小中学校の担任経験者、半数近くが「子どもをうまく叱れていなかった」

 小中学校の担任経験者のうち、52.2%が子どもをうまく怒れ(叱れ)ていないと感じていることが、日本アンガーマネジメント協会の調査からわかった。また、9割以上が、子どもに怒りの感情教育に必要性を感じていた。

教育・受験 先生
子どもをうまく怒れ(叱れ)ていたと思うか
  • 子どもをうまく怒れ(叱れ)ていたと思うか
  • うまく怒れ(叱れ)ていたと思わないと答えた回答者対象:うまく怒れ(叱れ)ない理由
  • 学校生活の中で、イライラしている子どもが多いと感じるか(感じたか)
  • 子どもたちに怒りのメカニズムについて勉強を受けさせることは、子どもたちに必要なことだと思うか
  • 学研教育みらい出版「中学生の道徳 明日への扉」
 小中学校の担任経験者のうち、47.8%が子どもをうまく怒れ(叱れ)ていないと感じていることが、日本アンガーマネジメント協会の調査からわかった。また、9割以上が、子どもに怒りの感情教育に必要性を感じていた。

 調査は、2019年度用中学校道徳教科書(学研教育みらい出版「中学生の道徳 明日への扉」)に「生命尊重」「いじめ防止」に繋がるテーマのひとつとしてアンガーマネジメントの掲載が決定したことを機に、日本アンガーマネジメント協会が実施したもの。日本全国の「小中学校教師として、担任を持っていた」412人を対象に、教育現場における教師と子どもの怒りの実態についてアンケート。調査時期は2019年2月9日~10日。

 回答者に子どもをうまく怒れ(叱れ)ていたと思うかと尋ねると、52.2%が「思う」、47.8%が「思わない」と回答。「うまくリクエストが伝えられている」「自分の要求を相手が理解できるように伝えられている」叱り方について、半数近くが伝えられていないと感じていた。

 うまく怒れ(叱れ)ない理由を尋ねると、「冷静に怒りのポイントを伝えることができなかったから」37.9%がもっとも多く、「子どもがなぜ怒りのポイントとなる言動や行動をしたのか理解できなかったから」22.6%、「子どもが反省の色を示していなかったから」20.0%が続いた。

 また、学校生活の中で、イライラしている子どもが多いと感じるか(感じたか)という質問では、55.3%が「イライラしている子どももいる(いた)が多いとは感じていない」と答えた一方で、40.5%は「イライラしている子どもが多いと感じた」と答えている。「イライラしている子どもはいないと感じた」は4.1%だった。

 子どもたちに怒りのメカニズムについて勉強を受けさせることは、子どもたちに必要なことだと思うかと聞くと、「とても必要なことだと思う」57.3%、「必要なことだと思う」38.8%で、合計96.1%が怒りの感情教育に必要性を感じていた。

 日本アンガーマネジメント協会では、安藤俊介代表理事が調査結果について考察を行っている。イライラしている子どもが多いかという調査項目に関する考察で、「怒りは人間に備わっている自然な感情なので、イライラ、怒りを感じない子どもはいません」とコメント。怒りを感じること自体は問題ではなく、問題があるとすれば、その怒りをもつことになったきっかけがわからず、自分や周りがその怒りにどう向き合えばよいのかわからないことだと伝えている。

 中学校道徳の教科書にアンガーマネジメントが掲載されたことについて、「アンガーマネジメントで怒りの感情と上手に付き合う術を身につけることで、より道徳的な行動がしやすくなるという点に注目し、教科書に掲載されるようになった意味は非常に大きいと言えます」とコメントしている。
《黄金崎綾乃》

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