タイピングからクリエイティブまで学ぶ「ICTスクールNEL」のオンライン校開校

 未来の社会で活躍できるスキルを磨ける「NELオンライン」の取組みについて、カリキュラム監修を行ったICTスクールNEL佐賀本校校長の田中康平氏と、NELオンラインを運営するティーガイア スマートライフ事業本部の前畑裕樹氏に話を聞いた。

教育ICT 小学生
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レッスン風景
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  • カリキュラム監修・ICTスクールNEL佐賀本校 校長 田中康平氏(左)とNELオンライン運営のティーガイア前畑裕樹氏(右)
  • NEL受講生・Yさんの作成した統計グラフポスター
  • NELオンラインの体験会のようす
 佐賀県佐賀市に本校を構える「ICTスクールNEL」の校長・田中康平氏は教育ICT関連の仕事に携わり20年。経済産業省「未来の教室」実証事業で、教育コーチとして千代田区立麹町中学校のAI教材と数学の授業改革を助言した経歴をもつ。1人1台のコンピューターを活用した学習活動について、全国各地の学校関係者などにアドバイスしており、国内5人目となる教育情報化コーディネータ1級の最年少認定取得者でもある。

 佐賀の本校の開校から7年目となる「ICTスクールNEL」のカリキュラムは田中氏が監修しており、このカリキュラムをベースに小学生を対象としたオンライン上のICTスクール「NELオンライン」が2020年9月に開校した。そこで、タイピングや情報モラルなどICTを活用するスキルを幅広く習得するNELオンラインの取組みについて田中氏と、NELオンラインおよびICTスクールNEL東京校・福岡校を運営するティーガイア スマートライフ事業本部の前畑裕樹氏に話を聞いた。

ICT活用能力全般の育成を目指す



--ICTスクールNELとNELオンラインの特徴を教えてください。

田中氏:私自身、教育ICT関連の仕事に20年近く携わり、数多くの教育現場でICT活用を支援してきました。今年度から小学校でプログラミング教育が導入されたこともあり、プログラミングのスキルを学べる機会や教室は増えています。ですが、それだけではカバーできないところ、情報モラルやICT活用の全般において課題があると感じることが多くありました。

 ICTスクールNEL、NELオンラインでは、プログラミング的思考やスキルだけではなく、ICT活用全般の育成を掲げているのが大きな特徴です。オンライン上でインターネットの効果的な活用方法を、実際に体験しながら身に付けていきます。具体的には、パソコンそのものを使いこなすために必須であるタイピングスキルの修習得をはじめ、ICTを活用した表現や創作の基礎となるスキルの向上、画像作成や動画づくり、情報モラルやセキュリティ、クラウド活用など、遊びのように楽しく学びながら身に付く活動が用意されています。

 ICT教育を行ううえでの大前提は、コンピューターは、子どもがもつ個性や考えを表に出すための“道具”として存在しているということ。NELオンラインが目指す、「情報やICTを活用する力」「物事を想像×創造する力」「自分の言葉で伝える力」この3つをベースに、ICTを活用すればこんなことができる、自由に創作したり表現することができるといったことを、小さいころから体験し、その楽しさと喜びを味わえる機会や場所を提供したいと思っています。

カリキュラム監修・ICTスクールNEL佐賀本校 校長 田中康平氏(左)とNELオンライン運営のティーガイア前畑裕樹氏(右)
カリキュラム監修・ICTスクールNEL佐賀本校 校長 田中康平氏(左)とNELオンライン運営のティーガイア前畑裕樹氏(右)

--ICTスクールNELは5歳から、NELオンラインは小学校1年生からが対象と伺いました。低年齢から始めるメリットについて教えてください。

田中氏:現状として、5歳ともなるとスマートフォンやタブレット端末などのデジタル機器に日常的に触っていますよね。果たしてそれがいいことなのかといえば、私はよくないと思っています

 何も考えず、無作為にデジタルコンテンツを与えてしまうと、ただ見ておもしろいだけ・ビジュアルがわかりやすいだけのものに終始してしまいがちです。じっくり考えたり、地味だけどおもしろさがあるようなさまざまなものに触れ、自分の中で何か考えたことを言葉にして発信する。そうすることで語彙が豊かになっていく部分こそ、小さいころから意識してやっていってほしいと考えているのです。

 タイピングも、低年齢のうちからはじめています。まず指の動きを体で覚えるようにすると、ローマ字で入力する段階でぐんと速くなります。

ネット社会に必要な5つのスキルを習得



--カリキュラムとして「未来社会を生きるための5つのスキルを育む」とあります。それぞれのスキルの内容と、具体的な取組みについて教えてください。

田中氏:NELスクールでは、ICTの活用を通して予測困難な未来社会を自分らしく生きるために、以下にあげた5つのスキルが大切だと考えています。

ICTリテラシー


 パソコンそのものを流暢に使いこなす基礎スキルを学びます。タイピング練習や、ドラッグ&ドロップなどマウスの基本操作、ファイルの扱い方やネット上での送信方法ワープロソフトや表計算ソフト、スライド作成ソフトの使い方もマスターします。初級の授業ではScratchを使って、キャラクターを動かしたりゲームをつくったり、Googleスライドを用いて年賀状も作成します。

情報モラル、セキュリティの知識


 入会時には自分自身のIDとパスワードを設定するのですが、13歳未満の子ども向けアカウントを保護者の方と一緒に作成し、利用してもらいます。IDやパスワードの管理には専用のカードを配布して、適切な管理を意識できるようにしています。また、創作活動の中で使用するイラストや写真などをネット上で検索する際に著作権のことを伝えたり、ウイルス作成罪や不正アクセス禁止法などについても実際の体験と関連付けながら学んだりします。

クラウドの理解と活用


 Googleの各種サービスなど、クラウド環境を理解し効果的に活用するスキルについて体験しながら学びます。創作活動をする中で、自分がつくったデータはパソコンの中にあるのではなく、インターネットを介したサーバー上に保存されているということを理解し、便利に活用する経験は、学校や家庭でも生きてきます。

データの共有、共同制作


 Googleのスライドを共有して、みんなで〇×ゲームをして遊んだり、仲間とデータを共有しひとつの作品を同時編集したりしながら、1人での創作だけではなく、協働的な創作を行うためのスキルを学びます。

情報発信


 自分がつくった作品をホームページで公開したり、作品展やオンラインでのプレゼンテーションを通じて発信したりする喜びや楽しさを伝えていきます。

--これらのスキルを、子どもたちは実際にどのように活用しているのでしょうか。

田中氏:低学年からICTスクールNELに通っている6年生の児童のケースですが、今年の夏休みの自由研究で「50年に1度の大雨」についてまとめました。情報収集にはじまり、気象庁の過去データ5年分をスプレッドシートに入力し、グラフ化。視覚的にしたうえでGoogleスライドでポスターにまとめています。講師とクラウド上で共有してもらい、自宅にいながらアドバイスを受けられたのもメリットですね。

NEL受講生・Yさんの作成した統計グラフポスター
NEL受講生・Yさんの作成した統計グラフポスター

 環境問題について興味がある子は、レジ袋の有料化について自分の周りの人100人に意見を聞いて、そのデータをグラフ化してポスターにまとめました。根拠となるデータを活用し、考えを深め、より伝えやすく視覚化する。こんなふうにICTを使いこなすことで、発信力や表現力が広がることを体感してほしいですね。

 ほかにも、仲間といっしょに動画編集を楽しむ子もいますね。自分たちで構成を考えて撮影・編集し、効果音をつけてスクールのYouTubeチャンネルで限定公開して家族で楽しんでいます。

ひとりひとりの習熟度に合わせた少人数指導



--これらのスキルがオンラインで習得できるというのはとても魅力的ですね。NELオンラインの運営に携わるティーガイアの前畑さんにもお伺いします。NELオンラインを開講した経緯を教えてください。

前畑氏:これまでICTスクールNEL佐賀本校では対面で習うICT教室を運営してきました。今年度は、東京・恵比寿で本校と同じ対面型のICT教室を開校する予定で講師なども揃えていました。ですが、長引くコロナ禍でなかなか開校準備が進まず、教育を届けたいのに届けられない状況が続きました。

 そんな現状をどうにかしなければという中で、カリキュラムの組み替えなどオンラインでできることを模索し、夏休みの過ごし方の1つの提案として、全国の小学生を対象としたNELオンラインを開校しました。

--オンラインクラスの定員は何人でしょうか。クラス編成についても教えてください。

田中氏:1回のレッスンは50分。先生1人に対して生徒は5人程度の少人数制です。年齢や経験年数でクラスを区切らず、希望の曜日と時間に参加してもらっています。初めてパソコンに触る子から、ある程度使える子も同じレッスンを共有することで、能力が違ったり年齢が違ったりする子がそれぞれに取り組むようすや作品を見ながら刺激やアイデアをもらうというメリットがありますね。

 NELのカリキュラムは「やり方はひとりひとり違う」のが前提で、オンラインでも同様です。その時間は同じテーマで活動していても、ひとりひとりの成長に合わせて、その子の考えや興味、習熟度などに合わせた指導を行っています。

 能力があっても次の指示を待ってしまう子もいる、遊んでいるうちに理解する子もいます。どんどん進む子もいれば、繰り返すことで習得する子もいる。子どもによって認知のプロセスは違うので、そこを見逃さないようにしていきたいと考えています。

前畑氏:確かに、皆が同じやり方で同じ課題に取り組んだほうが、一度にたくさんの生徒に指導ができるため「営業効率」としてはいいのでしょう。しかし、それぞれの子どもの能力を伸ばすことを考えた場合はそうではない。

 「ICTを活用することによってひとりひとりの能力や個性が発揮できるようになるもの」という教育観点のもと、子どもたちひとりひとりの成長に合わせた力を育むというのは、ほかのプログラミング教室との大きな違いです。また、モバイルからICT周辺商品の販売を行う弊社がICTスクールNELとタッグを組むことで、最新鋭のパソコンや携帯、スマートフォンにまつわる豊富な知識とノウハウのある人材が、その強みを生かして子どもたちの指導にあたっています。講師の資質といった点でも信頼していただければと考えています。

NELオンラインの体験会のようす
NELオンラインの体験会のようす

タイピングの習得は言語能力アップに繋がる



--「タイピング」に力を入れているとのことですが、なぜタイピングに着目したのでしょうか。また、タイピング力を強化することは子どもたちのどのような力を引き出すとお考えでしょうか。

田中氏:「タイピング」を教える目的は2つあります。

 1つは、正しい指の位置を覚えることで、速く正確にストレスなく入力することができるようになります。これは、中学、高校、大学と進学した際でも、大人になって社会に出たときにも大いに役に立つ技術です。タイピングが嫌いな子はとても少なく、できるようになると嬉しい、キーボードを打つことが大人みたいな気分になれる、といった前向きな気持ちも湧いてきます。子ども自身が自分の上達や成長を実感しやすいという面もあります。

 2つ目は、言葉を表現するツールを自由に使えるようになる、パソコンを使った文章表現が自由自在に行えるということです。文字の入力に留まらず、文字を打って文章を書いたり、コピー&ペーストしながら全体の構成を考えたり、パソコンでは手書き以上にいろいろなことができるようになります。

 タイピング能力の習得は、伝えたいことを言語化する力や文章力のアップにもつながります。タイピングの速さや正確さを競う検定を受ける子もいますが、それはあくまでも技能向上の結果として現れる部分であって、重要視したいのは、タイピングができることで、手書きの困難さなどを気にせずに自分の考えを自由自在に表現できるようになることなのです。

 タイピングが上達するには継続がもっとも大切です。ご家庭でタイピングを教えようと思ってもなかなか難しく、自己流の癖がついてしまうと、その後はなかなかスピードアップしません。ホームポジションを徹底的に体で覚えさせることが大事なのです。

前畑氏:継続が大事だといっても、家ではなかなか続けられるものではないですしね。

田中氏:家でやると気持ちがはやって、ホームポジションが崩れるケースもあるのです。NELではその点に気を付けつつ、子どもがモチベーションを保てるように、頑張りを褒めたり成長のようすを一緒に喜びながら毎回少しずつでも続けられるように働きかけています。

--NELスクールで学ぶ受講生や保護者からはどのような反響がありますか。

田中氏:プログラミングというと、論理的思考力が身に付くという話が多いと思いますが、それだけではなく創造性を育ちにもつながる面が大きいと思っています。保護者の方からもパソコンを活用した創造性や表現力の向上に期待を寄せられることも少なくありません。

 プログラミング以外にもさまざまな活動を取り入れているため、たとえば「年賀状をつくったりポスターをつくったり、表現力や創造力といった力を育んでいただいてありがたい」という声をいただいています。親よりも子どものほうがタイピングが上手、という話も聞きますね。佐賀本校では、年長から習いはじめて6年生まで続けている子、さらに中学生になっても続けているケースもあります。「NEL のレッスンが楽しい」と感じて通い続けてくれる子が多いのは、本当に嬉しいですね。

--ICTを自由自在に使いこなせるスキルはこれからの子どもたちにとって大きな武器になりますね。ありがとうございました。

 現在、NELオンラインでは、カリキュラムを体験できるZoomを使った無料体験を受付中だ。パソコン上のイラストを、AIを使って描いたり手書きで描いたり、マウス操作を使ったゲームをしたり、小学1年生から6年生までプログラミングの経験を問わずに楽しめる内容だ。全国の友だちとオンラインで遊びなら、我が子のICTリテラシーを高められるこの機会を逃さず、気軽に挑戦してみてはいかがだろうか。

NELオンラインの詳細はこちら
《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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