中小企業診断士は中小企業の経営層からの依頼に応じ、企業の経営内容を診断・改善を提案する職業です。2回の試験に分かれていて、一次試験は36.4%、二次試験は18.3%と難易度の高い試験です。
そこで、今回は以下のような内容について調査を実施しました。
今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)
中小企業診断士試験は、毎年8月から実施されます。
最低でも1年以上の勉強期間が必要なので、今から(2024年12月)学習を始める方は早めに難易度を確認し対策を始めましょう。
中小企業診断士の合格率から見る難易度
中小企業診断士の試験は一次試験と二次試験があります。中小企業診断士として登録されるには、次の二つの方法から選べます。
ひとつは二次試験に合格した後に15日以上の実務補習や従事に参加すること。そしてもうひとつは、一次試験合格後に、中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了することです。
ここでは、一次試験と二次試験それぞれの合格率を紹介します。
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
平成24年度 | 14,981 | 3,519 | 23.5 |
平成25年度 | 14,252 | 3,094 | 21.7 |
平成26年度 | 13,805 | 3,207 | 23.2 |
平成27年度 | 13,186 | 3,426 | 26.0 |
平成28年度 | 13,605 | 2,404 | 17.7 |
平成29年度 | 14,343 | 3,106 | 21.7 |
平成30年度 | 13,773 | 3,236 | 23.5 |
令和元年度 | 14,691 | 4,444 | 30.2 |
令和2年度 | 11,785 | 5,005 | 42.5 |
令和3年度 | 16,057 | 5,839 | 36.4 |
令和4年度 | 24,778 | 5.019 | 28.9 |
令和5年度 | 25,986 | 5,521 | 29.6 |
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
平成24年度 | 4,878 | 1,220 | 25.0 |
平成25年度 | 4,907 | 910 | 18.5 |
平成26年度 | 4,885 | 1,185 | 24.3 |
平成27年度 | 4,941 | 1,185 | 24.3 |
平成28年度 | 4,394 | 842 | 19.2 |
平成29年度 | 4,279 | 828 | 19.4 |
平成30年度 | 4,812 | 905 | 18.8 |
令和元年度 | 5,954 | 1,088 | 18.3 |
令和2年度 | 6,388 | 1,174 | 18.4 |
令和3年度 | 8,757 | 1,600 | 18.3 |
令和4年度 | 9,110 | 1,625 | 18.7 |
令和5年度 | 8,601 | 1,555 | 18.9 |
一次試験の方が二次試験よりも約2倍ほど合格率が高いです。二次試験は論述問題となり、筆記だけでなく口頭試験もあるため難易度が一次試験より高くなる理由が分かります。
中小企業診断士の勉強時間から見る難易度
一次試験と二次試験ともに出題されるのは以下の科目です。
科目 |
---|
経済学・経済政策 |
財務・会計 |
企業経営理論 |
運営管理(オペレーション・マネジメント) |
経営法務 |
経営情報システム |
中小企業経営・中小企業政策 |
経営から政策といった幅広い分野に関する知識を習得する必要があるため、勉強時間は1000時間以上確保しておくことをおすすめします。
最低でも1000時間となると、1年かけて勉強するにしても1日3時間程度は勉強時間を確保しなければいけません。しかし、中小企業診断士の資格には合格有効期間という免除制度があります。
これは一次試験の科目ごとに合格期間が3年間与えられる制度です。つまり、3年以内で一次試験の7科目すべてに合格できれば一次試験合格ということになります。更に一次試験の合格も2年間は有効なので、これらの合格有効期間を活用して1~2年かけて試験対策に取り組むという方法もおすすめです。
中小企業診断士の受験回数から見る難易度
公的に発表されている受験回数はありませんが、合格有効期間という制度があることを考慮すると、1回~3回程度の受験回数が多いと推察できます。また、合格有効期間にすべての試験に合格できるとも限りません。
たとえば3年かけて7科目すべて合格したとして、一次試験合格後に二次試験を2年かけて合格したとします。
すると中小企業診断士になるまでに合計5年かかっていることが分かります。このように、挑むには時間も回数も必要になる難易度の高い資格であると理解しておきましょう。
中小企業診断士の学歴から見る難易度
中小企業診断士の受験資格はないため、年齢や学歴に関係なく受験できます。また、受験時に最終学歴を確認されないため、中小企業診断士になるために学歴から判断できる難易度は分かりません。
しかし、ある程度経営に関する知識があると試験対策に臨みやすいです。そうなると経営学部など経営に関する専攻を修了した高卒や大卒の方であれば、難易度は少し下がるかもしれません。
ほかの資格と比較した場合の難易度はどれくらい?
資格名 | 合格率 |
---|---|
中小企業診断士試験 | 18.3% |
ファイナンシャルプランナー1級 | 6.67% |
宅建士(宅地建物取引士)試験 | 15.6% |
中小企業診断士試験の難易度を、ほかの試験と比較してみました。ファイナンシャルプランナーは下記の中小企業診断士が回答した、ほかに保有している資格で最も多かった資格です。
その中でも最難関の1級と比較してみたところ、1級よりは難易度が高くないことが分かりました。
ほかの保有資格 | 構成比(%) |
---|---|
なし | 27.8 |
弁護士 | 0.5 |
公認会計士(補) | 0.5 |
税理士 | 3.1 |
司法書士 | 0.1 |
行政書士 | 7.4 |
不動産鑑定士(補) | 0.4 |
社会保険労務士 | 7.7 |
技術士(補) | 4.1 |
情報処理技術者 | 17.6 |
ITコーディネータ | 7.7 |
販売士 | 10.0 |
ファイナンシャルプランナー | 21.7 |
弁理士 | 0.3 |
MBA | 9.7 |
その他 | 23.6 |
一方で不動産関係で有利な宅地建物取引士の試験は15.6%と難易度が近い資格です。これらと比較してみても、中程度の難易度で挑める資格であることが分かります。
社会人と大学生では合格の難易度が異なる?
勤務先区分別人数 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
経営コンサルタント自営業 | 116 | 14 | 12.1 |
税理士・公認会計士など自営業 | 312 | 56 | 17.9 |
上記以外自営業 | 184 | 30 | 16.3 |
経営コンサルタント事業所など勤務 | 258 | 55 | 21.3 |
民間企業勤務 | 5,790 | 1,016 | 17.5 |
政府系金融機関勤務 | 167 | 33 | 19.8 |
政府系以外の金融機関勤務 | 873 | 162 | 18.6 |
中小企業支援機関 | 142 | 27 | 19.0 |
独立行政法人・公益法人など勤務 | 124 | 20 | 16.1 |
公務員 | 371 | 72 | 19.4 |
研究・教育 | 41 | 10 | 24.4 |
学生 | 169 | 36 | 21.3 |
その他(無職含む) | 643 | 69 | 10.7 |
これは中小企業診断士の資格を持つ人の勤務先区分別合格者数です。
上記データを分析してみると、中小企業診断士においては、学生の方が有利である可能性も高いと言えるでしょう。
理由としては、以下の3つだと分析できます。
- 社会人の平均合格率は17.8%と学生の21.3%より合格率が低い
- 社会人に比べ学生の方が試験に取り組む時間の猶予がある
- とくに経済系の学部を専攻する学生であれば勉強時間と学業を両立しやすい
学生が21.3%と細かな勤務先区分別合格者数の中でも上位を占めていることも興味深いですが、学生以外の区分での合格率を平均してみても学生より3%程度合格率が低いという結果になりました。
合格率からすでに学生の方が有利であることが分かりますが、その背景を推察してみると、学生の方が社会人に比べ自由時間が多く勉強時間を確保しやすいのではないでしょうか。
また、専攻が中小企業診断士の試験勉強に役立つものであれば、両立しながら効率よく勉強できる機会もあります。
中小企業診断士試験の合格基準からみる難易度
中小企業診断士試験は、第1次試験と第2次試験に合格基準が設けられています。
試験に合格するには、基準をクリアしなければいけないので、必ず確認し試験を受けましょう。
合格基準は、以下の通りです。
試験内容 | 合格基準 |
---|---|
第1次試験 | 総得点60%以上 ・全ての科目が40点以上 |
第2次試験 | 筆記試験 ・総得点が60%以上 ・全ての科目が40点以上 口述試験 ・評定60%以上 |
第1次試験は、科目免除がない場合、受ける科目は7科目です。
各科目は100点満点なので、7科目受けるとすると全部で420点以上取らなければいけません。
さらに、全て40点以上を目指さなければいけないので、満遍なく学習をする必要があります。
苦手科目を作らず学習を進めなければいけないので、試験対策も工夫が必要でしょう。
第2次試験でも、総得点の60%以上を獲得し、全て40点以上が合格基準です。
筆記試験では、マークシートとは異なる出題方法なので、事例を分析し正確に言葉で書けるよう練習します。
過去問を何度も解き、実践的に回答できる実力をつけて試験に臨んでください。
中小企業診断士試験の日程
最後に、中小企業診断士試験の日程を紹介します。
難易度が高い試験なので、スケジュールを立てて効率よく学習を進めましょう。
日程 | |
---|---|
申込期限 | 【1次】5月上旬〜下旬 【2次】8月下旬〜9月中旬 |
試験日 | 【1次】8月上旬の2日間 【2次】(筆記)10月下旬、(口述)12月中旬 |
毎年8月から実施されるので、2025年度の試験を受験する方は、申し込み期間に注意してください。
学習期間は1年以上必要なので、今から学習をスタートする方は、2026年度以降の試験を受験するのがおすすめです。
【分析結果】中小企業診断士のまとめ
当ページでは、中小企業診断士の合格難易度について、調査した結果をまとめました。
冒頭でもまとめた内容ですが、復習としてもう一度ざっくり記載しておきました。
【当ページをざっくりまとめると…】
・中小企業診断士は一次試験と二次試験がある
・一次試験と比べ二次試験では論述問題が出題されるため難易度があがる
・科目数が多くどれも専門性が高いため大幅な勉強時間の確保が重要
・学生の方が時間も確保しやすいことから合格率が高い結果に
まずは資料請求をして、中小企業診断士の講座について、料金や内容を確認してみることもおすすめです。
ちなみに「BrushUP学び(https://www.brush-up.jp)」というサイトであれば、資料を一括請求することもできるので、覚えておきましょう。