アレルギー疾患の子ども4割、食物アレルギーは減少…東京都

 東京都は2020年10月22日、子どものアレルギー疾患について、2019年度の3歳児全都調査と施設調査の結果を公表した。3歳までにアレルギー疾患と診断された子どもは約4割。このうち、増加傾向にあった食物アレルギーは14.9%と、前回調査時より2.2ポイント減少した。

生活・健康 未就学児
3歳までに何らかのアレルギー疾患と診断された子どもの割合
  • 3歳までに何らかのアレルギー疾患と診断された子どもの割合
  • 各アレルギー疾患のり患状況の推移
  • 食物アレルギーと診断された子どもにおける食物アレルギーによる誘発症状
  • 食物アレルギーと診断された子どものうち、誤食を経験した割合と誤食の起こった場所
  • アレルギーに関する情報の入手方法
  • アレルギー疾患のある子どもが在籍する施設の割合(上)、施設においてアレルギー疾患があると確認されている子どもの割合(下)
  • 子どものアレルギー疾患の状況を把握するための書類等の使用状況
  • 食物アレルギーのある子どもとアドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方されている子どもの受入状況
 東京都は2020年10月22日、子どものアレルギー疾患について、2019年度の3歳児全都調査と施設調査の結果を公表した。3歳までにアレルギー疾患と診断された子どもは約4割。このうち、増加傾向にあった食物アレルギーは14.9%と、前回調査時より2.2ポイント減少した。

 アレルギー疾患に関する子どもの実態を把握するため、5年ごとに東京都が実施している調査。「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査」は、2019年10月に都内の区市町村で実施した3歳児健康診査の受診者と保護者を対象とし、回答数は2,727人。「アレルギー疾患に関する施設調査」は、2020年9月時点で都内に所在する保育施設・幼稚園・学童保育などの子どもを預かる施設を対象とし、回答施設数は5,187施設。

 「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査」によると、3歳までに何らかのアレルギー疾患があると医師に診断された子どもは38.1%。前回の2014年度調査より、1.8ポイント減少した。各アレルギー疾患のり患状況によると、増加傾向にあった食物アレルギーは14.9%と、前回調査時の17.1%より2.2ポイント減少した。ぜん息も前回調査時の8.5%から6.6%へ1.9ポイント減少した。このほか、アトピー性皮膚炎(11.3%)、アレルギー鼻炎(8.6%)、アレルギー性結膜炎(4.0%)いずれも前回調査より減少した。じんましん(12.6%)は前回調査から変動がなかった。

 食物アレルギーと診断された子どものうち、ショック症状は12.2%、誤食は21.9%が経験。誤食を経験した場所は、自宅が69.0%を占めた。アレルギー関連情報を医療機関から入手している保護者の割合は81.1%であった。

 施設や自治体への希望では、保育施設・幼稚園などには「アレルギー疾患に関する職員の理解と知識の向上」46.6%、行政(都や区市町村)には「住民へのアレルギー疾患に関する知識や情報の提供」42.9%、医療機関には「薬や治療法などの十分な説明と相談対応」57.9%。多くの保護者が、アレルギー疾患に関する情報提供などを希望していた。

 一方、「アレルギー疾患に関する施設調査」によると、施設のうち食物アレルギーのある子どもが在籍している割合は82.0%。厚生労働省または文部科学省作成の生活管理指導表を使用している割合は47.1%。前回調査時の27.0%より増加したものの、全体の5割未満にとどまっている。

 食物アレルギーのある子どもを受け入れる(「預かる」または「軽度であれば預かる」)施設は93.7%。アドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方されている子どもを受け入れる(預かる)という施設は74.1%で、前回調査時の60.3%より増加した。

 直近1年間に施設内で子どもが食物アレルギー症状を発した施設は、前回調査時の19.0%から11.7%に減少。このうち約5割は、食物アレルギーとその原因食物の診断がされておらず、初めて症状を経験した「初発」であった。

 東京都では、調査結果を踏まえ、保護者や保育施設、幼稚園、学童保育、区市町村などに対し、アレルギー疾患に関する正しい知識の普及に努めるとともに、保健・医療・福祉・教育・救急搬送などの関係部署との連携により、アレルギー疾患対策の総合的な推進を図るとしている。
《奥山直美》

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