【中学受験】世界史学習は早めの対策が鍵…東大受験専門塾・海津俊介先生に聞く「学習まんが」活用法

 歴史教育において「世界史」の重要性が増している。中学受験にも役立つ、角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』を活用し、効率的に世界史を学ぶ方法を東大受験指導専門塾「鉄緑会」世界史主任・海津俊介先生に聞いた。

教育・受験 小学生
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東大受験指導専門塾「鉄緑会」世界史主任・海津俊介先生
  • 東大受験指導専門塾「鉄緑会」世界史主任・海津俊介先生
  • 2021年売上第1位(「学習まんが 世界の歴史」ジャンル)を獲得した角川まんがシリーズ『世界の歴史』
  • 東大の入試でも重要視されている同時代の「横のつながり」がつかめる記事「絵で見る歴史ナビ」
  • 『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』は、地域ごとの歴史をまとめた「縦の歴史」がテーマ
  • 東大受験指導専門塾「鉄緑会」世界史主任・海津俊介先生

 歴史教育において「世界史」の重要性が増している。高校では2022年度より、グローバル化という視点から近現代の歴史を学ぶ必修科目「歴史総合」が導入された。また、中学受験の社会科では、世界史の基礎知識が必要となる「時事問題」が出題されることも多い。今、効率的に世界史を学ぶにはどうすれば良いのか。東大受験指導専門塾「鉄緑会」世界史主任である海津俊介先生に聞いた。

新科目に対応するために

--2022年4月より高校の必修科目となった「歴史総合」について教えてください。

 まず、今までにまったくなかった新しい科目ができたという意味では、とても大きな変化だと思っています。内容的には、これまでの高校の歴史科目にあった「日本史A」と「世界史A」を融合させたようなものです。つまり、おもに18世紀以降の日本と世界の近現代史を学ぶ科目。私が教科書に目を通してみたところ、世界史の占めている割合が多いと感じています。

--大学入試では、どのような問題が出るとお考えですか。

 実際に入試に取り入れられるのは、今の高校1年生が大学入試に挑む2025年です。すでに大学入試センターのホームページでサンプル問題が公開されており、それが参考になると思います。ただし、初めての科目で前例がないということもありますので、傾向が分析できるようになるには2年くらいはかかると思います。

 また、東大などの個別の大学の入試についてはまだ情報待ちという状態ですが、東大については大きくは変えないのではないかというのが私の予想です。東大の試験は、出題範囲が広いわりには問題数は多くありません。今でも世界史のカリキュラムのなかに日本史の要素は入っているので、「歴史総合」ができたからといって目に見えるような変化が起こるかというと、そうではないと考えています。受験生にとって勉強量がものすごく増えるということもないと思いますね。

インタビューに応じる鉄緑会・世界史主任の海津俊介先生

新しい歴史理解の方法「グローバル・ヒストリー」

 「歴史総合」に限らず、今、歴史を学んでいくうえで重要なのが「グローバル・ヒストリー」という考え方です。今までの世界史教育は、1つの地域の歴史を時代順に学んでいく「縦の歴史」が主流でした。「グローバル・ヒストリー」は、この「縦の歴史」に加えて、同じ時代に世界の別の地域では何が起こっていたのかという「横の歴史」に注目する歴史理解の方法です。近年、こうした考え方の重要性が非常に高まってきており、「グローバル・ヒストリー」に基づいた問題が最近の大学入試でも増えているのです。

 もともと東大では、横のつながりを意識させるような入試問題を出していました。受験においては、大学入試の傾向が下の年代に降りてくるという印象があります。したがって、中学生や高校生のころから「横の歴史」を意識した勉強をしていくことが大切ですね。

--「グローバル・ヒストリー」の勉強をするために、お勧めの教材はありますか。

 私が生徒に勧めているのは、角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』です。全20巻を年代ごとに区切り「横のつながり」がよくわかる構成になっているので、「グローバル・ヒストリー」を学ぶには最適な教材です。

「グローバル・ヒストリー」の理解に最適な『世界の歴史』シリーズ

 第5巻『宗教が支える社会』を例にとってみましょう。西暦800年から1200年のヨーロッパ、西アジア、東南アジア、中国と、その時代の世界全体の動きが1冊にまとまっています。このように世界全体を見る視点が非常に重要なのです。

 冒頭の「絵で見る歴史ナビ」というカラー記事では、その時代に世界でどのようなことが起こっていたのかが、世界地図とともにひと目でわかる内容です。「グローバル・ヒストリー」を理解する手助けになってくれることでしょう。

東大の入試でも重要視されている同時代の「横のつながり」がつかめる記事「絵で見る歴史ナビ」

 もう1つの特徴が、全20巻のうち、第9巻『ヨーロッパの世界進出』から近現代史が扱われているところです。近現代史が全巻の半分以上のボリュームとなっていますので、まさに18世紀以降の世界全体を学ぶ「歴史総合」の学習にぴったりです。実は東大でも、このような世界全体を見る入試問題はよく出るのです。

「縦の歴史」も変わらず重要

--今は、年代ごとに世界全体を見る「横の歴史」が重要だということですね。

 とは言え「横の歴史」を理解するためには、「縦の歴史」を正確に頭に入れておかなくてはならないのです。縦糸と横糸がなければ織物にならないように、歴史を学ぶにも「縦の歴史」と「横の歴史」の両方が必要です。最初に覚えておくべきなのは「縦の歴史」です。これを覚えているからこそ、グローバルな考え方ができるようになります。

 2022年6月に出版された角川まんが学習シリーズ『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』は、地域ごとの歴史をまとめた「縦の歴史」をテーマにした本です。全20巻で「横の歴史」を描いた本編まんがと、この別巻を併せて読んでいくことで、歴史全体の理解が深まると思います。別巻にはまんがのコマも引用されていますので、別巻を読みながら対応するまんがを読むのも良いでしょう。すでに全巻セットをお持ちの方にとっては、必須アイテムと言っても過言ではありません。

 『まるわかり地域史』を先に読み「縦の歴史」を頭に入れたうえで、全20巻の『世界の歴史』を読むのがお勧めです。実は、学校でも塾でも、同じように授業を進めます。

 特に、ヨーロッパの商人たちがアジアとの交易に参入し、やがて支配していくまでを描いた「交易と植民地化の時代」(P.82~87)については非常に重要です。これは東大入試でも何度も出題されているテーマで、鉄緑会の授業でもそのまま使いたいくらいです。南・東南アジアという地域の縦の歴史として描いているため、とてもわかりやすくなっています。南アジアや東南アジアの歴史は苦手な生徒が多いのですが、その地域についても人名や国名も含めて詳しく書かれていて、大学受験参考書として活用できますね。

『世界の歴史 別巻 まるわかり地域史』は、地域ごとの歴史をまとめた「縦の歴史」がテーマ

まんがだから小学生から読める

--角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』は、いつから読み始めるのが良いのでしょうか。

 受験目前の高校3年生に「夏休みに何を読めば良いでしょうか?」と聞かれて「学習まんがを読みなさい」とはさすがに言いづらいですね。やはり、本格的な受験勉強が始まる前に読んでおいてほしい。それも、一度では頭に入らないので、二度三度と読んでもらいたい。そのためには、できるだけ早い段階で読んでおくと良いと言えます。

--小学生でも読めるのでしょうか。

 小学生でも大丈夫です。そこがまんがの良いところです。まんがというものは、内容を覚えようと思って読むものではないと思うのです。好きになったら何度でも読み、何度も読めばそれだけ頭に残ります。純粋に楽しむために読めばまったく苦にならず、しかもアドバンテージにもなります。いざ受験勉強に入ったときに、大きな武器になると思いますね。

覚えようとせずとも頭に入るのが「学習まんが」の良さ

 小学生が塾で歴史を学ぶようになるのは5年生からですが、何歳にならなければ読んでも意味がないということはないと思います。小学校で学ぶのは日本史だけですが、中学受験では第二次世界大戦についての問題もよく出題されます。各国の動きが非常に複雑ですから、『日本の歴史』だけではなく『世界の歴史』で世界の動きを知っておくことで理解を深められるはずです。

 もちろん、中学受験でまったくやらないレベルの内容も載っていますが、わからないことが出てきても「へえ、そうなんだ」と思いながら読んでいってほしいですね。中学受験の段階でひととおり読んでおいて、中学生になってからまた読んでみるなどして、高校になるまでに身に付けておくのが理想です。

 私の場合も、当時は世界史のまんががなかったので日本史のまんがを読んでいましたが、これが後で非常に役立ちました。また、中学受験のために通っていた塾では、出題範囲を超えたレベルの内容を教えてもらったという鮮明な記憶があるのです。これが、世界史が好きになったきっかけでしたし、詳しく学ぶ機会があったことについては今でも感謝していますね。

--『まるわかり地域史』のほうはいかがでしょうか。

 「縦の歴史」を理解するためにまず『まるわかり地域史』を読んでほしいとお伝えしましたが、こちらはまんがではなく記事中心の構成です。そのため、小学生にとっては少し難しいかもしれません。しかし、ビジュアルが豊富な「比べる世界の歴史図鑑」や、古代ローマ人の暮らしなどを解説した「もっとまるわかり」、歴史上の人物をテーマごとにランキングにした「なんでも!世界の歴史ベスト3」といったコラム的なページは、小学生でもかなり楽しく読めると思います。こういうテーマは受験には出ませんが、視点としてはおもしろいので世界史に興味をもつきっかけになるでしょう。

 興味がもてるページからで構わないので、小学校で歴史を学ぶころに読んでおくと世界史が身近に感じられるようになると思います。そして、中学や高校で歴史をある程度学習したうえで『まるわかり地域史』を読み直すと、縦の歴史がすっきりと整理され、新たな発見があるかもしれません。

中学受験にも使える

--中学受験の社会科では時事問題が出題されるようになっていますが、それにも『世界の歴史』は役立ちますか。

 もちろんです。小学校では世界史の授業はありませんが、中学受験の時事問題では、世界史がわかっていないと答えられないような問題が出題されています。特に中学受験に出るような戦後史の部分ですね。角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』では、第19巻と第20巻の内容が非常に充実していて、これがいちばんの魅力だと思っています。

 第19巻では1980年から1990年、第20巻では1990年から2020年までが描かれています。この部分は通常の学校の授業や教科書では限界があるところなのですが、そこがかなりわかりやすく解説されています。

 時事問題として出題される内容は、おそらく第20巻に収録されている新型コロナウイルス感染症の拡大や米中貿易問題、EUの問題点などだと思います。これらの出来事の背景にあるのが冷戦の終結、ベルリンの壁崩壊、アジア諸国の経済発展などで、こちらは第19巻に描かれています。こうした歴史のつながりをまんがで身に付けておくと、時事問題を早く、正確に理解することができますし、国際ニュースの理解にも役立ちます。

--世界的規模のニュースといえば、今年はロシアのウクライナ侵攻がありますね。

 ウクライナ問題に直接関係はなくても、歴史的背景を知っていると非常に役立つということがあります。特に、第二次世界大戦でソ連がフィンランドに侵攻し、バルト三国を併合していった過程を知ると、今回のウクライナでも「また同じことをやっているんだな」と分かるようになると思います。これが描かれているのが第16巻ですが、まんがというストーリー仕立てなので、各国の動向についても自然と頭に入ってくると思います。おそらく授業ではそこまで詳しくはやりませんが、小学生でも中学生でも知識があれば、ニュースのとらえ方が変わってくると思いますね。

 『世界の歴史』全20巻では、新型コロナウイルスによるパンデミックまでは描かれていますが、ロシアのウクライナ侵攻は取り上げられていません。しかしながら、追加で発売された別巻『まるわかり地域史』では、ウクライナ侵攻に至るヨーロッパ全体の縦の歴史が簡潔に描かれているので理解しやすくなっていると思います。

 ウクライナ情勢にしろ、パンデミックにしろ、まだ終わっていませんので授業などでは取り上げにくいテーマです。教科書に載るのも、もう少し先になるのではないでしょうか。ただし、中学受験の時事問題で出題されることもありますし、『世界の歴史』での記述を見ながら現在進行形の歴史について親子で話し合ってみるのも良いと思います。

国際人としての素養を身に付けるきっかけに

 グローバル化が進む現代、教育でも必至の対応が進んでいる。未来を担う子供たちにとって、世界史の知識は必須のものとなるだろう。できるだけ早い段階から世界史に触れることで中学、高校、ひいては大学受験に役立て、国際人としての素養を身に付けておきたい。角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』全20巻と『別巻 まるわかり地域史』は、きっと大きな助けになってくれるはずだ。

2021年売上第1位(「学習まんが 世界の歴史」ジャンル)を獲得した角川まんがシリーズ『世界の歴史』
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《編集部》

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