1人1台導入を手軽に…GIGAスクール対応PCの条件

 GIGAスクール構想による製品選定を急ぐ自治体や学校関係者に向けて、Windowsパソコンを検証する全3回のシリーズ。第2回は、GIGAスクール構想で求められる端末の仕様や導入・運用の観点から、Windowsパソコンと教育現場の情報環境を考えていく。

教育ICT 先生
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GIGAスクール構想標準仕様に対応したWindowsパソコンのスペック
  • GIGAスクール構想標準仕様に対応したWindowsパソコンのスペック
  • GIGAスクール対応PCの特長
  • GIGAスクール構想の全体像(文部科学省)
  • 「児童生徒1人1台コンピュータの実現を見据えた施策パッケージ」(文部科学省)
  • GIGAスクール対応PCを発売する8メーカー
  • GIGAスクール対応PC WiFiモデルは11機種
  • 通信環境を確保するためには、LTEモデルも選択肢の一つ
  • Intune for Educationによる端末展開
 GIGAスクール構想による製品選定を急ぐ自治体や学校関係者に向けて、Windowsパソコンを検証する全3回のシリーズ。第2回となる今回は、GIGAスクール構想で求められる端末の仕様や導入・運用の観点から、Windowsパソコンと教育現場の情報環境を考えていく。

第1回:最新の定義で学校を守る…Windows PCのセキュリティ対策
第2回:1人1台導入を手軽に…GIGAスクール対応PCの条件
第3回:将来も使えるスキルを身に付けるために必要な教育インフラとは


 GIGAスクール構想とは、児童生徒1人1台の情報端末および高速大容量の通信ネットワークを併せて整備することで、子どもたちの誰もが取り残されることなく、個別最適化され、創造性を育むことのできる教育の実現を目指すもの。

 2019年12月に文部科学省より発表されたGIGAスクール構想では、2023年度までに全国の小学生・中学生に1人1台端末を段階的に整備する予定だった。しかし、今般の新型コロナウイルス感染拡大から全国の休校が続く中、政府は緊急経済対策として2020年4月7日に補正予算案を閣議決定。4月30日には「GIGAスクール構想の加速による学びの保障」として2,292億円の予算が成立した。1人1台端末の早期実現や家庭でもつながる通信環境の確保を推し進めることが具体的に明示されたと言える。

GIGAスクール構想の全体像(文部科学省)文部科学省が示すGIGAスクール構想の全体像

 GIGAスクール構想では、次の項目の整備が具体的に想定されている。ハードの整備は「1人1台端末」および「高速大容量通信ネットワーク」、ソフトの整備は「デジタルコンテンツ」や「AIドリルなどの先端技術」など、指導体制の整備では「教員の研修」や「外部人材の活用」などである。

 さらに現在浮き彫りになっているのが、学校外での学びの機会をどう確保するか、遠隔・オンラインでの教育活動をいかに実施するかという課題だ。将来的に目指すべき教育現場を見据えるならば、子どもたちひとりひとりに個別最適化した学びを実現していくという命題もある。校務と学習のデータ連携・活用はそのひとつで、このための「教育クラウド」や「1人1ID」の整備がその打開策になるだろう。

 次項からは、上記の前提を踏まえた上でGIGAスクール構想に必要とされるパソコンの条件を検証していく。

これからの学びに必要なパソコンとは



 文部科学省はGIGAスクール構想で求めるデバイスに関する標準仕様を下記のように示している。

ハードウェアキーボードを備えていること
タッチパネルを備えていること
インカメラおよびアウトカメラを備えていること
プリンタなど周辺機器との接続が可能であること
主要なプログラミング教材に対応していること(デスクトップ版可)

 加えて、文部科学省は「端末購入にあたっては1台につき上限4.5万円を補助する」としている。設置・調整・研修・サポート費用は対象外で、本体価格にのみ適用される補助金ではあるが、予算の都合上、各家庭に購入を委ねなければならない自治体もあるため、学校家庭双方の負担の軽減につながる良い施策であることは間違いないだろう。

 ここで日本マイクロソフトのWindowsパソコンについてみてみたい。2020年5月現在、日本マイクロソフトでは「GIGAスクールパッケージ」として10メーカー19機種のWindowsデバイスを発表している。GIGAスクール対応PCを提供するのは、acer、ASUS、日本HP、NEC、Dynabook、Dell、富士通、日本マイクロソフト、マウスコンピュータ、Lenovoの10メーカー。各社の特長を生かし、WiFiモデルは12機種、LTEモデルは7機種を展開している。すべてGIGAスクール対応PCの条件を満たし、児童生徒が学習するのに十分なスペックが担保された豊富なラインアップだ。

GIGAスクール構想標準仕様に対応したWindowsパソコンのスペックGIGAスクール対応Pの標準仕様

 これらのGIGAスクール対応Windowsパソコンは、学習に必要な基本ツール「Microsoft 365 Apps(旧Office 365 ProPlus)」を使うのに最適な端末となっている。課題の作成から配布・回収、採点・評価の実施、同時編集による協働学習もサポートしてくれるMicrosoft Teams、Word、Excel、PowerPointをはじめ、アンケートや小テストの実施に便利なMicrosoft Forms、クラス全員のノートをオンラインで管理できるMicrosoft OneNote、授業内外における先生と児童生徒とのコミュニケーションや遠隔授業、協働学習に活用できるMicrosoft Teamsなど、これからの学びに必要なツールを使うのに最適なデバイスである。

GIGAスクール対応PCを選ぶポイント



 教育現場でICT機器を使う際に悩まされるのは、授業などでいざやりたいことに使おうとしたときに、さまざまな障壁にぶつかることだろう。筆者も学校法人でのIT機器管理と授業運営に携わった際、ハードウェアやネットワークにまつわるトラブル、ソフトウェアや周辺機器との相性に多くの労力を費やした経験がある。筆者の経験も踏まえながら、機器を選ぶ際の2つの視点について考えてみたい。

導入や運用におけるハードルの低さ



 端末を導入する際には、ユーザー個別のIDや権限の付与、アプリの設定などが必要で、大量の端末の場合、それら設定および導入後のセキュリティ含めた運用管理も多大な労力になる可能性がある。マイクロソフトから提供される端末管理ツール「Intune for Education」と「AzureAD」ならば、MDM(モバイル・デバイス・マネジメント)によってセキュリティを担保した形での大規模な端末展開と、Windowsアップデートやメンテナンスなどが一括管理できる。さらに、Windowsパソコンは教育用PCのOS別台数で9割以上を占め、すでに使い慣れている先生も多いだろう。自分自身が校務で利用しているWindowsであれば、授業での活用にもスムーズに踏み切れるはずだ。

学習システムや教材、周辺機器接続における汎用性



 今後の教育改革を見据えるならば、汎用性の観点は重要なポイントとなるだろう。導入しても、利用できないソフトウエアが多かったり、データに互換性がなかったり、周辺機器が対応していないとなると、教育現場に混乱を招くことになる。その点、WindowsやOfficeは汎用性が高く、従来使用してきた教材やさまざまな学習システムのデータと互換性がある。また、ほぼすべてのプリンタドライバやソフトウェアがWindowsに対応していることも心強い。

“文房具”のように手軽に導入できるWindowsPC



 タッチパネル、インカメラ/アウトカメラを備え、授業時間に耐えうるようにバッテリー持続は8時間以上、子どもでも持ちやすい1.5kg未満で、かつ丈夫といった条件をすべて満たし、さらにWindows10搭載のパソコンとなれば、それなりの価格を覚悟しなければならないように思う。現に「Windowsパソコンの価格は高い」という世間の声も耳にする。

GIGAスクール対応PCの特長世界標準を意識したマイクロソフトのGIGAスクール対応PC

 しかしGIGAスクール対応PCの中で基本パッケージに対応するWifiモデル11機種(Surfaceを除く)の価格設定は、後述する端末管理ソフトを含みすべて1台4.5万円以内での提供を想定。つまり端末購入に際しての補助額内で購入できる計算だ。

 さらにWindowsパソコンは、端末価格に端末管理ソフトの費用を内包している。教育機関用の端末管理ツール特別ライセンスである「Microsoft 365 Education GIGA Promo」にはOffice365などの基本学習ツールも含まれており、追加費用なく使える。導入に際しての負担を極力軽くすることで、経済的な地域差によって教育を受ける権利のある子どもたちがあぶれてしまうことのないよう、そしてさらに質の高い教育を受けることのできるように用意されたパッケージだ。

 「Microsoft 365 Education GIGA Promo」は、買い切りの端末ライセンスでGIGAスクール対応PC1台につき、2,760円で提供される(2020年3月時点の参考価格)。該当の端末が使える限り、最長6年間利用可能で、端末・ユーザー・アプリなどがすべて同一のツールで一元的に管理可能となっている。

 ただでさえ忙しい先生方が、新たな環境を整備するにあたっての心理的負担は計り知れない。「だからこそ導入のハードルが少しでも低くなるようなサポートをしたい」。そうした思いから、ユーザー同士がノウハウを共有できるコミュニティや自校に合う活用事例を学べる研修など、日本マイクロソフトでは豊富な研修プログラムも用意している。

 家庭や学校のICT環境の格差が、そのまま学力の格差につながるとも言われている。GIGAスクール構想では、1年以内に1人1台の実現が計画されている。日本マイクロソフトには、いつでもどこでも利用できるデバイス、まさにGIGAスクール構想が目指すところの“文房具のように利用できるデバイス”の提供を通じて、子どもたちの学びが止まることなく、未来へと続く環境づくりを期待したい。

マイクロソフト GIGA スクールパッケージ

(本シリーズ次回の記事は8月7日公開を予定しています)
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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