税理士の年収は低い?年収5000万問題や中央値にも着目

税理士の年収は全職業の平均年収よりも高く、資格を取得すれば一生食べていけると考えている人は多いと思います。

しかし実際にどれぐらい稼いでいるのかわからない人も多いでしょう。

そこで、今回は以下のような内容について調査を実施しました。

【当ページの内容をざっくりまとめると…】
・みんなが知りたい税理士の平均年収は
・税理士が年収を上げるためにやっていることは
・税理士も独立すると本当に収入は増えるの
・データから見る税理士のリアルな年収
・男女や年齢、企業によって年収は変化するかどうかの調査

今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)

目次

税理士の平均年収はおよそ958万円

2020年に厚生労働省が公表した、「賃金構造基本統計調査」では税理士の平均年収はおよそ958万円でした。

国税庁の調査では全体の平均年収が433万円のため、税理士の年収は倍以上になります。

一般の企業に就職するのと同様に年齢を重ねるごとに年収が増加します。税理士でも副業と本業の年収には大きな差があり、実際の年収はさらに高い可能性も。

【年齢別】税理士の年収データまとめ

税理士の年齢別の年収は以下のとおりです。

年齢平均年収
全年齢の平均958万円
20~24歳364万円
25~29歳506万円
30~34歳913万円
35~39歳1,009万円
40~44歳1,158万円
45~49歳1,107万円
50~54歳813万円
55~59歳755万円
60~64歳416万円
65~69歳681万円
※引用元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2020年発表)

税理士の年収は一般の企業と同様に若い頃の年収は低いです。理由は経験年数が少なく、顧客を多く持っていないことが挙げられます。

税理士の年収は30歳前後で急上昇し、1000万円を超える方も少なくありません。50歳手前辺りで年収のピークを迎え、その後は年収は下がっていきます。

しかし最近の税理士合格者の平均年齢は高齢化しており、最多合格者は41歳以上のカテゴリーです。

年齢別受験者数(A)5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計(B)合格率(B/A)
41歳以上11,3622691,2191,48813.1
36~40歳4,6199786596220.8
31~35歳4,9731071,0611,16823.5
26~30歳4,916741,2581,33227.1
25歳以下7,023532,1222,17533.0
合計32,8936006,5255,40221.7
出典:国税庁 令和5年度(第73回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)

そのため同じ年齢でも年収には、大きな格差があるでしょう。

【男女別】税理士の年収データまとめ

税理士の年収は男女でも大きく違います。男女の年収データは以下の表の通りです。

年齢男性平均年収女性平均年収
全年齢の平均1,031万円744万円
20~24歳364万円364万円
25~29歳577万円404万円
30~34歳984万円707万円
35~39歳1,036万円931万円
40~44歳1,201万円929万円
45~49歳1,177万円862万円
50~54歳913万円658万円
55~59歳960万円592万円
60~64歳419万円410万円
65~69歳983万円250万円
※引用元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2020年発表)

男性と女性では300万円ほどの年収差があります。年齢が若いときは大きな差はありませんが、結婚する年齢あたりで大きく差ができます。経験年数が年収に比例するため、女性は育児休暇によってしばらく働けないのが原因です。

また女性の寿退職もあるため、平均年収が高くなる年齢の前に退職するのも原因の一つでしょう。

【まとめ】税理士は年齢や性別によって優位性はあるのか?

3つのデータから見る限り、性別による年収の優位性はありません。
しかし年齢による優位性はあります。

年齢が高くなればなるほど、年収は高くなり、1000万円超えも余裕でしょう。ただし、年齢といっても経験年数が少ないと年収は低いままです。

そのため年収が低いときから、経験を積み集客をした税理士のみが高い年収を得られます。年齢や男女差別はなく、平等な競争が行われているといえます。

【企業によって違う?】求人から分析する年収データ

Indeedの税理士募集を検索すると以下の年収データになりました。

業務項目年収
税理士5,046,409円
経理・税務5,967,689円
経理5,965,255円
税務会計スタッフ4,144,658円
※引用元:Indeed職種別に年収・給与情報を検索:税理士

また人気のある企業は以下のとおりです。

企業年収
Plante Moran10,399,399円
株式会社ウィルオブ・ワーク6,626,866円
※引用元:Indeed職種別に年収・給与情報を検索:税理士

企業に属した場合、年収が低い傾向にあります。
税理士の平均年収よりも数百万円安くなるため、別の方法で稼いでるでしょう。

一部の方は、副業で別収入を得ていたり、税理士以外の業務を兼任されていたりします。
また転職をすると年収が上がりやすい傾向にあるため、転職されている方が年収を引き上げている部分もあります。

税理士は独立によって年収が増えるのか?

税理士の8割は独立して業務を行っています。

開業した税理士の年収は以下のとおりです。

総所得/給与収入開業税理士
300万円以下31.4%
500万円以下16.7%
700万円以下12.0%
1,000万円以下13.5%
1,500万円以下11.0%
2,000万円以下5.0%
3,000万円以下3.4%
5,000万円以下1.5%
5,000万円以上0.5%
無記入5.0%
引用:日本税理士連合会

独立した税理士は、年収が高く、年収が1000万円以上の方が2割以上います。年収が1億円を超える税理士もいるため、格差が大きいのが特徴です。

ただし実績がなければ、企業で働いていたときよりも稼げなくなるので、安易に独立した方が年収が高くなるわけではありません。

そのため税理士として実績があり、富裕層を集客してから独立を考えましょう。

税理士が年収を上げるためのポイントとは?

最後に、税理士を仕事とするうえで、年収を上げるためには「どのような行動を起こせばいいのか?」について考察したいと思います。

ポイント① ほかの企業へ転職する

年収を上げる一つ目の方法は、中小企業や収入の少ない企業から大企業への転職です。年収を会社の規模が大きく、企業全体の年収が高ければ税理士の年収も高くなります。

一般企業での税理士の年収は、400万円台から500万円台ですが、会計事務所・税理士法人の平均年収は約562万円です。
また大手会計事務所である、BIG4と呼ばれる企業の初年度の年収は以下のとおりです。

PwCデロイト トーマツKPMGEY
500万~600万円500万~600万円480万~600万円450万~600万円
※引用元:マイナビ税理士:税理士の年収のすべて教えます(業種・年齢・経験別)

BIG4では役職が付けばすぐに年収が1000万円近くになるため、大企業への転職は高い年収を得るための最適解とも言えます。

またポジション別の年収は以下のとおりです。

スタッフ20代前半シニアスタッフ20代後半~30代前半マネージャー、シニアマネージャー30代後半~40代前半ディレクター、パートナー40代後半~50代前半
450万~650万550万~800万円800万~1,000万円以上1,500万円以上
※引用元:マイナビ税理士:税理士の年収のすべて教えます(業種・年齢・経験別)

ポイント② 企業に働きながら、自分の顧客を持つ

次におすすめの方法は、企業で働きながら副業をする方法です。副業で自分の顧客を獲得したり、新しいお仕事を獲得できたりします。

税理士の資格や経験を活かして、金融関連メディアや出版の監修も可能です。SNSを運用して、うまくブランディング出来ればニッチな分野で税理士報酬を独占できるかもしれません。

具体的には大河内薫さんのように、本の出版で集客して現在はたくさんの業務をこなしています。

ポイント③ 開業税理士になる

自分の顧客や独自の案件獲得方法がある場合、開業も年収を上げる方法の一つです。企業で働いて案件を入手しても、一部は手数料として引かれてしまいます。

またポジションが高い人に良い案件が回るため、自分の得意領域ではない案件に対応しなければならないかもしれません。開業すれば、仲介料が発生せず自分のやりたくない業務をやらずにすみます。

税理士の報酬単価はクラウド会計ソフトによって下がってきていますが、海外展開を考えている企業やベンチャー企業など新しい案件獲得もあります。

独自の路線を貫けば、高い年収を維持し続けられるでしょう。

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