少子高齢化による生産年齢人口の減少が進む中、企業の持続的な成長にDX(デジタルトランスフォーメーション)は不可欠な要素となりました。しかし、多くのビジネスパーソンが「まず何から始めればいいのか」「最新のAIをどう実務に繋げるべきか」という課題に直面しています。
今回は、栃木県内企業のデジタル化、DXの支援拠点「とちぎビジネスAIセンター(以下、「AIセンター」)」について、栃木県産業労働観光部産業政策課の大山 高裕さんへインタビューを敢行しました。
同センターは、資金や人材に限りがある中小企業に対し、公的機関ならではの視点から、生成AIの活用法や現場課題の解決ノウハウを提供しています。
組織を動かし成果を出すための「真のDX人材育成」の秘訣とは。キャリアアップを目指す社会人にとって、明日からの業務を劇的に変えるためのヒントを深掘りします。
栃木の未来を創る。中小企業が直面する人手不足への切り札
生産年齢人口の減少による深刻な人手不足は、今や地方企業の存続を左右する最優先課題となっています。資金や人的資源に限りのある中小企業が、この荒波を乗り越え持続的に成長していくための「切り札」として、なぜ今デジタル技術の活用が求められているのか、その背景を探ります。
変化する社会情勢とデジタル技術が生産性を高める理由
——AIセンターがどのような取り組みをされているのか、事業内容についてお伺いできますか?
大山 高裕さんAIセンターは令和3年5月に、県内企業のAI等の導入や利活用を促進するための支援拠点として県が設置しました。県内企業のデジタル化やDXを支援する機能の一つとして人材育成に取り組んでいます。
——栃木県がこのセンターを通じて、DX人材の育成に力を入れ始めた理由や背景についてお聞かせください。
大山 高裕さん生産年齢人口の減少による深刻な人手不足、物価高や賃上げへの対応など、社会経済情勢が変化する中で、県内企業がこれらに的確に対応し、持続的に成長・発展していくためには、AIやIoTなどのデジタル技術を積極的に活用し、生産性の向上や新たな付加価値の創出を図っていくことが大変重要になってきています。
こうした取組を企業内で担うのが、まさにDX人材です。しかし、中小企業の皆様においては、人材や資金に限りがあり、独自に人材を育成・確保することが難しいという実情をよく伺います。そのため、AIセンターでは、様々な研修を実施するなど、企業の人材育成支援に取り組んでいます。
最近は生成AIなども登場しています。県内企業の皆様に、いつまでも地域の経済や雇用の牽引役となっていただけるよう、最新の動向を注視し、新しい技術の有効な活用方法などをタイムリーにお伝えできるよう努めています。
——栃木県に限らず、人手不足は全国的な問題だと思いますが、現場の企業からも「人手が足りない」といった切実な声やご要望は実際に多く寄せられているのでしょうか。
大山 高裕さん企業の方々に現在のお悩みなどをお伺いしたときに、必ずといっていいほど聞こえてくる話題の一つが人手不足です。以前から採用は厳しいという声を伺っていましたが、今はさらに大変な状況で、採用だけでなく定着してもらうことにも非常に苦労されているというお話を伺います。
——最近の生成AIの発展と進化は非常に目覚ましく、スピード感があります。その変化に追いついていくのは大変だと思いますが、栃木県内の企業でもそういった課題はあるのでしょうか。
大山 高裕さん中小企業の皆様においては、まず、日々の業務の中で、どう活用すればよいのかという入口の段階から悩まれているケースが多い状況です。
そのため、AIセンターで開催する人材育成研修の中では、まず、「生成AIを使うとどのようなことができるのか」を知っていただくところからはじめ、研修を通じて「自分の会社のこういった業務に使えるかもしれない」というアイデアを見出してもらえるよう、カリキュラムの工夫をさせていただいております。
公的機関ならではの安心感。デジタル化の悩みをなんでも打ち明けられる場
——民間にもIT系のスクールはたくさんあると思いますが、そういった民間の講座とは異なる、公的機関や地域の拠点ならではの「AIセンターで学ぶ独自の価値」はどこにあるとお考えでしょうか。
大山 高裕さん公的機関として設置している拠点ですので、基本的に研修などは無料となっており、多くの方に共通する話題を中心に基礎的な内容で実施しております。まずは、気軽に基礎を学んでいただける点と、この学びと併せて、企業のデジタル化に関する課題に対し、製品やソリューションの提案等がセットで提供できることが特徴だと思います。
AIセンターでは、現在、市場に存在する様々なメーカーの製品やソリューションをもとに、企業の課題や予算等に応じて、より最適なものをご紹介できるようにしています。それぞれの優れている点、性能が異なる点などを営利目的ではなく提案できる点も、公的機関ならではのものと考えております。
——気軽に立ち寄れるAIのお悩み相談所と言えますね。
大山 高裕さんはい、まさにそのような役割を担っています。
カタログでは分からない「使い心地」を展示品で直接確かめる
——AIセンター内では実際にAIやIoTの機器に触れることができるそうですが、どのような展示をされているのでしょうか?
大山 高裕さんAIセンターには、常に20種類前後の体験・体感いただけるデジタル機器等の展示をご用意しています。課題やお悩みの相談と併せて、実際に機器等を見て、触っていただくことができます。机上の理解だけでなく、実際に体験することで、「自分たちの会社なら、このツールで課題が解決できそう」と思っていただけるのも大きなメリットと考えております。
——AIセンター内には常時たくさんの機器等が展示されているのですね。展示する機器等は、どのように選んでいるのでしょうか。
大山 高裕さん業界知名度の高い製品のほか、地元のIT企業の製品なども展示しています。
地元のIT企業については、AIセンターで定期的に訪問等を実施しており、県内企業からAIやIoTに関する相談があった際にご紹介できそうな自社製品等をお持ちか、情報収集を行い、最新の状況を把握するようにしています。
——展示にあたって、AIセンターの職員の皆さんも実際に操作感などを確かめられているのでしょうか。
大山 高裕さん問合せ時に説明するのは、AIセンターの職員となりますので、機器等を設置する前にベンダー企業から説明を受け、操作方法やアピールポイントなどをレクチャーしていただいています。
——これまでさまざまな事例をお伺いしてきましたが、私が個人的に素晴らしいと感じたのは「AIを使う感覚を養える」という点です。これは非常に重要なポイントだと思います。
大山 高裕さん「成功体験」によって、「次はこういう業務でも使ってみよう」という発想が湧いてくるのではないかと思います。こうした継続的な取組を推進できる人材が、中小企業を牽引する「DX人材」の理想の姿なのではないかと考えています。
——その良い連鎖が生まれることで、栃木県全体の経済活性化につながるのが一番の理想ですね。職員の皆様も日々AIに関連する業務を行うために、さまざまな情報に触れてアップデートをされているのでしょうか。
大山 高裕さんITツールなどの展示会等に参加したり、各地で開催されるセミナーを聴講したりするなど、最新の技術動向等に対して常にアンテナを高くして情報収集するように心がけています。

実務で「役立つ」を追求。AIを頼れるパートナーへ
「AIを知っている」状態から「実務で使いこなせる」状態を目指して、単なるツールの操作説明に留まらず、即効性のある活用術が伝授されています。IT未経験者が最初の一歩を踏み出し、AIを心強いパートナーへと昇華させるための実践的なアプローチに迫ります。
顧客対応のメール返信草案も。定型業務を効率化
——研修では、具体的にどのようなツールの便利な使い方を教えていらっしゃるのでしょうか。
大山 高裕さん例えば、顧客へのメール返信で、送付されたメールの内容によってどのような文章を作成して返信するかという実践があります。クレームのメールをいただいた際には、「どうすればこちらの誠意が伝わり、かつ自分たちの伝えたいことも的確に伝えられるか」といった内容を、Copilotなどの生成AIと壁打ちしながら作成する例を紹介しています。また、文書作成においても、「このようなプロンプト(指示文)を入力すると、すぐに適切な文章が作成できますよ」といったことも紹介しています。
——実際に研修を受講される方の年代層について伺えますでしょうか。
大山 高裕さん社長から指名されて受講する若手社員の方もいれば、社長自身が受講されるケースもあります。年代が上の方になると、経営者層が多いという印象です。
——率先して「我が社にもAIを導入したい」とお考えなのですね。
大山 高裕さんAIに強い関心を持ち、自らご参加いただく経営者の方が多いですね。
——若い方ですと、デジタルネイティブ世代ということもあり、IT技術に明るい方が多いのではないでしょうか。
大山 高裕さん若い方は、ITツールの扱いに慣れるのも理解するのも早い傾向にあります。また、「その技術を社内でどのように活用していくか」「業務の効率化をどう推進していくか」といった研修について、「大変勉強になる」というお声をいただきます。
ツールの操作だけでなく、それを実際の業務と結びつけ、自社との親和性を高めていくところまで、学びを深めていただいている方もいます。
——「AIを使えること」と「業務で活用できること」は、また別の問題なのですね。
大山 高裕さんおっしゃる通りです。そのため研修では、自社の課題を見つけ、その課題に対してAIを使えばどのように業務効率化につながるのかを考えて、導入に至るまでの一連のプロセスを学んでいただきます。
IT未経験者が最初の一歩を踏み出すための「ChatGPT」入門
——先ほどCopilotの名前が挙がりましたが、テキスト生成AIとしては、やはりCopilotやChatGPTをおすすめされることが多いのでしょうか。
大山 高裕さんまず、「生成AIとは何か」「これから生成AIを使ってみたい」という段階の方が多くいらっしゃいます。そのため、現在世の中に出ているさまざまなツールを一度にご紹介すると、かえって混乱を招いてしまう可能性があります。
ですので、すでに広く普及していて耳馴染みがあり、無料版も使える「ChatGPT」などを中心にご紹介し、まずは生成AIというものに慣れていただくところから行っております。
——私はライターという職業柄、日常的にさまざまなツールを使っていますが、立場や状況が変わるとAIに対する見方や親しみ方も随分と違うのですね。民間のスクールなどの利用者層とは、どのような違いがあるのでしょうか?
大山 高裕さん私たちがメインのターゲットとしているのは、「まず何から始めればいいだろうか」と悩まれている方々です。企業の抱える課題は千差万別で共通化するのは難しいですが、「生成AIの入口となる情報を知ってもらう」「最新の動向を掴んでもらう」といった基礎的な部分は共通化しやすい領域です。
一方、民間企業では、特定のソフトウェアやアプリケーションを専門的に学ぶような講座が豊富に提供されています。基礎的な部分の研修は私たちのセンターで支援させていただき、実際に「特定の業務でこのソフトウェアを使いたい」という具体的な段階になれば、民間の専門的なスクールを活用していただくというようなことをイメージしていただくと、私たちがターゲットとする利用者層が分かりやすいかと思います。
——実際に受講された方からは、どのような声がありますか?
大山 高裕さん受講者アンケートでは、「受講してなぜDXが必要か理解できた」といった声のほか、「教えてもらった内容なら実行できそう」、「まだ不安はあるけれど、個別相談を活用してDXに取り組んでみたい」といった声をいただきます。難しい言葉ではなく、現場の言葉、作業をイメージして内容を整理でき、「自分たちでも取り組めるのではないか」という自信が芽生えたからではないかと思っています。
「学んで終わり」にしない。現場実装を見据えた伴走体制
DXの大きな壁となるのが、理想を掲げる経営層と多忙を極める現場の「温度差」です。このギャップを埋めるために、センターでは研修後の個別相談や企業訪問、さらには補助金活用まで、公的機関ならではの支援を行っています。
補助金申請から個別相談まで。ワンストップで実務をサポート
——学んだ後の具体的なステップとして、どのようなサポート体制を整えていらっしゃいますか?
大山 高裕さん研修受講後も、無料で受けられる個別相談のほか、ソリューションの導入や国などが設けている補助金活用をサポートする支援などを行っており、「学んで終わり」ではなく、学習から導入までの支援を一体的に提供しています。
——最先端のAI技術にはさまざまな理論があるかと思いますが、そうした理論と県内企業が直面している現場の課題を直接結びつけるのは、難しい側面もあるのではないでしょうか。この2つをどのようにして一つのカリキュラムとして融合させていらっしゃるのかお伺いしたいです。
大山 高裕さん抱えている課題は個社によってそれぞれ異なりますので、研修だけでそれらを網羅するカリキュラムを提供するのはなかなか難しいと考えています。
そのため当センターでは、研修だけでなく、個別相談にも力を入れています。状況をお伺いする中で、「そのような課題であれば、こちらの手法が良いかもしれません」と、個社の課題に応じた解決手法を提案させていただいております。
また、センターの展示を通じて具体的なイメージを掴んでいただいたり、企業を実際に訪問して、実際の現場を見た上で「このようなアプローチはいかがでしょうか」と提案したりすることもあります。
このように、座学で学んでいただく内容に加えて、私たちが持っているさまざまな支援メニューを活用し、新しい技術と現場の課題を結び付ける工夫をしております。
——そもそもAIとは何かを認知し、知識を蓄えた上で、実際に使えるようになり、現場レベルに知識を落とし込む。その一連の流れが、受講された方の中でしっかりと腹落ちすることが重要なのですね。
「経営層の理想」と「現場の多忙」のズレを解消する、第三者視点の調整術
——業界によって、課題の傾向が異なるという実感はありますか。
大山 高裕さん業界よりも、会社の規模による違いが大きいと感じています。小規模な企業の場合、社長の一声で方針が決まりやすいケースが多く見られますが、中堅以上の中小企業では、社長と現場の距離が少し離れているため、意思の疎通や現場の意見の吸上げが難しくなり、結果としてトップダウンの指示が現場に浸透せず、DXが思うように進まないという状況が見受けられたりします。
——企業ごとに様々な課題があるかと思いますが、実例を一つご紹介いただけますか。
大山 高裕さんある企業のケースですが、社長が研修に参加してDXの必要性を感じ、自ら取組を始めようとされました。しかし、現場は目の前の業務に追われて時間が取れず、何から始めてよいか分からない状態でした。
そこで、AIセンターにおいて、社長と現場の双方からヒアリングを行いました。経営者側と現場側の思いや悩みを聞き取り、第三者の目線から「まずはここからDXを始めましょう」と提案させていただきました。
社長の「とにかくDXをやりたい」という思いと、現場の「なかなか時間がない」という思いの間でどのように折り合いをつけ、何から始めるべきかを伴走して支援させていただいた一例です。
——世代や個人の考え方の違いもありますから、社内の認識を合わせるのはなかなか難しいですよね。
大山 高裕さんAIセンターは、コンサルティング会社ではありませんが、同じような立ち位置で、丁寧にお話を伺いながら支援しました。

苦手意識を自信に変える。データで「経験や勘」を上書きする成功体験
「ITは難しい」という先入観を払拭するのは、他社の成功事例を「自分事」として捉える小さな気付きです。長年の「経験や勘」に頼った経営から、データに基づいた客観的な意思決定へと舵を切ることで、百貨店の新しい企画の誕生や製造現場の劇的な変化を生み出した、驚きの成功体験をご紹介します。
「他社の成功」を「自分事化」へ。ハードルを下げて意欲を引き出す
——ITに対して苦手意識を持っている企業や担当者も多いのではないかと思います。そういった方々が「自社でもAIを使って業務を効率化できる」と思えるように、学習のハードルを下げるための工夫や配慮は何かされていますか。
大山 高裕さん「自分事」として捉えていただけるような見せ方や工夫が重要だと考えています。
例えば、実際の体験を通じて「これなら私たちにも簡単に使えそう」「あの業務に活用できそう」と実感していただけるような場を提供するなどの工夫を行っております。また、同規模や同業界の他社がどのような取組をしているか、事例を紹介したりもしています。
——プログラムを終えた受講生が現場の組織に戻った際、どのような変化や成果があったのか、具体的なエピソードがあれば教えていただけますか。
大山 高裕さん製造現場の改善についてのエピソードがあります。研修などを通じて自社の現状課題や現場の「ムラやムダ」の洗出しに取り組んだ受講生が、会社に戻ってから計測データの可視化や、現場の業務改善に取り組み始めました。最初は小さな取組であっても、学んだことを現場で生かして自発的な活動につながっていったことや、「経験や勘」に基づく行動が、「データ」に基づく行動へと変わりつつあることは、非常に大きな成果ではないかと考えています。
——現場の方々が自ら改善のサイクルを回し始めたというのは、組織としての大きな一歩ですね。
AIカメラによる顧客分析が生んだ、うどん店のヒットメニュー
——自社での運用をイメージしやすい、具体的な導入事例についてお伺いできますか?
大山 高裕さんAIカメラを使って来場者の属性を分析し、マーケティングに生かしている事例を御紹介します。商業施設の来場者の属性をデータで把握し、イベント企画やカフェのメニュー考案などに役立てています。
——データに基づいた客観的な分析が、具体的な施策の改善に直結しているのですね。ほかの活用例もあるのでしょうか?
大山 高裕さん同じような使い方として、うどん店にAIカメラを導入した事例もあります。経営者は「年配のお客様しか来ていない」と感じていたのですが、データを見ると実は若い女性客も多く来店していることが分かりました。そこで若い女性向けのメニューを開発したところ、集客につながったというケースです。このように、AIカメラを活用した属性分析などは、かなり広がりを見せていると実感しています。
——導入した店舗にとっても、意外な発見があったのですね。
大山 高裕さん先ほどお話したように、まさに「経験や勘ではなくデータで」という点が、成功の鍵になった事例だと考えております。
地域のハブとして。宇都宮から県内全域へ広がる革新の輪
デジタル変革の波は、AIセンターがある宇都宮市内だけではなく、県内全域へと広がり始めています。地域の商工会議所や商工会との強力な連携を通じて、地理的なハードルを越えて挑戦を後押しする「出張AIセンター」などの地域密着型のサポートネットワークの広がりを紐解きます。
商工会議所や商工会の連携。アクセス難を克服する移動式拠点「出張AIセンター」
——センターで受講された方が、学んだことをきっかけに県内の企業同士で協業したり、自治体や支援機関との間で相乗効果が生まれたりといった連携や成果の事例はありますか。
大山 高裕さん経済団体や自治体との連携事例はあります。現在、センターで展示しているデジタル機器等について、地域で開催する部会やセミナーに併せて御紹介する「出張AIセンター」という取組です。
当センターは、宇都宮市にありますが、県南や県北地域など、なかなか宇都宮市に来る時間が取れなかったり、交通が不便な地域に立地していたりという企業の皆様もいますので、地域の商工会議所や商工会などと連携して、会員が集まる場などを活用して、デジタル化に関する情報提供や、実機の体験などを行っています。
——その「出張AIセンター」は、県内でも注目を集め、盛り上がっているのでしょうか。
大山 高裕さん徐々にいろいろな団体からお声掛けをいただくようになってきています。栃木県には、9つの商工会議所と33の商工会が存在します。セミナーを主催した団体がエンドユーザーである中小企業の皆様などにAIセンターを紹介してくださり、そこから新たな困りごとの相談につながるといった連携も生まれております。
——地理的にアクセスが難しい方でも、「出張AIセンター」を通じてさまざまな最新情報に触れられるのは素晴らしい取り組みですね。
大山 高裕さん私たちとしても、そうした地域の皆様と直接接点を持てることは非常にありがたく、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えております。
——さまざまな接点が広がることで、AIを活用した課題解決の輪が県内に広がっていきそうですね。
完璧を目指さない。小さなPDCAが従業員の時間を創出する
——これからDXの扉を叩こうとしている、あるいはDXを推進したいと考えている企業の方に向けて、メッセージをお願いします。
大山 高裕さんDXは、システムを導入して終わりではなく、社内にしっかりと定着させることが重要だと考えています。途中で諦めず、当センターのような公的機関を活用していただきながら、継続的に進めていただけると幸いです。
まだご利用になったことがない皆様におかれては、「何から取り組んでいいかわからない」という場合であっても、デジタル化に興味があり「何かを変えたい」「新しくチャレンジしたい」という思いをお持ちであれば、「ここから始めてみてはいかがですか」という助言をさせていただけると思います。ぜひ、お気軽に当センターをご利用いただければと思います。
——まずは課題の洗い出しを入り口として、気軽にセンターを活用してほしいということですね。
大山 高裕さん小さく始めて、結果を検証し、次の一手をどうするかを考え、さらなる一歩を踏み出すという小さなPDCAサイクルを繰り返していくことで、徐々にDXが進み、会社の業務改善、従業員の仕事とプライベートの充実などにもつながっていくのではないかと考えています。

変化を味方にするマインドが、地域経済の活力を支える
DXの第一歩は、決して高いハードルではありません。とちぎビジネスAIセンターが提唱するのは、「小さく始めてPDCAを回す」こと、そして「完璧を目指さず、まずは試してみる」というマインドセットです。公的な支援機関を賢く活用することで、コストを抑えながら最新技術を自社の武器に昇華させることができるでしょう。DX人材とは、ツールの操作に長けた人ではなく、データを通じて自社の課題を見つけ、解決の一歩を踏み出せる人を指します。変化を恐れず学び続けることが、あなたのキャリアを拓く鍵となります。
