30年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
  • 平成30年度「全国学力・学習状況調査」の結果について
 東京都教育委員会は2018年10月25日、2018年度の「児童・生徒の学力向上を図るための調査」と「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」の結果を公表した。学習したことを発表する機会がある児童生徒ほど、問題の正答率が高いことがわかった。

 「児童・生徒の学力向上を図るための調査」は、東京都教育委員会が国に先駆け、中学校は2年生を対象に2003年度から、小学校は5年生を対象に2004年度から実施している。2018年度は、7月5日に都内公立小学校5年生9万3,535人と都内公立中学校2年生7万1,128人を対象に調査した。

 教科に関する調査として国語、社会、算数・数学、理科、中学校では英語を加えた5教科のペーパーテストを実施。児童・生徒に対しては学習や生活に関する意識や生活習慣など、学校に対しては指導方法に対する取組みや学習環境などについて質問紙調査も行った。

 2018年度調査結果によると、「授業の内容がわかる」と回答した児童生徒の割合は、2007年度から上昇している。各教科において、小学校で9割前後の高い状態を維持しているほか、中学校でも増加傾向にあった。

 平均正答率との関連では、学習したことを発表する機会や自尊感情に関して肯定的な回答をした児童生徒ほど、正答率が高かった。「自分の考えを発表する機会があるか」との質問に「ある」と回答した児童生徒は正答率が高く、「ある」と「ない」の回答者の正答率の差は小学生で16.4~20.3点、中学生で15.9~22.3点にのぼった。

 「自分のことを大切な存在だと感じているか」との質問でも肯定的に回答した児童生徒ほど正答率が高い傾向にあり、「感じている」と「感じていない」の回答者の正答率の差は小学生で2.9~3.9点、中学生で3.8~7.8点あった。

 また、「授業の最後に学習したことを振り返る活動を計画的に取り入れた」という学校ほど、児童生徒の正答率は高かった。「よく行った」と回答した学校と「あまり行っていない」と回答した学校を比較すると、正答率は小学校で4.9~7.0点、中学校で4.2~8.3点の差がみられた。

 一方、全国学力テストは文部科学省が2018年4月17日に全国一斉に実施。東京都ではこのうち、公立小学校6年生9万1,582人、公立中学校3年生7万3,171人の結果を分析した。

 各教科の平均正答率は、小学校が「国語A」74%(全国平均71%)、「国語B」57%(同55%)、「算数A」67%(同64%)、「算数B」55%(同52%)、「理科」62%(同60%)。中学校が「国語A」77%(同76%)、「国語B」63%(同61%)、「数学A」67%(同66%)、「数学B」49%(同47%)、「理科」65%(同66%)。中学校の理科を除き、すべての教科で全国平均(公立)を上回った。

 結果分析では、東京23区のデータを減じた政令市のデータ、中央値や標準偏差の全国平均との比較、問題ごとの正答率と無解答率、良好な結果や課題がみられた問題なども取りまとめている。
《奥山直美》

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