【SDGs連載5】若い世代が考える「気候変動」

 環境活動家の谷口たかひさです。若い世代の人たちが今、自分たちの未来についてどう考えているのか、「気候変動」のことを軸にお伝えしたいと思います。

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環境活動家の谷口たかひさ氏
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 環境活動家の谷口たかひさです。若い世代の人たちが今、自分たちの未来についてどう考えているのか、「気候変動」のことを軸にお伝えしたいと思います。

 第2~4回にわたって、「自由と権利」「今の教育システム」「義務教育の勘違い」と、教育について私の考えを述べました。教育とは、子供の未来のためにあるものだと思います。第5回では、若い世代の人たちが今、自分たちの未来についてどう考えているのか。私は環境活動家で、気候変動の話をさせてもらうことがもっとも多いので、気候変動のことを軸にお伝えします。こういった話題は、日本ではなかなか報道されにくいのが現状です。

 2021年9月、世界10か国の1万人を対象に行われた調査によると、若い人たちの10人に4人が「気候変動が原因で子供をつくるのをためらっている」と回答しました。16~25歳を対象行われた、若い人たちの気候変動に対する不安に関する最大の調査では、10人に6人が「気候変動を非常に、または極端に怖れている」と回答しました。この調査は2021年9月14日に発表されました。

 同じく約10人の6人の人たちが「若い世代や地球、次の世代を守っておらず、年上の世代と政府に裏切られているように感じている」と言っています。また、4分の3の人たちは「未来が怖い」と回答しました。半分近くの人たちが気候変動に関して、苦しみ、不安を感じていると回答しました。

 調査の対象になった人の一人、Mitzi Tanさんはこう話しています。「私たちの気候変動への不安は、根深い『裏切られている』という感覚から来ている」。また別の回答者、Luisa Neubauerさんは「若い人たちの間で、子供をつくるか悩むことは一般的になっている」と話しています。

 彼女はドイツ政府に勝訴し、気候変動対策を再評価させるに至った裁判でも功労しました。彼女は言います。「私は、まだ子供をつくっても大丈夫ですか、と聞く若い女の子たちによく会います。この質問は、今の私たちが直面している気候変動のリアルを私たちに伝えています。私たち若い世代は、ただ怖がっているだけではダメだということに気づきました。だから私たちは、ひとりひとりの不安を集結させ、行動に変えたのです。だから私たちは世界中の街中、裁判、さまざまな機関の前で戦っているのです」

 UNICEFの9月の発表によると、世界中の子供と若い世代が気候変動に直面しており、10億という数の子供が、気候崩壊の影響に対し「極度にリスクが高い」とされています。

 パリ協定が締結された時、フランスで大統領を務めていたFrancois Hollande氏は言います。「パリ協定締結から6年経過した今、私たちはこの調査が警告する気候変動の暴挙、それがこの惑星、若い世代のメンタルヘルスに与える影響から、目を背けてはいけない。私たちは今すぐに、若い世代に未来が残るために、できることをすべてやる必要がある」。

 2019年には、カナダに住む18歳の女性、エマ・リムさんが、未来の地球の気候が子供にとって安全なものであると思えるまで、家族を持つという夢を放棄し、子供を産むことを諦めますと宣言して、世界中から注目を浴びました。エマさんの元には日本からも多くのメッセージが届いており、日本でも同じ理由で子供を産むことについて悩む若い女性が増えているといいます。エマさんの宣言から1か月で、エマさんの宣言は同世代の女性を中心に、5,000人以上からの賛同を得ました。

 最近、私も世界中の人たちからこういう質問をされます。「自分の子供が、自分の未来が不安で怖いと言います。どうすれば安心させることができるでしょうか?」。その問いに対する答えは「自分が希望になる」。私はこれしかないと思っています。

谷口たかひさ
1988年生まれ。大阪府出身。10代の時にイギリスの大学へ留学する費用をつくるため、インターネットビジネスで起業。イギリスの大学を卒業後、アフリカはギニアでの学校設立プロジェクト、グローバルIT企業の取締役(COO)、ドイツへの移住、起業などを経験。
2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに「地球を守ろう!」を立ち上げ、気候危機の発信や講演を開始。2020年9月末現在までに世界15か国でツアーを行い、日本は7か月で47都道府県300講演を達成。
趣味は旅と勉強で、訪れた国は60か国、保有資格は国際資格や国家資格を含め40個。
発信はおもにInstagram(ID: takahisa_taniguchi)、Facebook、ブログ「本当に価値のあるものは?」に力を入れている。
《谷口たかひさ》

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