どうなる?これからの日本の3年間…参院選に向けた各党公約

 任期満了にともなう「第26回参議院議員通常選挙」が、2022年6月22に公示を迎えた。投票日は7月10日。期日前投票は6月23日~7月9日にかけて行われる。各党の選挙公約や基本政策等から、子育て支援策や教育関連の政策を紹介する。

教育・受験 その他
7月10日に投票日を迎える「第26回参議院議員通常選挙」(画像はイメージ)
  • 7月10日に投票日を迎える「第26回参議院議員通常選挙」(画像はイメージ)
  • 公明党
  • 幸福実現党
  • 国民民主党
  • 参政党
  • 社会民主党
  • 自由民主党
  • 日本維新の会
 任期満了にともなう「第26回参議院議員通常選挙」が、2022年6月22に公示を迎えた。投票日は7月10日。期日前投票は6月23日~7月9日にかけて行われる。3年ごとに半数改選を行う参院選の定数は、比例代表選出議員50人、選挙区選出議員74人、計124人。コロナ対策に加え、ウクライナ侵攻による外交・安全保障問題、物価高騰、急激な円安と、多くの課題を抱える中、各党はどのような選挙公約・政策を掲げているのだろうか。各党のWebサイトに掲載されている選挙公約や基本政策等から、子育て支援策や教育関連の政策を紹介する。

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公明党「誰も取り残されない教育立国へ」


 子育て支援・教育を国家戦略として位置付け、子供・若者支援の抜本的拡充や、学びの機会の確保等、誰も取り残されない「教育立国」を目指す。結婚、妊娠・出産から幼児~高等教育までの無償化や経済的支援を段階的に充実する「子育て応援トータルプラン」を策定。出産育児一時金(42万円)の増額や、子供の医療費助成拡大による全国の高校3年生までの無償化を目指す。子供にもわかりやすいようにまとめた「こども・子育てマニフェスト2022」も公開。

幸福実現党「子育てしやすい社会の構築」


 将来の増税につながる各種子育て給付策を見直し、減税による景気回復で所得の増加と「安くて質の高い公教育」を実現し家計を応援。バラマキの要素が強く、質低下を招く「教育の無償化」は廃止。一律の高等教育無償化ではなく、進学意欲の高い学生への奨学金制度を充実させ、チャンスの平等を実現する。教育の自由化と公教育の質向上を促進し「塾に頼らない学校」で家庭の教育費を軽減する。

国民民主党「『人づくり』こそ国づくり…教育・科学技術予算を倍増」


 0歳~2歳の幼児教育・保育の完全無償化、3歳からの義務教育で高校までの教育無償化を実現。児童手当支給を18歳まで一律月額1万5,000円に拡充。将来の成長や税収増につながる投資的経費として「教育国債」を創設し、教育・科学技術予算を年間10兆円規模に倍増。出産、子育て、教育にお金がかからない国にし、国際競争力を回復させる。感染防止と学びの継続を支える「子どもコロナ三策」を掲げ、コロナ世代の子供たちを長期で見守る体制を敷く。

参政党「学力より学習力の高い日本人へ」


 3つの重点政策の1つ目に「子供の教育」を掲げる。探究型のフリースクールを地方自治体が作れるよう法改正。自ら仕事をつくり、収入を他者に依存せず、管理されない人生が設計できる公教育の実現と、国や地域、伝統を大切に思える自尊史観の教育を推進する。

社会民主党「GDPに占める教育支出5.0%水準へ」


 差別の禁止、生きる・育つ・発達する権利、子供の最善の利益の確保、子供の意見の尊重といった「子どもの権利条約」の基本原則を目指す基本法を制定。7人に1人が「貧困」という日本の子供の貧困率を下げる数値目標を設定し、各省庁横断で取り組む。高等教育までの教育費の無償化を進め、貸与型奨学金の返済は一部免除し、今後の奨学金は原則給付型に。現在のGDPに占める教育支出2.9%を5.0%水準程度まで拡充する(OECDは平均4.1%)。

自由民主党「こども家庭庁設置、こども政策の強力推進と手厚い少子化対策」


 「こども家庭庁」設置で子供や子育て世代の視点に立った「こども政策」を強力推進、すべての子供の健やかな成長を社会全体で支える「こどもまんなか」社会を実現する。コロナ禍で深刻さを増す少子化は、緊急対策として結婚・出産支援、大胆な児童手当や育休給付の拡充、保育等子育て支援、放課後児童クラブの拡充等を図る。高等教育は多子世帯等の中間所得層の修学支援を拡充し、「出世払い」制度(日本版HECS)を大学院へ先行導入。大学ファンドによる世界と伍する研究大学の実現、地域の中核大学や若手研究者への支援強化により、日本の研究力を抜本的に強化する。

日本維新の会「出産無償化×教育無償化…将来世代へ徹底投資」


 等しく質の高い教育を受けることができるよう、幼児教育から大学まで教育の全過程完全無償化を憲法上の原則として定め、給食無償化と大学改革をあわせて進める。出産にかかる医療は原則保険適用に。「出産育児バウチャー(クーポン)」の支給により実質的な出産費用の無償化を目指し、GDPの一定割合を必ず子供のために配分して財源を着実に活用できるあり方を検討する。「出産無償化&教育無償化Q&A」では、制度設計や財源等に関する疑問に詳細に回答。

日本共産党「子育て・子供に『冷たい国』から『やさしい国』に」


 高すぎる教育費、不安定な雇用、子供を生み育てることへの社会の理解のなさにメスを入れる。将来的な無償化を目指し、大学・専門学校の学費半額、入学金廃止。欧米のように返済不要の給付制奨学金を中心に拡充する。「義務教育は無償」とうたった憲法26条を踏まえ、学校給食費や教材費等の義務教育にかかる費用を無料に。0歳からの保育料の軽減、私立高校の無償化拡充、児童手当の全員支給、18歳まで医療費の窓口負担無料と、子育て、教育に関わるお金の心配を減らし、子供の貧困問題の解決を目指す。

立憲民主党「チルドレン・ファーストで経済的支援と予算確保」


 生まれ育った環境にかかわらず誰もが同じスタートラインに立てるよう「チルドレン・ファースト」を施策の中心に据える。すべての子供を対象に、児童手当を高校3年生まで月額1.5万円に延長・増額。公立小中学校の給食費無償化、所得制限のない高校授業料の無償化を推進する。高等教育については、国公立大学の授業料無償化、私立大学・専門学校も同額程度の負担軽減を実施。不登校、引きこもり、いじめ、虐待問題への取組みを強化し、ひとりひとりの理解度や状況に応じた多様な学びの機会を確保する。

れいわ新選組「コロナ禍で苦しむ学生に奨学金徳政令を」


 長引くコロナ禍で退学に追い込まれている学生、奨学金返済に苦しむ約580万人の学生の借金(奨学金)の返済を免除する「奨学金徳政令」を実施。高等教育への公財政支出を最低でもOECD平均の4.0%を上回る規模を確保し、幼児から大学生院まで保育・教育の完全無償化で「学ぶ気があれば借金をせずに大学院までいける社会」を作る。子供の貧困と出生率対策として、すべての子供に毎月3万円の児童手当を給付。小中学校の無償給食提供、形態にかかわらず包括的な公的子育て支援を充実させる。

NHK党「科研費拡充で優秀な研究者の海外流出防ぐ」


 児童手当の所得制限を撤廃するよう政府に求める。国立大学の運営費交付金の拡充と、幅広い分野の基礎研究に資金を投入し長期的に研究の芽をはぐくめるよう「科研費」の拡充を政府に求め、国内における研究者の研究環境向上を図り、優秀な研究者の海外流出をできるだけ防ぐ。

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