【2024年最新】中小企業診断士は独学で合格できる?効果的な勉強法まとめ

中小企業診断士は中小企業の経営層からの依頼に応じ、企業の経営内容を診断・改善を提案する職業です。2回の試験に分かれていて、2023年度の一次試験は29.6%、二次試験は18.9%と合格率の低い試験です。

この数値は独学に限らず、通信講座で学んだ受験者も含まれているため、独学のみで考えると合格率は”29.6%”、”18.9%”以下になることが想定できます。

そこで、そんな中小企業診断士の独学での合格を目指すにあたって、必要な情報を調査してまとめました。

【当ページの内容をざっくりまとめると…】
・中小企業診断士は選択式の一次試験と論述式の二次試験が存在する
・一次試験は29.6%、二次試験は18.9%の合格率で難易度がそれぞれ異なる
・中小企業診断士になるためには、二次試験まで合格する・一次試験合格後講座を受けるという2つの方法がある
・二次試験では論述問題の対策が必要なため問題集を選ぶ際は注意が必要

今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)

目次

【結論】中小企業診断士に独学で合格することは可能か?

“独学”で中小企業診断士の合格を目指すうえで「勉強はどのくらい必要なのか?難しいのか?」など、多くの方が不安に感じる要素はいくつか存在します。

しかし、まずは勉強量を度外視して「そもそも中小企業診断士は、大学や講座に通わなくても合格する可能性は1%でもあるのか…?」について、調査結果をまとめました。

いくら独学で勉強しても「受験資格」などが必要だった場合は、学校や講座に通う必要が出てくるものです。

ここでは大きく以下2つの観点から、調査結果をまとめています。

  • 「合格率から分析する試験の難易度」の観点
  • 「受験資格」の観点

①合格率から導く!中小企業診断士の一般的な難易度レベル

冒頭でも紹介したように、中小企業診断士の試験は一次試験と二次試験があります。一次試験に合格した人のみが二次試験を受験できます。

中小企業診断士として登録されるには、二次試験も合格した後に15日以上の実務補習や従事に参加する必要があります。二次試験を受けなくても一次試験が合格していれば、中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了すれば中小企業診断士になれます。

ここでは、一次試験と二次試験それぞれの合格率を紹介します。

一次試験

年度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
平成26年度13,8053,20723.2
平成27年度13,1863,42626.0
平成28年度13,6052,40417.7
平成29年度14,3433,10621.7
平成30年度13,7733,23623.5
令和元年度14,6914,44430.2
令和2年度11,7855,00542.5
令和3年度16,0575,83936.4
令和4年度17,3455,01928.9
令和5年度18,6215,52128.6
出典:中小企業診断協会

二次試験

年度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
平成26年度4,8851,18524.3
平成27年度4,9411,18524.3
平成28年度4,39484219.2
平成29年度4,27982819.4
平成30年度4,81290518.8
令和元年度5,9541,08818.3
令和2年度6,3881,17418.4
令和3年度8,7571,60018.3
令和4年度8,7121,62518.7
令和5年度8,2411,55518.9
出典:中小企業診断協会

一次試験の方が二次試験よりも約2倍ほど合格率が高いです。一次試験に合格していなければ二次試験を受けられないため受験者数も大きく差がありますが、二次試験はもっと難易度が高くなるということを留意しておくべきです。

②クリアすべき受験資格は無いのか?

中小企業診断士の試験にはクリアすべき受験資格はありません。年齢や職業を問わず受験できます。

ただし、受験する際は新型コロナウイルスの感染に注意が必要です。現在新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、次に当てはまる人は受験ができません。

  • 新型コロナウイルス感染症に罹患し、退院または宿泊療養等の解除が認められていない
  • 保健所等から濃厚接触者に該当するとされ、自宅待機の解除が認められていない
  • 海外から入国し、検疫所が指定した施設または自宅等での待機の解除が認められていない
  • 試験当日、発熱(37.5度以上)や咳、体調不良があるなど新型コロナウイルス感染症の感染の疑いがある

【押さえるべき】合格の可能性を左右する3つの要素

独学で中小企業診断士の合格を目指すうえでは、一人で勉強するとなると、それなりの苦労も。

早速ですが、一番気になるであろう「独学で~~の勉強をする上で、重要になるであろう要素」について答えをまとめておきました。

【No.1】総点数による合格基準と科目ごとによる合格基準

中小企業診断士の試験には合格基準が2つ存在します。1つは総点数による合格基準、もう1つは科目ごとによる合格基準です。

総点数の場合、免除科目を除く全科目を受験し、総点数の60%以上かつ1科目も40%未満の点数がないことを基準として、委員会が相当であると認めた得点比率である必要があります。

科目での合格基準は満点のうち60%が基準となり、試験委員会が相当とする得点比率である必要があります。

試験科目は7科目あります。たとえば3科目は60%以上の得点でも4科目が30%であれば不合格となります。しかし60%以上得点できた3科目については合格有効期間が適用され、再受験時には試験が免除されます。また、再受験時は4科目を受けますが、4科目の総点数400点のうち60%以上、つまり240点以上かつすべて40%以上であれば合格基準を満たすことになります。

あくまでも合格基準であるため、何点以上取れば合格という明確なラインはありません。しかし目安として合格基準を知っておくことは重要です。

【No.2】3年以内に7科目すべて合格できれば1次試験合格

No.1の紹介でも触れましたが、一次試験には合格有効期間が存在します。各科目の合格有効期間は3年です。つまり、3年以内に7科目すべてを合格すれば一次試験合格ということになります。

まとまった勉強時間を取りづらいという場合は、科目を絞って3年間のうちに受験を繰り返すことで一次試験合格を目指すという手段も選べます。

【No.3】1次試験の合格有効期間は2年

1次試験に7科目すべて合格していると、その合格は2年間有効になります。2年以内に一度第二次試験を受けて不合格となっても、再度受験できます。

一発合格が不安な方や、二次試験に落ちたら再度一次試験から受けなければいけないと考えている人は安心してください。

ただし、試験は一次試験と二次試験ともに年に1回しか実施されません。2年有効といっても二次試験のチャンスは2回までなので、合格有効期間内に十分な対策をしておきましょう。

中小企業診断士の勉強を独学で進めるメリット・デメリット

独学で中小企業診断士に挑むことは、かなり苦労することはわかりますが、もちろん良いこともあります…!

もちろん「苦労する」などのデメリットがあることも事実ですので、その両面から〜試験名~の独学について分析しました。

【分析】独学がメリットの理由

メリット① 自宅や好きな場所で試験勉強ができる

独学のメリットは場所を選ばずに試験勉強ができることです。中小企業診断士の試験に臨む場合、独学または通信講座、資格取得センターなどで講義を受けるといった選択肢があります。その中でも独学と通信講座は好きな場所で試験勉強ができるというメリットがあります。

メリット② 受験のためのコストを抑えらえる

講義を受けたり通信講座を始める場合、サービス料など様々な費用が重なってコストがかかってしまいます。しかし独学であれば必要最低限のテキストや問題集を揃えるだけで十分です。テキストであれば数千円程度、問題集も数冊集めても1万や2万円程度で集められるので、ほかの試験対策に比べコストを抑えられることが分かります。

メリット③ 在学中や仕事のスキマ時間に試験勉強ができる

通信講座や資格取得センターの講義は、合格までに必要なスケジュールが設定されているというメリットがあります。一方でこれは試験勉強に取り組む時間が決められているという意味にもなります。通信講座でも対応期間が決められている場合があり、数ヶ月以上かけて勉強したい方にとっては利用しづらいでしょう。

独学での試験対策であれば、学校に通っている方や仕事中の方でもスキマ時間に勉強に取り組めます。フレキシブルに試験勉強に取り組めるという利点は独学の大きなメリットです。

【分析】独学のデメリットと対策法

デメリット① 学習計画を自分で立てる必要がある

中小企業診断士になるには一次試験に合格すること、そしてケースによっては二次試験に合格する必要があります。一次試験は毎年8月上旬に2日間、二次試験は毎年10月下旬と12月中旬に開催されます。

このスケジュールを理解したうえで勉強を進める必要がありますが、独学では学習計画を自分で立てなければいけません。とくに一次試験に合格してから二次試験までは期間も短いため、一発合格を狙う場合はより難易度の高い筆記試験や口述試験の対策を緻密な計画を立てて行う必要があります。

※対策法※

都合によっては試験勉強に取り組めない日も出てきます。そのため毎日試験対策をしなくても十分対策できるよう、試験日までの対策期間にはゆとりを持っておくことをおすすめします。また、合格有効期間を活用したスケジュールもパターンに分けて考えてみてください。

デメリット② 勉強のモチベーションが続かない

独学で試験対策に臨むということは、文字通り一人で取り組むことになります。中小企業診断士を目指す仲間が周りにいないと試験対策の悩みを相談する機会も少なく、闇雲に勉強しているだけではモチベーションが続きません。

※対策法※

試験勉強は時間がかかるため、ストレスをため込むことは推奨しません。家族や友人に悩みを相談することも考えながら勉強を続けてみてください。また、過去問題や予想問題を模擬試験形式にしてみることで、今の自分の理解度を客観的に知ることができモチベーションアップにつながるでしょう。

デメリット③ 第二次試験で問われる応用問題や口述試験の対策がしづらい

第二次試験では応用力が問われる筆記試験と、更に口述試験が実施されます。二次試験の合格を目指して中小企業診断士になる場合はこのハードルを越えなければいけません。しかし独学では論述問題の対策は非常にしづらいです。問われるのは中小企業の診断・助言に関する実務の事例・助言に関する能力についてです。未経験でこの試験に臨むとなると、自分の診断や助言が正しいのか判断できないでしょう。

※対策法※

対策は難しいですが、二次試験に関するアドバイスを行うYoutubeの動画や専門書をチェックしてみることをおすすめします。とくに面接での受け答えが分かりやすい動画はイメージがつかみやすいです。

独学で効率良く勉強する方法とは?

最後に、独学で効率良く合格を目指すために!押さえておくべき、3つのポイントをまとめておきました。

ポイント① 教材の選び方

  • 1次試験の過去問対策を重点的に行う
  • 2次試験は論述のため複数の問題集を活用すると尚OK
  • 再現答案が多く掲載されている問題集

教材はテキストと問題集の2つに分かれます。テキストの場合は、イラストや図表を使って視覚的にも伝わりやすい書籍を選ぶことをおすすめします。

ここで選ぶポイントとして重要なのは問題集です。身に着けた知識をアウトプットできる問題集をいかに活用できるかが合格の肝になります。1次試験では過去問を中心に応用力を上げてみてください。

二次試験は論述試験のため、実際に回答した人の例が分かる再現答案が多く掲載されている問題集を選ぶことをおすすめします。

ポイント② 合格するべき科目を絞ってみる

  • 科目の合格は3年間有効
  • 狙った科目だけに絞って合格を目指すこともひとつの手段
  • 7科目あるため絞りすぎにも注意

先ほど紹介したように、一次試験は科目ごとに合格期間が存在します。そのため一回目の受験では全科目の合格を目指さずに数科目に絞ってみることもひとつの手段として有効です。ただし、この有効期間は3年だけであることや、科目の絞りすぎにより計画通り一次試験の合格に進まない可能性があることはしっかり留意しておきましょう。

ポイント③ 自分に合わせた勉強スタイルを知る

  • コツコツ勉強を続けて時間をかけて合格したい
  • ひたすら過去問をくり返して応用力を身に着けたい
  • 自分が続けやすい勉強スタイルを知ってから試験対策に挑む

独学で受ける場合、学生または社会人といった個人の都合によってどれくらいの勉強時間を確保できるか・集中できる環境があるかなど、試験に影響するものが変わります。必ず受かる方法や効率よく一発合格できる方法というのは決まっていません。そのため、自分が無理なく進められる勉強スタイルはどんなものか考えてみてください。

無理せず続けられればモチベーションを落とさずに試験に臨むことができ、試験に一発合格しなくても高い意識をもって次の試験に臨むことができるでしょう。

【考察結果まとめ】中小企業診断士試験の独学は難しいのか?

今回は以下のポイントについて、それぞれ詳しく調査結果をまとめました。

【結論】そもそも独学で中小企業診断士にチャレンジすることは正しいのか?
・中小企業診断士は選択式の一次試験と論述式の二次試験が存在する
・2023年度の一次試験は29.6%、二次試験は18.9%の合格率で難易度がそれぞれ異なる
・中小企業診断士になるためには、二次試験まで合格する・一次試験合格後講座を受けるという2つの方法がある
・二次試験では論述問題の対策が必要なため問題集を選ぶ際は注意が必要

独学でのチャレンジはもちろん難しいですが、誰にでも可能性はあるので、ぜひ当サイトの情報も役立てながら、挑戦してみてください。

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