【2024年最新】行政書士試験は独学でも合格できる?勉強は何時間かかって何から始める?

行政書士の合格率は毎年約10%で、合格者が少ないのが特徴です。宅建や簿記1級並みに難しいため、難易度が高い資格といえます。

“10%”という数値は独学に限らず、通信講座で学んだ受験者も含まれているため、独学のみで考えると合格率は”5%”以下になることが想定できます。

合格率が低い試験に合格した人のほとんどは、予備校の利用者です。

たとえば公認会計士試験や予備試験は大手の予備校だけで合格者の8割以上を占めています。行政書士も合格者の最低でも過半数は、予備校利用者といえます。

そこで、そんな行政書士の独学での合格を目指すにあたって、必要な情報を調査してまとめました。

【当ページの内容をざっくりまとめると…】
・そもそも行政書士とは
・行政書士の難易度や合格率
・行政書士の試験概要
・行政書士に独学で合格するためのポイント
・独学で合格を目指すときの注意点

今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)

目次

そもそも行政書士とは?

一般財団法人行政書士試験研究センターによると、行政書士とは以下のように定義されています。

行政書士は、行政書士法第1条の2、第1条の3の規定に基づき、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業とするものです。

行政書士の具体的な業務は、官公庁に提出する書類や報告書、契約書の証明や作成業務です。

引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

行政書士の試験科目や配点は?

行政書士の試験科目は「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」にわけられます。

「行政書士の業務に関し必要な法令等」は244点満点で、「行政書士の業務に関連する一般知識等」は56点満点です。

「行政書士の業務に関し必要な法令等」では以下の科目が出題されます。(問題数は全部で60問)

  • 憲法
  • 行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法が中心)
  • 民法
  • 商法・会社法
  • 基礎法学

また「行政書士の業務に関連する一般知識等」は以下の通りです。(問題数は14問)

  • 政治
  • 経済
  • 社会
  • 情報通信
  • 個人情報保護
  • 文章理解

試験の合格基準は以下のように定義されています。

  • 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
  • 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
  • 試験全体の得点が、180点以上である者
引用:一般財団法人行政書士試験研究センター

【結論】行政書士に独学で合格することは可能か?

“独学”で行政書士の合格を目指すうえで「勉強はどのくらい必要なのか?難しいのか?」など、多くの方が不安に感じる要素はいくつか存在します。

しかし、まずは勉強量を度外視して「そもそも行政書士は、大学や講座に通わなくても合格する可能性は1%でもあるのか…?」について、調査結果をまとめました。

いくら独学で勉強しても「受験資格」などが必要だった場合は、学校や講座に通う必要が出てくるものです。

ここでは大きく以下2つの観点から、調査結果をまとめています。

  • 「合格率から分析する試験の難易度」の観点
  • 「受験資格」の観点

①合格率から導く!行政書士の一般的な難易度レベル

年度合格率合格者数(人)受験者数(人)
令和4年度12.13%47,8505,802
令和3年度11.18%47,8705,353
令和2年度10.70%41,6814,470
令和元年度11.50%39,8214,571
平成30年度12.70%39,1054,968
平成29年度15.70%40,4496,360
平成28年度9.95%41,0534,084
平成27年度13.12%44,3665,820
平成26年度8.27%48,8694,043
平成25年度10.10%55,4365,597
平成24年度9.19%59,9485,508
出典:一般財団法人行政書士試験研究センター

行政書士試験は毎年1回、11月の第2日曜日に開催されます。

一般的に試験の難易度は、法律系の中では簡単ですが、弁護士や司法書士に次ぐ難易度と考えられています。

試験の合格ラインは毎年決まっており、絶対評価制のため合格率の変化が大きいです。(予備試験は毎年3~4%と固定されている)

データから見る限り独学でも合格者はいますが、少数といえます。

②クリアすべき受験資格は無いのか?

受験資格はなく、年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験可能です。

独学で合格するために必要な勉強時間

独学で合格するには、最低でも1,000時間は必要です。とくに法律の知識がない方はそれ以上の時間がかかります。

法学部や法律関連の業務を経験された方は、半分の時間で済む方もいます。

【押さえるべき】合格の可能性を左右する3つの要素

独学で行政書士の合格を目指すうえでは、一人で勉強するとなると、それなりの苦労も。

さっそくですが、一番気になるであろう「独学で行政書士の勉強をする上で、重要になるであろう要素」について答えをまとめておきました。

【No.1】行政書士試験の特徴をよくつかむ

行政書士の試験は、科目数が多いため、業務の幅が広いといえます。行政書士のみが行える業務、役所や官公庁に提出もしくは報告する書類は10,000種類以上です。

試験の特徴を掴まずに我流で勉強をしてしまうと、学習効率が悪いままです。

法律の知識の暗記はもちろん、知識の運用能力や考え方を問われるため、教科書に頼らない学習をしなければなりません。

【No.2】暗記科目は最低でも複数回復習すること

行政書士試験でとくに重要な暗記科目は以下の通りです。

  • 行政法(行政不服審査法)
  • 行政法(地方自治法)
  • 基礎法学
  • 一般知識(個人情報保護)

行政不服審査法は行政手続法と対比しながらの暗記が有効な科目です。地方自治法は実際に出題される内容がかなり限定されているのが特徴です。

またほかにも行政法や商法の科目も応用部分がありますが、知識の暗記をしなければなりません。

【No.3】過去問を分析する

3つ目のポイントは、過去問を分析することです。

行政書士試験を最短で合格するためには、過去問の研究が必須です。過去の問題を分析して、よく出る問題や分野ををつかみ、対策すれば点数がすぐに改善されます。

とくに過去問の焼き増し問題や類似問題には必ず注意しましょう。理由は重要な問題や業務で必ず理解しておかなければならない内容が、頻繁に試験で出題されるからです。

行政書士の勉強を独学で進めるメリット・デメリット

独学で行政書士に挑むことは、かなり苦労することはわかりますが、もちろん良いこともあります…!

もちろん「苦労する」などのデメリットがあることも事実ですので、その両面から行政書士の独学について分析しました。

【分析】独学がメリットの理由

メリット① ストレスを感じない

独学の一番のメリットは、ストレスをあまり感じない点です。

誰かに強制的に勉強をさせられたり、追い込まれたりすると勉強へのやる気が下がってしまうからです。

「いつ宿題やるの?」
「成績あげないといい大学や学校に行けないよ」

そういわれた経験があると思います。言われると嫌な思いや苛立ちを感じて、逆に勉強を嫌になる人も多いのではないでしょうか。

独学では自分が勉強すると決めて学習をスタートするため、誰からもいわれず自分の気分に合わせて学習が可能です。

メリット② 自分の好きなテキストを選べる

2つ目のメリットは自分が使いたいもしくは自分に合うテキストを選べる点です。

みなさんは以下のことを考えたことはありませんか。

「このテキスト読みにくい」
「ほかのテキストのほうがわかりやすくて、内容も詳しく解説されている」

以上のような経験が過去にあると思います。

予備校では、向こうが指定した教材もしくは制作した教材を使わなければなりません。

独学者は本屋で自分に合う教材を吟味して購入ができるため、内容が頭に入りやすいです。

メリット③ 時間や場所を自分で決められる

独学では、自分の好きな場所で勉強ができるため、やる気のあるときに勉強がしやすいです。

予備校では、通学している方やオンライン講座を受講している方は、決められた時間に予備校や指定場所に行かなければなりません。

仕事や家事がある人には、時間に余裕がなく予備校に通うのは難しいです。独学ならスキマ時間に勉強が可能なため、仕事などと両立しやすいです。

図書館やカフェはもちろんファミレスで勉強が気軽にできるのも独学のメリット。

【分析】独学のデメリットと対策法

デメリット① 勉強の効率が悪くなる

予備校に比べて市販の教材は、勉強効率が悪いです。

理由としては、予備校は毎年試験の分析を行っているため最新の情報を盛り込んだ教材を作成できるからです。

市販の教材は数年前に発行されたものが多く、新しい範囲になっても対策が不十分な場合があります。予備校では、新しい範囲が発表されればすぐに対策と追加授業を開催できるのが強みです。

※対策法※

最新のテキストを使った人から、メルカリやヤフーオークションで購入するのがおすすめです。

インターネットでは、過去に行政書士試験に合格した人が使った教材を転売することがあります。1年前の教材を探して購入すれば、最新に近い情報を安く入手できるのがメリット。

注意点は古すぎる教材は、安くなりますが試験対策には向かないので購入しないように気をつけましょう。

デメリット② モチベーションの維持が難しい

独学者はモチベーションの維持が難しいです。

独学は誰からも嫌なことやプレッシャーを受けることはありませんが、刺激が少ないのも事実です。誰かに応援されたり、親や教師から今の状況を報告することでやる気や危機感につながるからです。

試験が近ければ友人や親から応援されたり、発破をかけてもらえたりするかもしれません。

※対策法※

SNSや自分の身近にいる人で行政書士の試験を受験する人を見つけましょう。

仲間を見つければ、お互いを励まし合い勉強に集中しやすくなります。SNSで毎日の積み上げを発信すれば、誰かが反応して仲間が増えるかもしれません。

デメリット③ 独学で合格した人が少ない

独学で行政書士に合格した人は少ないです。

大手予備校の合格者の人数を把握すると、6〜7割が大手の予備校で占めており、通信講座やほかの予備校を含めると更に多くなります。

独学で合格した人が少ないため、攻略法やおすすめの参考書を探すのが難しいです。ブログやSNSで発信していても、最新の情報でなければ試験範囲が違うため対策の役に立ちません。

※対策法※

独学で合格した人だけでなく、元予備校講師の方の解説動画や発信も確認しましょう。

予備校講師の解説は、独学者よりも詳しくわかりやすく解説ができるため、学習効率を大幅に向上できます。

また最新の試験対策にも精通しているため、過去問演習でも最新の試験対策のお手本になります。

独学で効率良く勉強する方法とは?

最後に、独学で効率良く合格を目指すために!押さえておくべき、3つのポイントをまとめておきました。

ポイント① 教材の選び方

  • 基礎基本の解説が詳しい
  • 過去問や試験に似た問題を解く
  • 過去の独学で合格した人がおすすめしている

参考書の内容が応用問題だけでは、試験の核となる内容が理解できません。

基礎基本が詳しく説明されているテキストを選ばなければなりません。ほかにも問題集の問題が過去の問題に類似しているか必ず確認しましょう。

問題集と過去問に難易度で差があれば、余分に時間をかけなければなりません。ほかにも過去に独学で合格した人がおすすめする参考書を選びましょう。

予備校講師が勧める本が必ずしも正しいとは限らず、講師が書いた本を販売するために勧めている可能性があるからです。

ポイント② 過去問を徹底的に分析する

  • 過去問の解説が詳しい
  • 頻出問題や今後出そうな問題をすべて正解できる
  • 問題の出題意図や考えがわかる

過去問演習は早めに取り組んで、徹底的に分析をしましょう。頻出問題や今後出そうな問題を予想できれば、合格しやすくなります。

とくに同じ問題や同じ分野が頻繁に出るときは、念入りに対策をしましょう。ほかにも余裕があれば、出題者の意図も理解すると試験の対策がしやすくなります。

出題者は行政書士の資格を与えることを考えておらず、取得後の活躍を考えて問題を出題します。

ポイント③ 体調管理に気をつける

勉強のテクニックではありませんが、体調管理に気をつけることも学習効率を改善する一つの方法です。

体調が悪くなれば、知識を記憶したり、物事を理解したいるするのに苦労するからです。具体的には、コロナウイルスに感染すれば、咳や風邪の症状が出てしまい集中できなくなります。

毎日体調管理をすれば、勉強の時間を十分に確保しやすくなるため、合格しやすくなります。試験の前日に体調不良になれば、試験に集中できず、不合格になるリスクも。

そのため体調管理に気をつけなければ、学習効率が落ちてしまいます。

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