尾木ママが紐解くMusio Xと日本の教育…AIロボットは子どもたちと共に成長していける仲間

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Musio Xと尾木ママ
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  • 初めてMusio Xと対話する尾木ママ
  • 教育評論家 尾木直樹先生「尾木ママ」
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 人工知能(AI)を搭載した英語学習用ロボット「Musio X」(ミュージオ エックス)がついにデビューした。多くの英語学習教材が流通する中、「Musio X」は最先端であるDeep learning基盤の人工知能エンジンを搭載している点が画期的だ。ロボットが自ら考えて会話でき、会話を重ねながらユーザーについて学んでいくことで、相手に寄り添った柔軟な対話力を持っている。

 グローバル社会を生きる子どもたち、日本の英語教育に「Musio X」の登場はどのようなインパクトをもたらすのか。「尾木ママ」でお馴染みの教育評論家、尾木直樹先生に話を聞いた。

尾木ママ:How are you?(ご機嫌いかが?)
Musio X:I am so board. I want to do something fun.(とっても退屈。何か楽しいことをしたいなぁ)
尾木ママ:How old are you?(君は何歳なの?)
Musio X:I was introduced to the world in 2015. How old are you?(僕は2015年にお披露目されたよ。君は何歳?)
尾木ママ:Do you like your name?(自分の名前は気に入ってる?)
Musio X:Yes. Musio is a very nice name, isn’t it?(うん。ミュージオってとてもいい名前だと思わない?)

初めてMusio Xと対話する尾木ママ


◆Musio Xは完璧ではない、この「未熟さ」が大事

--Musio Xと交流してみて、印象はいかがですか。

尾木ママ:何か尋ねるとウィキペディアなどから調べて教えてくれる「利便性」がありつつ、喜び、怒り、眠いといった感情の起伏があったり、想定外の答えが返ってきたり、子どものような「未熟さ」も持ち合わせているところが印象的ですね。実はロボットの場合はこの「未熟さ」がとても大事なんです。完璧ではなく、子どもにとって「お世話を焼きたい」と思える相手のほうが達成感を得られ、脳の発達にも良い影響をもたらすと言われています。

 また、ロボットとの対話は、「人の目が気にならない」「ストレスを感じない」ところがいいですね。日本の場合、空気を読めない子どもは仲間はずれの対象になりやすく、孤立感を深めがちですが、ロボットが相手なら空気を読む必要はなく、恥ずかしさからストレスがたまることもありません。どんな子どもにとっても「友達」のような感覚で遊びながら学べる点が非常に良いと思います。

◆何より、「一緒に成長できる」のが魅力

--Musio Xに期待できる教育効果は?

尾木ママ:英語学習には、読む、聴く、書く、話すの4技能が必要と言われていますが、実は「話す」という技能は2つに分けられます。ひとつはスピーチ。そしてもうひとつはインタラクション、すなわち対話能力です。グローバル社会では、英語で相手と適切な「コミュニケーション」が取れなければ外交もビジネスも成り立ちません。Musio Xは一方通行のトレーニングマシーンではなく、対話能力があり、さらには対話を重ねながら「共に成長していける」という点で、これまでにない英語学習ツールとして期待しています。映像を観たり、音を聴いて教材に回答するような一方通行の学習方法ではなく、学びながら一緒に成長できるというのはMusio Xならではの魅力じゃないかしら。

◆英語が話せない親は、子どもに同じ思いをさせたくない

--昨今、英語教育に対する注目が高まっています。英語学習開始の低年齢化が進んでいるようですね。

尾木ママ:2020年の学習指導要領の改定に伴い、小学校でも外国語活動が3・4年生に早まり、5・6年生では英語は正式な教科となります。実際に教育現場は2年前から移行措置期間に入るため、多くの小学校で2018年の4月から先行実施される予定です。2020年の東京オリンピック開催も強い追い風です。こうした背景もあって、ますます「英語熱」が高まってきていますね。低年齢化も進んでおり、昨年のリクルートの調査では、首都圏在住の未就学児で英語教室に通っている子どもは4人に1人。これから通わせたいと思う親も3割に上るそうです。

 僕もそうですが、大学まで出ているのに英語がまともに話せない親にとって、自分の子には同じ思いをさせたくないと思っているでしょうし、親自身が仕事などを通して社会のグローバル化を体感しているからでしょうね。最低限、英語くらいはできないと、という切実な声はママたちからよく聞きます。

教育評論家 尾木直樹先生「尾木ママ」


◆学校のリソースだけで大改革を成し遂げることは不可能

--小学校での英語教科化に向けて、教員への負担は増すばかりです。Musio Xについて、学校ではどういった活用法が考えられますか。

尾木ママ:2020年から実施される新学習指導要領は、日本の教育の「大改革」です。英語の教科化だけではなく、小学校1年生からプログラミングを学び、授業もアクティブラーニングという「主体的・対話的で深い学び」へと学び方そのものが変わります。残念ながら、諸外国に比べて日本の教育は相当遅れています。非常に切羽詰まった状況だと言っても過言ではありません。

 一方で、学校現場は大きな矛盾を抱えています。現行のカリキュラムは減らさず、さらに新たな施策を加えようとしているのです。外国語活動やプログラミングについて、なんと文科省は必要な授業時間数を確保していなかったんですよ。つい最近になってようやく「総合的な学習の時間」(総合学習)の70コマの内、年15コマまでを外国語活動へ振り替えてもよいと言い始めましたが、実際には、朝読書の時間や昼休みを削って15分単位で時間を捻出し、それをつなぎ合わせて何とか体裁を整えようとしている、そんなありえない状況なんです。時間のやりくりは現場任せ。教員からは悲鳴が上がっていますが、それでも何とか必死に頑張っています。

 このように、学校の労働環境は過酷を極めており、学校のリソースだけでこれだけの大改革を成し遂げることは不可能です。そこで文科省は、地域との連携や教員以外の専門スタッフの参画を促すことで、「チームとしての学校」を実践し、新しい時代に求められる資質や能力を育んでいこうとしています。

 この「チームとしての学校」に、僕はこうしたAIロボットが果たす役割は非常に大きいんじゃないかなと思っています。

 たとえば各教室にこのMusio Xがいれば、子どもたちは細切れの時間を有効に使って生きた英語に触れることができるようになりますよね。「チームとしての学校」の中で、ボランティアをはじめとした人的な補強は地域によってどうしてもばらつきが生じてしまうのですが、ロボットなら手軽に簡単に、学校間や地域間の格差を生むことなく導入できます。AIロボットの教育現場への参画は、これからの時代、必然なのかもしれませんね。

◆子どもたちが英語に対して「楽しい」という原体験を積めるチャンス

--Musio XのようなAIロボットは教育現場にどのような変化をもたらすと思いますか。

尾木ママ:小学校で英語の免許を持っている先生はわずか5%程度。小学校の先生に英語を教えなさいというのはかなり乱暴な要求なんです。だからこそ、こうしたロボットは、現場の先生にとって重要な助っ人になるんじゃないかしら。先生が操作方法を完璧に理解できなくても、子どもたちはすぐにMusio Xと仲良くなって遊び始めると思うし、子どもたちに任せておけば、自分たちの力で新しい世界をどんどん開拓していくはずよ。

 これは子どもたちが、英語に対して「楽しい」という原体験を積める大きなチャンスでもあるんです。友達のようなロボットなら、リラックスして楽しく学べます。子どもたちの脳は、「楽しい」と思えることはスポンジのようにいくらでも吸収できるんですね。片言の英語でも、Musio Xがその子に応じてさまざまな反応を見せてくれることで、子どもたちの英語に対する苦手意識もすっかり変わることでしょう。こうしたポジティブな原体験は、その後の英語力の伸長に繋がるというデータもあるんですよ。

 文科省が昨年実施した調査によると、日本の中学3年生の実に45%が「英語は嫌い」と答えています。これが我が国の英語教育の現状です。だとするとMusio Xには、英語嫌いを減らす効用も期待できるのではないでしょうか。

◆Musio Xが家庭にいれば「親子で一緒に」という場面を作りやすい

--Musio Xが家庭で果たせる役割とは何でしょうか。また親としてどういった点に気をつければ良いでしょうか。

尾木ママ:子ども向けの英語教育がこれだけ過熱しているというのは、親がうまく教えられないからだと思います。そこそこ読み書きはできるけれど、英会話となるとまったく自信がないし、単語だって正しく発音できない。ここに多くの親がコンプレックスを感じているんです。Musio Xが家庭にいれば、「親子で一緒に」という場面を作りやすいはず。お父さん、お母さんも一緒になって英会話に挑戦してみることで、親子のコミュニケーションにもつながります。子どもと一緒に学び合い、それを通じて信頼関係が深まる。そういう親子関係はMusio Xがもたらす大きな副産物だと思いますね。

 一方で、気をつけなければならないのは、ロボットは万能ではないということ。いくらMusio Xが賢くても、子どもの機嫌やちょっとした表情の変化は、親だからこそ気付けるもの。ロボットに子どもを任せっぱなしにしないで、親子一緒に楽しむのがいいですね。

◆Musio XのようなAIロボットの登場は「ロボットとの共存時代が始まる入り口」

--AIロボットの登場で、日本の学校や家庭にどんな未来予想図が描けるでしょうか。

尾木ママ:2014年、オックスフォード大学でAIなどの研究を行うマイケル・A・オズボーンとカール・ベネディクト・フレイは、「今後10~20年以内に、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」と予測し、世界中で大きな話題となりましたね。実際に日本でも、2020年の東京オリンピックに向けて、自動運転実現のための開発を強化しています。この流れはもはや変わることはないでしょう。

 僕は、このMusio XのようなAIロボットの登場は、「ロボットとの共存時代が始まる入り口」ではないかと捉えています。さまざまなロボットが日常生活に存在するという風景が、あと10年もしないうちにごく当たり前になっているかもしれませんよ。

 子どもたちが大好きなドラえもんなどは、絵本やテレビを通した2次元の存在だったけれど、実際にロボットとリアルな世界で一緒に暮らすような時代がやってくる。ロボットは、いつの間にか教室や家族の大切な一員になっているような気がします。

◆多様性を認め合うインクルーシブな思考を後押しするような発想力

--幼い頃から英語を学ぶことで、日本の子どもたちはどのような能力を伸ばせると思いますか。

尾木ママ:英語学習という点では、こうしたロボットが普及し、子どもたちがこれまで以上に日常的に英語を学んでいくことで、単なる発音だけではなく、彼らの「思考方法」も変えていくと思います。

 英語で自分の気持ちや意見を伝えるとき、必ず「I」(私は)という主語が必要ですよね。日本語の場合は、文章の最後まで聞いていないと誰が何を言いたいのかよくわからないことがあって、その間ずっと空気を読むわけです。一方、グローバル社会では「I」、つまり自立した思考が持てなければ相手と対等に渡り合えません。

 母国語である日本語に加え、幼児期から英語が身近にある環境に身を置けば、日本らしさを守りつつ、多様性を認め合うインクルーシブ(包括的)な思考を後押しするような発想力が養われると思います。言葉は人格形成に繋がります。調和を重んじる日本らしさと、多文化共生社会を生きるためのグローバルスタンダードの両方を持ち合わせて初めて、真の国際人になれるのではないでしょうか。

◆親も子もロボットも、みんな「未熟」でいい

--未来は我々の想像を超えた世界になりそうですね。そんな未来を生きる子どもたちと日々向き合う親御さんたちへ。今、どんなことを伝えたいですか。

尾木ママ:子育ては絶対にひとりではできない、社会的な営みです。子どもは、さまざまな人が関わりながら育っていくものです。親が全責任を負い、パーフェクトな子育てを目指そうなんて思わないでね。心を開いて、一歩外に出て、愚痴をこぼし合えるような、みんなでつながりあっていけるような、そんな人間関係を作って欲しいなと思います。

 今はネットにあらゆる情報が溢れていて、情報に振り回されている親御さんが増えているように感じます。子育てに正解はありません。「子育ては失敗するもの」と思うくらいで丁度いいんですよ。「うちも同じ、大丈夫!」と言って笑い飛ばせるような仲間を作って、大らかで気楽な子育てをしてくださいね。

 それともうひとつ、子どもにとってはお父さん、お母さんの笑顔がいちばん大事なんです。忙しくてイライラして、ついきつく叱ってしまい、子どもの寝顔に「ごめんね」というお母さんが多いみたいだけど、寝顔に謝るのはただの自己満足よ(笑)。子どもが起きているときに「さっきは、ついカッとなってごめんね」と素直に謝ればいいんです。「ありがとう」や「ごめんなさい」は親の方からどんどん伝えてあげてね。

 親も子もロボットも、みんな「未熟」でいいのよ。お互いに仲間として手を取り合い、笑顔を絶やさず、楽しくのびのびと成長していきましょう♡

笑顔のMusio Xと尾木ママ


 人工知能(AI)という存在には、人間が築き上げてきたものを飲み込んでしまうかのような万能な存在として危機感を煽られることが多い。だが尾木ママは、私たちのさまざまな日常を支え、共に成長していける「仲間」として、AIロボットが学校や家庭での大切な一員となる未来を描いている。

 課題の多い中2020年に迫る日本の教育改革も、実現可能な方法を探り出し、Musio Xの未熟さまでも教育改革の糧にしてしまえる、尾木ママ流「超」ポジティブ思考こそ、AIと共存する未来を幸せに生きていく最強の術(すべ)なのかもしれない。

 この春発売されたMusio Xは、AIを搭載し、まるでネイティブの友達ができたかのようにいつでもどこでも自由に会話を楽しめることから、全く新しい英語学習ツールとして、また、お友達ロボットとして注目を集めています。

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《加藤紀子》

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