大学入学共通テスト導入を中止すべき…全教が提言

 全日本教職員組合(全教)は2020年5月20日、「コロナ感染拡大から子どもを守り、豊かな成長・発達を保障するための全教の提言」を発表した。子どもたちが安心して過ごせる居場所作り、大学入学共通テストの導入中止などを提言している。

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 全日本教職員組合(全教)は2020年5月20日、「コロナ感染拡大から子どもを守り、豊かな成長・発達を保障するための全教の提言」を発表した。子どもたちが安心して過ごせる居場所作り、大学入学共通テストの導入中止などを提言している。

 全教は、公立・私立の学校をはじめ、すべての教育関係機関で働く教職員が1991年に結成した教職員組合。新型コロナウイルスの感染拡大が子どもたちの成長・発達に深刻な影響を及ぼしていることを受け、憲法と子どもの権利条約に基づき、「子どもの最善の利益」を保障する立場から提言を行った。

 提言は、「子どもたちのいのちと健康・安全と安心して過ごせる場の確保を最優先に」「子どもたちの豊かな学びを保障するために」「教職員への感染拡大を防ぐために」の3分野で構成。子どもたちが安心して過ごせる居場所作りを求め、学校再開にあたっては物理的距離を確保するため、「今こそ少人数学級の実現を」と訴えている。

 豊かな学びの保障については、1日7時間授業や放課後補習、土曜授業、長期休業期間の短縮などで授業時数を確保しようとする動きを「ただ授業時数をうめ合わせるだけでは、かえって子どもたちを追い詰めることになり、本当の意味での学びの保障にならない」と指摘。子どもや学校の実態を踏まえた柔軟な対応や工夫を求めている。

 2021年度の高校・大学入試については、「当面、大学入学共通テスト導入を中止すべき」と提言。各学校で学習状況が異なることを踏まえ、「公平・公正な入試のあり方を検討し、早急に示すことが求められる」とした。中学校や高校で短期間に学習内容を詰め込んだり、特定の生徒が不利になったりすることがないよう、すべての受験生が履修可能な出題範囲とするなどの対応も求めた。

 オンラインによる家庭学習を性急に進めることについては、「教育格差を拡大する危険性がある」と危惧。感染対策における緊急時の学びの保障と教育ICT化推進を混在させず、丁寧に検討すべきとした。学校や教職員への感染拡大防止については、教職員の検査体制整備など具体策確立も急務とした。
《奥山直美》

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