英語4技能化に向けた新タイプの英語名門塾「学び舎」に聞く科学的メソッド~第二言語習得研究とは?

教育・受験 高校生

恵学社 取締役 ENGLISH COMPANY 担当部長/文系教務部長 田畑 翔子氏と恵学社 取締役 学び舎事業部長/運営管理部部長 原 信久氏
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  • 「学び舎東京」のようす
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 2020年、大学入試は大きく変わる。特に英語では、これまで「読む」が中心で「書く」と「聞く」が少し入り、「話す」にいたってはほぼゼロという状態だったものが、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能すべてをバランス良く評価する試験へと大きく様変わりする予定だ。グローバル化に対応した、少々遅すぎるとも言える改革だが、実際に新制度下で受験を経験することになる現在の中学3年生(2002年、2003年生まれ)より下の世代はどのような対策を行っていけばよいのだろうか。また、保護者は何を知っておくべきか。不安を抱える人も多いだろう。

 そこで今回は、早くからこの改革を見越した教育を実践し、大学受験においても社会人向け教育においても実績を重ねてきた恵学社をお訪ねし、取締役 学び舎事業部長/運営管理部部長 原 信久氏、取締役 ENGLISH COMPANY担当部長/文系教務部長 田畑 翔子氏に英語4技能化とは何なのか、また具体的な学習法についてお話を伺った。

英語4技能教育に早くから注目。実績を重ねる



 恵学社は、医学部や難関大学向けの少人数・個人指導型の予備校「烏丸学び舎」「学び舎東京」「学び舎東京plus」や、主に社会人を対象とした英語のパーソナルジム「ENGLISH COMPANY」などを運営する教育ベンチャーである。そのどれもに共通するのが「第二言語習得研究(SLA)」という言語習得の科学をベースに指導をおこなっていることだ。

 2010年開校の予備校「烏丸学び舎」では設立当初より第二言語習得研究にもとづいた指導を行い、毎年医学部や難関大への合格者を輩出。2015年よりスタートした「ENGLISH COMPANY」でも同様に、わずか90日でTOEICスコアを400点もアップさせるなどの実績から、現在受講開始希望者が3ヶ月先まで埋まっている状態だと言う。

 こうした実績を支える「第二言語習得研究」とは何なのか。それをベースにした指導法とはどのようなものなのだろうか。まずは、これまでの受験英語と英語4技能についてお聞きした。

--英語4技能が入試で評価されることについて、どのように感じていらっしゃいますか

田畑氏:大学入試ではこれまでもリスニングの導入など、少しずつ実用性を意識したものに変化してきてはいましたが、入試全体を見るとまだまだリーディングの比率が傑出して高いという状態でした。2020年の改革では、この状況が大きく変わるとされています。私たちは、社会人向けの事業も運営していますが、ビジネスの現場において英語力の必要性が高まっていることを肌で感じていますから、この改革は必然であると感じています。

恵学社 取締役 ENGLISH COMPANY 担当部長/文系教務部長 田畑 翔子氏
恵学社 取締役 ENGLISH COMPANY 担当部長/文系教務部長 田畑 翔子氏

--これまでの英語入試では4技能のスキルは求められていませんでした。保護者も、教師も対応が大変だと思いますが、いかがでしょう

原氏:大きく変化する訳ですから、指導する側にも大きな負担がかかることは避けられません。ただ私たちは、予備校の業界では後発で、2010年から事業をスタートしていますから、初めから4技能化をターゲットにしてメソッドや指導法の開発を行ってきました。これからが本番である、という思いです。最近では、ネイティブ講師の授業を導入するなど、対応を進めている学校などもありますが、まだまだ旧来の方法で指導を行っているところの方が多いようです。学校の先生などから、4技能の対策をどのように行えばよいかという相談を受けたこともあります。

--従来とは一線を画す英語教育が必要になるわけですね

田畑氏:英語を日本語に訳して理解していく方法を「訳読」といって、長く日本の英語教育の主流でした。学校でもそうですし、大きな予備校や塾などでも基本的に「訳して読む」という方法が採られてきたはずです。

 一方で、「訳読」ではどうしても読むのに時間がかかってしまいます。頭の中で翻訳をしているのですから、当然です。ただ、4技能化で重要度が増す「聞く」「話す」という技能には、なによりもスピードが求められます。聞いた瞬間に理解する、口をついて英語が出てくるような状態を作らなければならないのです。

 これまでは文法や構文などの知識をただ理解しているとか、覚えているというだけで良かったのですが、今後はそれらの知識を瞬時に使える状態にまでもっていかなければならないということです。第二言語習得研究では、特に意識を払わなくても文法などの知識を使って言語処理ができる状態を「自動化」した状態と呼びますが、つまりトレーニングによって自動化を促す必要がでてくるということです。

日本にいる環境での「4技能対策」



--これまで以上の学習時間が求められるということでしょうか

田畑氏:これまでも受験生にとって、受験勉強全体の負担は決して小さなものではありませんでした。国公立大学の受験では、英語以外にも数学や理科なども勉強しなくてはなりませんし、私たちは、英語にかける時間をなるべく短縮させてあげたいと考えてきました。第二言語習得研究の知見を用いた指導を始めたのは、学習の効率、生産性をあげることが目的でした。科学的に正しいとされる方法で学習することで、学習の「時間」を増やさずに効果を高めることもできると信じています。

--効率的に英語を学ぶ方法があるのですね

田畑氏:第二言語(外国語)を身につけるのには、効果的な順番、プロセスというものがあるということが専門の研究者の間では常識です。まず、文法や語彙などの「知識」その次に「読む」「聞く」というインプットの力、そして最後に「話す」「書く」というアウトプットの力という順序で身につけていくのが効率的なのです。

 4技能化で「話す」力が求められる、となると「では英会話教室でネイティブと会話をさせよう」と思われる方もいらっしゃると思います。でも知識やインプットの力が足りていない状態で会話練習をしても、遠回りになってしまうのです。直感的には正しそうな方法も、科学的にみると非効率である、ということもあります。

学び舎東京の音読専用自習室「practice room」
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--第二言語習得研究(SLA)にもとづけば、学習の効率化が可能ということだと思いますが、あらためてSLAとはどのようなものなのでしょう

田畑氏:第二言語習得研究(SLA)とは、第二言語、いわゆる外国語を人が身につけるプロセスやメカニズムを研究する学問領域です。よく誤解されるのですが、これ自体は「メソッド」ではなく、基礎的な研究です。日本に住む日本人英語学習者を対象にした研究、アメリカにいる日本人英語学習者を対象とした研究、その他さまざまな対象について研究がされています。

 人がどのようなプロセスで第二言語を習得しているのかを把握することによって、習得順にそったカリキュラムを組むことができたり、学習上の課題解決の方法を根拠に基づいて提示することができるなど、無駄をなくすことができます。

恵学社 取締役 ENGLISH COMPANY 担当部長/文系教務部長 田畑 翔子氏と恵学社 取締役 学び舎事業部長/運営管理部部長 原 信久氏
恵学社 取締役 ENGLISH COMPANY 担当部長/文系教務部長 田畑 翔子氏と恵学社 取締役 学び舎事業部長/運営管理部部長 原 信久氏

--日本で英語を学ぶのは海外で学ぶこととは異なるのですね

田畑氏:日本のように、英語を外国語として学ぶ環境のことを第二言語習得研究ではEFL(English as a Foreign Language)環境と呼びます。一方で、ESL(English as a Second Language)環境という、日本人がアメリカやイギリスのような英語圏に行って英語を学ぶという環境があります。この2つの環境では、前提となるインプット量・アウトプット量が大きく異なるのですから、最適な学習法も当然異なります。「アメリカに留学した人が文法を勉強しなくても話せているから、文法を学習する必要はないだろう」という人がいます。でも、環境がそもそも違うのです。インプットの「量」が不足するEFL環境下では、明示的な文法指導でインプットの「質」をあげる必要があります

 従来の学校の英語では、知識を入れてそこでおしまいになっていたから使えないだけで、それは文法が不要だということを意味するのではありません。使うためにはトレーニングが必要なのです。

個別の課題に取り組むことが大切



--「烏丸学び舎」「学び舎東京」は少人数制ですが、それも効果的な学習メソッドと関係がありますか

原氏:知識を頭に入れるということに限定すれば「教師→生徒たち」のような一方向の形でいいと思いますし、オンラインの講義や参考書で事足りることもあるでしょう。しかし、「話す」「聞く」というのはいわば実技です。実技の能力を向上させるには、トレーニングが必要で、それは少人数での対応で効果がでやすくなる分野だと思います。

 私たちは、「烏丸学び舎」「学び舎東京」「学び舎東京plus」という予備校と「ENGLISH COMPANY」という社会人向けの英語トレーニングジムを運営しています。「ENGLISH COMPANY」では子どもに実践してきたことをブラッシュアップして行い、そこで新たに得られた知見を予備校に還元して、相乗効果をあげています。対象が大人であっても子どもであっても、大切にしていることは「課題をみつける」ということ。課題を発見し、それに適切にアプローチするということを繰り返せば必ず成績はあがります。少人数であれば、課題の発見は容易になります。つまづきの原因は知識の不足なのか、それはどこなのか、あるいはスピードが問題なのか、そういったことを細かくみることで個別にメニューを組んでいます。

恵学社 取締役 学び舎事業部長/運営管理部部長 原 信久氏
恵学社 取締役 学び舎事業部長/運営管理部部長 原 信久氏

--その他にも学習効果を上げるためのしくみを教えていただけますか

田畑氏:EFL環境下では明示的な文法指導が有効であるとお話しましたが、私たちはいわゆる「受験英文法」とは異なるアプローチで文法指導を行っています。受験英語の基本は「訳読」ですから、日本語に訳すための文法が教えられていました。「be動詞とingがでてきたら ~している、と訳そうね」というものですね。私たちの文法指導は「認知文法」と呼ばれる文法の考え方を大きな柱としています。これは、ネイティブがどのようなイメージで英語を使っているのか、ということを中心に据えた文法の考え方です。「認知文法」で英文法を理解することで、英語を日本語に訳すことなく「英語のまま」理解出来るようになります。たとえば「on」は「(上)に」というふうに訳で覚えると、on the ceiling(天井に)とかon the wall(壁に)がよく理解できませんが、「接触している」というイメージを知っていればよく理解できるというようなもの。訳を介さないことは、理解スピードの向上にも直結します。

 また、リスニングはただ音を聞ければよいということではなく、聞いた音の意味を瞬時に処理していくということが求められますから、「認知文法」を利用した素早い意味処理が有効です。リーディングとリスニングはどちらもインプット系のスキルですから、私たちはその二つを融合させたトレーニングを開発し、実施しています。通訳訓練法として有名なシャドーイングを行える設備も整えているおかげで、センター試験のリスニング程度であれば毎年満点取得者が多く出ています

--最後に、中学3年生や保護者の皆さんにアドバイスをお願いできますか

原氏:これまでもずっと、英語の必要性が訴えられてきました。しかし、ここ数年、これまでとはまるで異なるレベルで本当に英語力が求められるようになりました。この時期に、英語4技能入試という形で受験を迎え、実用的な英語力を受験を通して身につけられるということ、また第二言語習得研究も進展し効率的な学習方法が明らかになってきたということみなさんはとても幸せな世代だと思います。これは大きなチャンスです。これを機に是非英語を使える人を目指して下さい。


「学び舎東京」のようす
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 インタビューにお邪魔した際、学び舎の生徒さんの何人かとすれ違ったが、穏やかな笑顔を浮かべていた。「英語4技能入試という形で受験を迎えられるのは幸せなこと」と語る先生方もまた優しい笑顔で取材に応じてくださった。学問に基づく英語学習の成果が、心の余裕と自信をもたらしているのだと実感した。英語4技能は確実に社会で求められる技能である。4技能化受験にのぞむこれからの受験生も、その技能を活かし、グローバル社会でさまざまな人々とコミュニケーションをとって、素敵な笑顔をふりまいてほしい。

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<各校のお問合わせ先>
・学び舎東京(四谷/東京)
・学び舎東京PLUS(市ヶ谷/東京)
・烏丸学び舎(四条烏丸/京都)
《渡邊淳子》

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