なぜ今「こころを学ぶ」のか?こころ検定®が拓く、キャリアと人生の新たな可能性

現代社会において、メンタルヘルスの重要性が叫ばれる中、自分や他者の「こころ」を理解し、適切に向き合うための「心理学リテラシー」が、新たな教養として注目されています。

今回は、心理学の知識を体系的に学べる「こころ検定®」について、一般財団法人 日本こころ財団の理事長である別府 武彦さんにお話を伺いました。検定が目指すものから、キャリア形成や自己成長にどう繋がるのかまで、詳しく解説いただきます。

目次

なぜ今、心理学が「教養」として必要なのか?

ミツカル学び編集部(以下、編集部)「こころ検定®」を立ち上げられた背景についてお聞かせください。

一般財団法人 日本こころ財団 理事長 別府 武彦さん(以下、別府さん):はい。「こころ検定®」が誕生した背景には、現代社会における「こころの健康」への関心が非常に高まっていること、そして心理学を一部の専門家のものだけでなく、誰もが身につけるべき一般教養として広めたいという強い想いがあります。

仕事や日常に活きる「こころのリテラシー」とは

編集部なるほど。その「こころのリテラシー」とは、具体的にどのような力を指すのでしょうか?検定を通じて身につく力は、私たちの日常生活や仕事にどのように活かせるのかお聞かせください。

別府さん:「こころのリテラシー」とは、ご自身や他の方の「こころ」の状態を正しく理解し、それに対して適切に対応するための知識とスキルの総称です。これは、単に学問としての心理学の知識を指すのではありません。日常生活や仕事のあらゆる場面で実際に役立てることができる、「こころの教養」とも言える実践的な力なのです。

学生から社会人まで、すべての人に開かれた検定

編集部こころ検定®は、どのような方に受けてほしいとお考えですか? 例えば、学生や社会人、あるいは転職を考えている方など、特におすすめしたい層があれば教えてください。

別府さん:はい、「こころ検定®」は心理学の知識を通じてこころのリテラシーを高めたいと考える、すべての方に開かれた検定です。特に、ご自身の進路に悩む学生の方、職場の人間関係やリーダーシップの向上を目指す社会人の方、新たな一歩を踏み出す転職者の方、そして子育てや介護でご家庭を支える方々には、日々の課題を乗り越えるための具体的なヒントが見つかるはずです。

資格を活かしたキャリアチェンジの具体例

編集部受検された方の中には、キャリアにどのような変化がありましたか? 実際に資格を活かして転職やキャリアチェンジに成功した事例があれば、ぜひご紹介いただきたいです。

別府さん:はい。「こころ検定®」を取得した方々の中には、心理学の知識を活かしてキャリアの幅を広げたり、転職やキャリアチェンジに成功されたりした事例が数多く報告されています。代表的な活用事例をいくつかご紹介します。

【実際のキャリア活用事例】

  1. 教育分野への転身(40代男性)
    元々は一般企業の営業職でしたが、こころ検定を通じて心理学に興味を持ち、1級に合格してメンタルケア学術学会認定のメンタルケア心理専門士資格を取得。現在は高校のスクールカウンセラー補助として勤務し、生徒のメンタルサポートに携わっています。
  2. 心理カウンセラーとして独立(20代女性)
    ご自身のメンタル不調をきっかけに心理学を学び始め、こころ検定2級に合格し、メンタルケア学術学会認定のメンタルケア心理士資格を取得。さらに実践力を磨くため1級合格を目指しながら、現在はフリーランスのカウンセラーとして活動中です。
  3. 企業の人事・採用担当にキャリアチェンジ(30代男性)
    IT企業の技術職から人事部門への異動を希望する際、こころ検定の取得が「対人理解力の証明」として評価され、異動が実現しました。現在は、採用面接や社員研修の設計に心理学の知見を活かしています。
  4. 教育機関での講師活動(40代女性)
    主婦からの再就職を目指し、こころ検定を取得。地域のカルチャーセンターで「やさしい心理学講座」を開講し、講師として活躍されています。

学びの核心にある「自分を見つめ直す」というプロセス

編集部検定の学習を通じて「自分を見つめ直す」ことには、どのような意義があるとお考えですか?

別府さん:「こころ検定®」を学ぶ過程で「自分を見つめ直す」ことは、単なる副産物ではなく、学びの核心とも言える重要なプロセスです。心理学の知識は、自己理解を深め、ご自身の人生や働き方を再構築するための内なるコンパスとなり得ます

転職市場における「こころ検定®」の価値と将来性

編集部転職市場において、「こころ検定®」のような資格はどのように評価されるのでしょうか。企業側の受け止め方や、今後の認知度向上に向けた取り組みについてもお聞かせください。

別府さん:「こころ検定®」は、心理学の基礎知識を体系的に学べる民間資格として、転職市場において一定の評価を得つつある「成長中の資格」だと認識しています。特に、対人スキルやメンタルヘルスへの関心が高まる現代において、企業側の受け止め方も徐々に変化してきています。

初学者でも安心!合格を目指すための効果的な学習法

編集部これから学習を始める方に向けて、効果的に合格を目指すための学習法や心構えがあれば教えていただけますか? 初学者でも取り組みやすい方法や、継続のコツなど、アドバイスをお願いします。

別府さん:「こころ検定®」の合格を目指す上では、心理学の知識を単なる暗記項目としてではなく、ご自身の体験や日常と結びつけ、「実感」として身につけることが鍵となります。特に初学者の方は、無理なく学習を継続するための工夫が大切です。

目指すのは、自分らしい生き方を再発見する「人生の変化」

編集部こころ検定®を通して、どのような「生き方の変化」を支援したいとお考えですか? 単なる資格取得にとどまらない、人生へのインパクトについてお聞きしたいです。

別府さん:私たちが「こころ検定®」を通して目指しているのは、単なる資格取得ではありません。こころを学ぶことを通じて「自分らしい生き方を再発見する」という、より深い人生の変化です。これは、知識の習得を超えて、自己理解、他者理解、そして社会との関わり方にまで影響を及ぼす内面からの変容を支援する取り組みだと考えています。

今後の展望と「こころを学ぶ文化」の創造

編集部今後、「こころ検定®」をどのように発展・展開させていきたいとお考えでしょうか。上位資格の設置や教育機関との連携など、将来的なビジョンを教えてください。

別府さん:「こころ検定®」は、単なる資格試験にとどまらず、こころを学ぶ文化そのものを社会に根づかせる教育運動として、今後も多角的に発展させていくビジョンを描いています。

【専門家からのメッセージ】こころを学ぶことは「自分の人生を選び取る力」を育むこと

編集部最後に、この記事を読んでいる方々へのメッセージをお願いします。「こころを学ぶことは、転職やキャリア形成にどうつながるのか?」という問いに対して、専門家としてのお考えをお聞かせください。

別府さん:「こころを学ぶこと」は、単に知識を習得すること以上の意味を持ちます。それは「自分の人生を、自分自身で選び取る力」を育むことだと、私は考えています。変化の激しい現代において、この力こそが、転職やキャリア形成において最も本質的で重要なものとなるでしょう。


こころを学ぶことは「人生を選び取る力」を育むこと

現代社会において「こころのリテラシー」が、もはや専門家だけのものではなく、万人が身につけるべき新たな教養であるという点に集約されるでしょう。こころ検定®が目指しているのは、単に知識を習得すること以上に、学びを通じて自己と他者への深い理解を促すことにあります。学習の過程における「自分を見つめ直し」こそが、自分らしい生き方を再発見する「人生の変化」に繋がるのです。そして、この学びで育まれる「自分の人生を自分で選び取る力」こそが、キャリア形成における最も本質的な強みになる、と別府さんは力強く語られました。

AI時代にこそ輝く、「こころを学ぶ」という人間的スキル

「こころを学ぶ」ことは、キャリア形成に留まらず、私たちのあらゆる人間関係の質を高めるOS(オペレーティングシステム)のアップデートと言えるでしょう。読者の皆様が明日からできる具体的なアクションとして、例えば、日常会話で相手の言葉の背景にある「感情」に少しだけ意識を向けてみてはいかがでしょうか。その小さな積み重ねが、「他者理解」という確かな第一歩となるはずです。AIとの協働が当たり前になる未来において、このような人間性の深い理解は、代替不可能なスキルとして、より一層その価値を高めていくことでしょう。

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