小学生の8割がいじめ被害経験あり、国立教育政策研究所

 小学生の8割が暴力をともなわないいじめ被害の経験者であることが2021年7月16日、国立教育政策研究所が公表した生徒指導支援資料7「いじめに取り組む2」から明らかになった。加害、被害経験ともに減少傾向にあるものの、小学生の加害経験率は69%であった。

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「仲間はずれ・無視・陰口」の被害経験と加害経験(2016~2018年度)
  • 「仲間はずれ・無視・陰口」の被害経験と加害経験(2016~2018年度)
  • 「ひどくぶつかる・たたく・ける」の被害経験と加害経験(2016~2018年度)
  • 「生徒指導リーフ増刊号 いじめのない学校づくり3-基本方針を実効化する対策組織の構成と運用-」
 小学生の8割が仲間はずれ・無視・陰口といった暴力をともなわないいじめ被害の経験者であることが2021年7月16日、国立教育政策研究所が公表した生徒指導支援資料7「いじめに取り組む2」から明らかになった。加害、被害経験ともに減少傾向にあるものの、小学生の加害経験率は69%であった。

 国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターは、いじめ問題に取り組む学校関係者に向けて、いじめ防止の取組み推進のための生徒指導支援資料を発行しており、今回シリーズ7として「いじめに取り組む2」を作成した。「いじめ追跡調査2016-2018」と「生徒指導リーフ増刊号 いじめのない学校づくり3-基本方針を実効化する対策組織の構成と運用-」で構成している。

 「いじめ追跡調査2016-2018」は、いじめの実態を定点観測的に調べた結果を3年ごとにまとめている報告書の最新版で、2016~2018年度の追跡調査のデータを分析したもの。調査対象は、大都市近郊の地方都市の小学4年生から中学3年生までの全児童生徒約4,000人。2016~2018年の3年間で6回の質問紙調査を実施した。

 「暴力をともなわないいじめ」の代表的な行為である「仲間はずれ・無視・陰口」について、2018年度の小学6年生に小学4年時からの3年間で1回以上の被害経験や加害経験をたずねたところ、被害経験率は80%、加害経験率は69%。2018年度の中学3年生については、中学1年時からの3年間での被害経験率は68%、加害経験率は64%だった。

 報告書によると、調査が実施された2016年度から2018年度は、2013年の「いじめ防止対策推進法」制定後、日本の学校でいじめ防止対策のための基本方針等が整った時期にあたる。前回の2010~2012年度の調査結果と比較すると、2016~2018年度は小学6年生の被害経験で7%減、加害経験で17%減、中学3年生の被害経験で3%減、加害経験で8%減と、減少傾向が確認されている。

 「暴力をともなういじめ」の代表的な行為である「ひどくぶつかる・たたく・ける」については、2018年度の小学6年生の被害経験率は56%、加害経験率は36%。2018年度の中学3年生の被害経験率は36%、加害経験率は25%。6年前との比較では、小学6年生の被害経験で4%減、加害経験で8%減、中学3年生の被害経験で5%減、加害経験で5%減と、いずれも減少している。

 「いじめ追跡調査2016-2018」では調査結果の他、いじめに関する素朴な疑問に答える「Q&A」も掲載。「いじめの認知件数の増加は、問題ではないのか?」等の疑問について、3年間分のデータを再集計し、図で示すことで、いじめの実態を具体的に解説している。

 一方、「生徒指導リーフ増刊号 いじめのない学校づくり3-基本方針を実効化する対策組織の構成と運用-」は、2013年11月、2014年6月に発行した資料の続編。学校が設置する組織の期待される姿と、実際に学校現場で実現可能な構成と運用について、新たに解説している。
《奥山直美》

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