資格取得はゴールではなく、新たな人生のスタートです。
しかし、行政書士試験をはじめとする難関資格の道は険しく、多くの受験生が「膨大な学習量」と「暗記の限界」という壁に直面します。
特に仕事や家事で忙しい現代人にとって、限られた時間でいかに効率よく、かつ確実に合格力を身につけるかは死活問題といえるでしょう。
本記事では、数多くの合格者を輩出し続ける「伊藤塾」の平林講師にインタビューを敢行。
試験対策だけに留まらない「合格後を見据えた理念」から、合格手前の「150点の壁」を突破する法的思考力の磨き方、そしてAI時代における実務家の役割まで、オンライン予備校の枠を超えた徹底的なサポートの裏側を深掘りします。
なぜ伊藤塾の受講生は、場所を選ばないオンライン学習でも高い成果を出せるのか。
その成功の秘訣と、学習を継続させるための具体的なライフスタイル改善術を解き明かしていきます。
合格は通過点に過ぎない。実務で通用する「本物の実力」を養う哲学
伊藤塾が最も大切にしているのは、試験合格をゴールとせず、その後の「合格後を考える」姿勢です。法律家として実務で通用する知見を養うことが、いかにしてより良い社会の実現につながるのか、独自の教育理念の核心に迫ります。
試験合格のさらに先へ。実務家として活躍し続けるための「法的知見」を授ける
——伊藤塾ならではの特徴について、お聞かせください。
伊藤塾の理念として、行政書士に限らず司法試験や司法書士など、他の士業試験にも共通する大きなコンセプトがあります。それは「合格後を考える」というものです。
元々は司法試験の指導から始まった塾ですが、当時は「とにかく試験に合格すること」を第一に考えるのが他社の一般的な方針でした。しかし、伊藤真塾長が当塾を立ち上げた際、「法律家として実務で使える、きちんとした法律の知識を学んだ上で試験に合格していこう」というコンセプトを掲げました。
この理念は創立から約30年経った今でも変わらず、行政書士の講座でもしっかりと受け継がれています。単に試験に合格するための知識を詰め込むのではなく、合格して実務家になった後も「使える」知識まで含めて勉強していくという方針です。
——「合格」はゴールではなく、あくまで実務家としてのスタートラインだという考え方ですね。そうした理念は、具体的な講座やサポート体制にも反映されているのでしょうか。
試験対策にとどまらず、試験合格後の実務に向けた講座の提供や、実務家ネットワークを広げる同窓会の開催などを通じて、この理念を実践しています。そこが他社との最も大きな違いかと思います。
——伊藤塾が徹底して「質の高い実務家の育成」にこだわる背景には、どのような思いや使命感があるのでしょうか。
塾長をはじめ社内でもよく共有しているのですが、「世界の幸せの総量を増やす」ことが我々の使命だと考えています。そうした人材育成を通じて社会に貢献していこうという思いが、「合格後を考える」という理念に繋がっているのだと思います。
教育を通じて社会の安心を最大化する。伊藤塾が掲げる「質の高い人材輩出」の使命
——専門家を育成し続けることで、地域社会や人々の暮らしにどのような変化が起きてほしいとお考えですか?
伊藤塾全体の話でお答えします。伊藤塾は弁護士を育成する司法試験の指導から始まっているため、そちらは予防法務というよりは、紛争が起きた後の対応が中心になります。それに対して行政書士は、紛争に発展する前の「予防法務」の専門家です。しかし、「これまでに行政書士を利用したことがありますか?」と聞かれても、利用したことがない人の方が多いと思います。
——確かにおっしゃる通りですね。私自身も「どのような場面で相談すればよいか」と聞かれると、すぐには思い浮かびません。
弁護士であればどのような時に利用するのか想像がつくと思いますが、行政書士に何を相談しに行けばいいのかは、なかなか身近ではないかもしれません。そこを予防法務の専門家として、街の身近な存在としてぜひ活用していただきたいと考えています。
——「予防」として気軽に相談できる専門家が身近にいると、私たちの暮らしもより安心なものになりそうですね。
紛争なく生活できるに越したことはありません。法律の知識をきちんと持っている行政書士にさまざまなことを相談できれば、紛争になる前に解決できることもあります。伊藤塾が、法律を正確に理解した行政書士を世の中に送り出すことで、社会全体がより良い方向へ進んでほしい、という考えを理念として持っています。
暗記頼みの学習が招く「150点の壁」。行政書士試験の挫折を防ぐ「考える力」の必要性
——ここからは受験学習について本格的に伺っていきたいと思います。行政書士試験は科目数が多いため、特に初めて学習する方にとっては課題や挫折しやすいポイントがあると思います。具体的な内容についてお聞かせください。
共通する課題と挫折しやすいポイントですね。単純に学習範囲が広いということも当然ありますが、一番大きな要因は「暗記だけで対処ができない」ということだと思います。
——法律の勉強というと、どうしても条文や専門用語をひたすら暗記するイメージを持ちがちですが、それだけでは通用しないということですね。
最近よくお話しするのですが、行政書士試験の試験問題は非常によく作られています。内容を深く理解していなくても、過去問に出ている条文や判例をとりあえず暗記する方針で勉強したとします。とにかく覚えるという方向性で勉強しても、合格点の180点に対して、140点から150点くらいまでは取れてしまうのです。独学で勉強されている方は、「あと30点から40点くらいだから、覚える範囲を広げれば合格できるのではないか」と考えがちです。しかし、知識面を広げても、やはり150点くらいで止まってしまいます。残りの30点から40点を積み上げるためには、別の力が必要になります。
——暗記量を増やすだけでは超えられない壁があるのですね。その残りの点数を積み上げるために必要な「別の力」とは、一体どのようなものなのでしょうか?
それは、「考えて答えを出す力」です。最近よく強調しているのが、「法的三段論法」や「制度の趣旨から考える」といった部分です。合格後、実際に実務に就く上でもそうした考え方は非常に重要になります。この基礎がある程度できていないと、点数が伸びず、合格点に達することができません。したがって、共通する課題は「暗記だけでは対処できず、知らないことに対しても自ら考えて答えを導き出す力を身につけなければならない」という点です。
そして、この「考える力」を独学で身につけるのは非常に困難であり、それが挫折の大きな原因となっています。ここを勘違いせず、基礎からしっかりと学ぼうとしないと、「勉強したけれど点数が伸びない」「よく分からないまま終わってしまった」という結果に陥る方が多いですね。

効率を極める、独自の学習方針。最短ルートで法的思考を身につける技術
多くの受験生が突き当たる「150点の壁」を突破するには、暗記頼みの学習から脱却し、未知の問題にも対応できる「考える力」が必要です。初学者が最短距離で本質的な力を掴むための秘訣を解き明かします。
「森を見てから木を見る」段階別学習。初学者が迷わず全体像を把握できる体系化の重要性
——本試験突破に向けた実力を身につけるための、伊藤塾の学習方針についてお聞かせいただけますでしょうか。
伊藤塾の指導方針は、塾長が提唱してきた「伊藤塾メソッド」にあります。その強みは法的思考力を養い、体系をしっかりと押さえる点です。このメソッドがなぜ優れているかというと、記述式の対策としてだけでなく、択一式の問題にも非常に有効だからです。
——記述式の対策が、結果的に択一式の問題にも生きてくるのですね。それは具体的にどのような理由からなのでしょうか?
行政書士試験は、過去問と同じ知識を問う場合でも、全く同じ文章で出題されることはありません。そのため、受験生からすると「見たことはある知識なのに、本番ではなぜか解けない」という事態に陥りがちです。しかし、実は問われている本質的な内容は同じなのです。「過去問を繰り返し勉強すればよい」とよく言われますが、それだけだと合格が難しくなっているのが、近年の行政書士試験の現状だと考えています。
——過去問の暗記だけでは通用しないとなると、受験生にとっては大きな壁になりますね。では、形を変えて出題されても「本質的な内容」を見抜き、問題に対応できるようになるためには、何が必要なのでしょうか。
法律の体系や法的思考といった「考え方」をしっかりと身につけていれば、初見の文章であっても確実に解けるようになります。正直なところ、この「考える力」を独学だけで身につけるのは非常に困難です。だからこそ、当塾の講義では、その考え方を習得するためのノウハウをお伝えしています。
——自ら考えて記述する問題は、解けるようになるまで時間がかかるのではないかと思います。伊藤塾ではどのような指導体制や工夫をされているのか、お伺いしてもよろしいでしょうか。
初学者の方でも、1回の受験で合格される方は最近かなり増えてきています。特に初学者の方に向けて意識して指導しているのは、段階別でしっかりと力を身につけていただくことです。
——初学者でも1回の受験で合格できるのは大変心強いですね。その「段階別で力を身につける」というのは、具体的にどのようなステップで学習を進めていくのでしょうか。
まずは、全体像を知ることです。そして、全体像を把握した上で、その科目の基本的な知識を身につけます。基礎を固めた上で、実際の本試験で問われるような条文や判例を個々に勉強していきます。伊藤塾ではよく「体系から入る」という言い方をしますが、まずは学習の大枠を捉えることが非常に重要です。
——「木を見て森を見ず」にならないように、まずは「森」から見ましょう、ということですね。
はい、おっしゃる通りです。
忘れても自力で答えを導き出せる。記憶の負担を最小限にする「理由付け」と「思い出しのきっかけ」
——中には「記述は得意だけれど暗記は苦手」という方もいらっしゃると思いますが、そのような方にはどのような対策や工夫をされているのでしょうか。
暗記についても、なるべく暗記量を減らす方針をとっています。具体的には、制度の趣旨から考えることや、理由付けを意識して学習していただいています。要するに、本番で忘れてしまっても自力で思い出せるようにするということです。
「これはどちらだったか」と忘れてしまったとしても、「これはこういう理由で出来上がっている制度だったはずだから、こうなるはずだ」と自力で答えを導き出せるようにします。思い出すきっかけとなる考え方を学んでおき、自力で答えを出せるようにするというのが基本方針です。
一方で、どうしても暗記しなければならない部分については、語呂合わせなどで対応しています。この2つのアプローチで指導しています。
忙しい社会人が「学び続ける」ためのメンタルと環境の整え方
限られた時間の中で成果を出し続けるためには、まず自分の生活スタイルを客観的に見つめ直すことから始まります。平林講師が自らの実践から導き出した、変えられない現実に抗わず「変えられる部分」を最大活用する、持続可能なプランニング術を提案します。
予防法務のスペシャリスト集団を育てる。多角的な視点を持つ三士業連携のビジョン
——平林講師は高等学校や中学校の教員免許も取得されています。「教える」ということに関して深い知識をお持ちかと思いますが、そうした専門性を現在のお仕事でどのように生かされているのでしょうか。
資格を持っているからといって、それが直接的に大きく生かされているかというと、実は必ずしもそうとは限りません。ただ、現在は社会保険労務士の勉強もしているのですが、社会保険関連の知識は行政書士試験の「基礎知識科目」でも問われます。また、社会保険労務士試験自体が、大きな枠組みで言うと行政法に含まれるため、そういった面では非常に役立っていますね。
——ご自身が継続して勉強されているからこそ、時間のない社会人の受験生の気持ちが一番お分かりになるのですね。なぜ新たに「社会保険労務士」に挑戦しようと思われたのか、その理由を伺ってもよろしいでしょうか。
私は「予防法務」という分野に非常に強い関心があり、予防法務の専門家たちを一貫して育成できたらいいなと考えるようになりました。
——トラブルを未然に防ぐ、社会にとって非常に重要な役割ですね。その予防法務という分野には、具体的にどのような職種が関わってくるのでしょうか。
法律に携わる職種の中で、予防法務の代表格となるのは、行政書士、司法書士、そして社会保険労務士です。これら三士業が、予防法務においては代表的な資格になると思います。
そのため、これらを一貫して教え、育成できるようになれば、予防法務の専門家集団を育てることができるのではないかという思いがあり、自分自身も社会保険労務士の資格を取ろうと考え、勉強を始めました。
「変えられない時間」に抗わない。生活スタイルを切り分ける無理のないプランニング術
——いくつもの講義を持たれたり、受講生のご相談に乗られたりと大変お忙しいと思いますが、どのようにご自身の勉強時間を捻出されているのでしょうか。
隙間の時間の活用はもちろんですが、基本的にはまず「自分の生活スタイルを見つめ直す」ことから始めています。
ライフワークは人それぞれ違いますし、生活の中には変えられる部分と変えられない部分があります。変えられるところは変えていくのですが、生きていく上でどうしても変えられない部分も少なからずあるため、まずはその「変えられる部分」と「変えられない部分」をしっかりと見定めるようにしています。
——確かに、仕事の拘束時間や日々の家事など、どうしても削れない・変えられない時間は誰にでもありますよね。その2つをしっかりと見定めた後、具体的にはどのように学習のプランニングへ落とし込んでいくのでしょうか。
変えられないものは仕方がないので、まずは両者を切り分けます。その上で、変えられる部分については「どう変えれば勉強しやすくなるか」を考えます。一方、変えられない部分についてはそれを前提とした上で、「生活のどこに勉強時間を配置すればよいか」を考え、無理のない範囲でプランニングをしていくようにしています。
——人によって働き方も拘束時間も異なりますからね。その中で変えられる部分をきちんと切り分けて、勉強時間を確保していくということですね。受講生の方にも、そのようなお話をされるのでしょうか。
分かりやすい例で言うと、「通勤『時間』自体は変わらなくても、早い時間の電車に乗るようにすれば『時間帯』を変えることができ、座って勉強できますよね」といったお話をしています。
提案よりも、まずは「聴く」ことから。受講生の孤独な戦いに寄り添う共感型カウンセリング
——平林講師はカウンセリングも数多く担当されているかと思います。非常に人気があり、予約が取れないほど受講生の方が指導を求めているとのことですが、さまざまなサポートをしていく中で、受講生が最後まで諦めずに学習を続けるために、マインド面でどのようなサポートをされているのでしょうか。
カウンセリングにおいて一番大事にしていることは、まず「こちらから提案しない」ということです。とにかくまずは、受講生の方に思っていることを全部出して頂き、お話を「聴く」ということに徹しています。
——メンタル面に関するご相談が多いのでしょうか。
「子育て中で寝る時間がない」といった学習環境の悩みや、「仕事が急に忙しくなってしまった」「体調が悪くて勉強が進まない」といったご相談を受けることがあります。そうした時は、まずその辛い状況を全てお話ししていただきます。意外と、話を聴いてもらうだけですっきりされる方も多いのです。
その上で、「今こういう状況なのですが、学習を続けるためにはどうしたらいいですか?」と質問されたら、初めて具体的な提案をするようにしています。アドバイスを求められない限りは提案せず、ひたすら共感して寄り添うことを意識しています。
——聴くことに徹し、まずは心の整理の時間を作るのですね。では、実際に受講生の方からアドバイスを求められた際には、具体的にどのようなご相談が多く、どのような提案をされているのでしょうか。
テクニカルな質問には通常通りお答えしますが、ご相談の8割方は学習計画やスケジュールに関する内容です。
そのようなご相談を受けた際は、具体的に1週間をどのように過ごしているかをお聞きしています。「月曜日から日曜日まで、大体どのようなスケジュールで動いているのか教えてください」とお願いします。すると、他人に説明しようとすることで、ご自身の中で1週間の行動を整理できるようです。
——状況を説明していただくことで、ご本人が自身の1週間の行動を客観的に整理できるのですね。
はい。そうすると「意外とこの時間は何もしていませんね」「ここなら30分くらい勉強できますね」といった気づきが生まれます。また、「夜は疲れていて講義に集中できないけれど、朝なら聞けそうだ」とご自身の傾向が分かることもあります。まずは1週間のスケジュールを全てお聞きした上で、「この隙間時間に学習を組み込んでみてはいかがでしょうか」と提案することが多いです。
——お話を伺って、まずはご自身がどのような時間の使い方をしているのかを把握し、その上で空いている時間を有効活用していく、というアプローチなのだと理解しました。
皆様、日々懸命に生活されているため、ご自分がどのように動いているのかを整理できていない方が意外と多いのです。そこを言葉にして説明していただくことで、勉強に使える時間に気づけることがよくあります。
確かな情報と強固な連携。受講生を迷わせない「オンライン指導」の信頼性
インターネット上に情報が溢れる現代だからこそ、伊藤塾では「文献主義」と「合格者の多数派」という明確な基準を徹底し、情報の正確性を担保しています。講師個人の経験のみに頼らず、事務局との密な連携によって構築された、オンラインでも決して独りにならないサポート体制の真髄を語ります。
SNSの不確かな情報に惑わされない。文献主義と「合格者の多数派」に基づく情報の取捨選択
——現在、行政書士の勉強ひとつをとっても、非常に多くの情報があふれています。そのため、受講生の方が「どうすればいいのだろう」と悩んでしまうこともあると思います。正しい情報や最低限必要な知識を伝える際、平林講師が意識されていることについてお伺いしたいです。
情報を伝える際には、主に3つのことを意識しています。まず1つ目は、内容面を伝える時は必ず「文献に当たる」ということです。今はX(旧Twitter)などで気軽に投稿できますが、気軽に発信できるがゆえの危険性もあります。そのため、内容について発言する時は、必ず文献で裏を取り、正しいことを確認してから投稿するようにしています。当たり前のことですが、裏を取ってから発信するという点は強く意識しています。
——当たり前のことですが、意外と実践できていない人も多いかもしれませんね。
そして残りの2つは、学習方法などを伝える際に「合格者の生の意見」と「自分自身の経験」に基づくものにするということです。その際、なるべく合格者の多数派の意見を取り上げるようにしています。
少数の意見については、基本的には発信しないようにしています。あえてお伝えする時は、もちろん「これを実践しているのは少数派です」と留保をつけます。このように、文献で裏を取った上で、合格者の多くが実践している情報に限定して発信することを心がけています。
——先ほどおっしゃったように、Xの情報は玉石混交です。中には間違っているかもしれない情報や、少し嘘が混ざっているかもしれない情報もあると思います。そうした情報を鵜呑みにしないためのコツはありますか?
色々な情報がありますが、実は「嘘ではなく真実の情報」がほとんどだと思っています。もちろん本当に悪意がある人もいるでしょうが、例えば合格したばかりの方が発信する独自の学習法などは、決して嘘をついているわけではなく真実の情報だと思うのです。
ただ、先ほど申し上げた「多数派の法則」が適用されていないケースが多いのだと思います。その人個人の経験上は正しくても、それが多数派に当てはまるとは限りません。他の人にもそのまま適用できるわけではないのです。
——では、受験生がそうした「自分には合わない学習法」や個人の極端な意見に振り回されず、情報を正しく取捨選択していくためには、具体的にどのような点に気をつければよいのでしょうか。
情報を鵜呑みにしないための1つ目の対策としては、「自分には絶対に無理だ」と思うような学習法は無理してやらない方がいいということです。自分には到底できないようなものは、あくまで参考程度に留めておくのが良いでしょう。
2つ目は、匿名の情報には気をつけるべきだということです。匿名アカウントは発言に責任が伴いません。その人が何か間違ったことや極端なことを言っていたとしても、社会的な責任を負うわけではないですよね。ですので、まずは「どこの誰なのか」が明確になっている情報を優先的に取り入れるのが良いと思います。
事務局と講師がワンチームでサポート。学習の悩みと事務的手続きを迅速に解消する連携体制
——平林講師だけでなく、教務企画部門宛にも受講生の方からご相談が寄せられることがあるかと思います。具体的にどのような相談があるのでしょうか。また、教務企画部門と講師の方々がどのように連携しているのかについても伺いたいです。
教務企画部門に寄せられるご相談としては、まずお申し込み前の講座に関する内容が挙げられます。複数の講座ラインナップがある中で、「どのコースが自分に適しているか」といったご相談や、具体的なご質問をいただきます。
一方、受講開始後は、手続きに関するご相談や、「模試は会場で受験したいがどうすれば良いか」・「教材を一時的に帰省先に送って欲しい」といった事務的なお問い合わせがほとんどです。学習上の悩みやスケジュールの相談については、基本的に講師が対応する体制をとっているため、教務企画部門にはあまり寄せられません。
——相談内容によって、対応する窓口が明確に分かれているのですね。
稀に学習に関するご質問が事務部門に入ってきたり、その逆のケースもあったりします。その場合は部門間で連携し、「このようなご質問が来ているので対応をお願いします」と速やかに引き継ぎを行っています。受講生の皆様も、基本的には窓口を理解して問い合わせ先を分けてくださっている印象です。
——講師の方々との連携についてもう少し伺いたいです。社内でしっかりとコミュニケーションを取るために、何か工夫されていることはありますか。
対面で相談することが一番多いですね。教務企画部門と講師の座席が近いため、出社した際に直接口頭で確認や相談を行っています。
——必要な情報はお互いに直接口頭で共有し合っているのですね。確かに、席が近いのであればチャットを使うよりも直接話した方が早そうです。
日頃の連携に加えて、月に1回程度、講師と社員が集まる「講師会議」を定期的に開催し、多数いる講師間の連携も含めてしっかりと情報共有を行うようにしています。


DX・AI時代を勝ち抜く。次世代の行政書士に求められる「付加価値」
デジタル化が加速する現代において、AIを脅威として恐れるのではなく、いかに「使いこなせるツール」に変えられるかが実務家の命運を分けます。複雑な事務を効率化し、より人間味のある「街の法律家」として地域に根ざしていくための、次世代の職域とビジョンについて伺います。
AIを「使いこなす側」のプロへ。業務スピードを加速させる次世代の実務家像
——これから行政手続きのデジタル化やDXがさらに進んでいく、あるいはすでに進んでいるかと思います。これからの行政書士に求められる役割や職域は、どのように変化していくとお考えでしょうか。
これは実務を行っている先生でないとなかなか見えにくい部分かと思います。その点を前提として、まず考えられるのは「DXやデジタル化が進むと、間違いなくついていけない人たちが出てくる」ということです。これは、実務家の先生からもお聞きしました。
——デジタル化に伴って仕事が進めやすくなる反面、それに対応できない人たちも一定数いるため、そこをどうフォローしていくかが重要だというお話はよく耳にしますね。
デジタル化に関連して実務の現場でよく話題に上がるのが、「AIをどう活用していくか」ということです。行政の手続きには複雑なものや、個別具体的な事情を加味しなければならないものも多々あります。そのため、今のところ「AIによって完全に仕事が奪われる」とは考えられていません。ただ、「仕事が奪われることはないが、AIを使える行政書士と使えない行政書士とでは大きな差が出るだろう」とは皆さんおっしゃっています。
——AIをうまく活用できる行政書士は生き残っていくけれど、そうでない行政書士との間には大きな差が生まれるということですね。
その通りです。以前、事務所訪問でお話を伺った先生の例を挙げます。その先生は10年ほど前、全く経験のない新しい許認可業務の説明に行かなければならなかった時、必死になって手引き書を三日三晩、徹夜する勢いで読み込み、知識を武装して臨んだそうです。
しかし今は、その手引き書をデータ化してAIに読み込ませているそうです。AIに学習させて要点をまとめてもらい、それを読んでから業務に臨む形にすることで、従来の半分以下の時間で要点がつかめるようになり、かなり楽になったとおっしゃっていました。
ただし、AIが出力する情報にはまだ間違いも多いため、最終的には必ず人間が内容を精査しなければなりません。実務の現場では、AIはあくまで「優秀な補助者が一人増えた」という感覚で捉え、最終的な判断を下す実務家のチェック能力とセットで活用していくことが不可欠だと言えます。
街の身近な「法律のハブ」になる。行政書士の相談ハードルを下げる地域コミュニティの力
——これからの時代、街の身近な存在である行政書士は、地域社会においてどのような役割を担っていくとお考えでしょうか。
地域社会に気軽に相談できる行政書士がいることは、市民の皆様の安心につながると思います。実際、一般市民の方々は何を行政書士に相談できるのか分からないため、行政書士の業務範囲外のことでも相談にいらっしゃるケースはよくあります。そのような場合でも、まずは入り口として行政書士に相談していただき、もし自分の業務範囲外であれば、その行政書士がハブとなって、司法書士や弁護士、社会保険労務士など、適切な専門家へと仕事をつないでいく役割を担っています。
——平林講師が、実際にお知り合いから「登記をどうすればいいか分からない」といったご相談を受けることはありますか。
はい、あります。相続関係などのご相談はよく受けますね。あとは「個人事業を行っていたが、会社を立ち上げたい。どうすればいいか」といったご相談も、かなりの件数があります。私自身は現在、行政書士・司法書士としての登録をしていないため、お近くの適切な先生をご紹介して、お話を聞いていただくようにしています。やはり、友人だからこそ聞きやすいという面があるようです。
——「いきなりプロの専門家にこんなことを相談してもいいのだろうか」と、気が引けてしまう方が多いのですね。
相談された時は「知り合いに専門家がいてよかった」と言われることが多いのですが、本来はその相談のハードルを取り払いたいと考えています。
現在、行政書士は全国に約5万人おり、その数はコンビニの店舗数とほぼ同じと言われています。つまり、皆様の身近にも行政書士は必ずいるはずなのです。「こんな些細なことを相談しに行ってもいいのだろうか」という心理的な壁を取り払い、身近な専門家に気軽に相談できる環境になってほしいと思っています。
——一般の方々が相談しにくいと感じる理由として、「相談するだけで料金が発生するのではないか」といった懸念もあるのでしょうか。
やはり、料金への不安もあると思います。さらに、「こんな簡単すぎることを聞くなんて、自分で調べなさいと怒られるのではないか」と心配される方もいらっしゃるようです。行政書士はもっと優しく丁寧に教えてくれる存在だということが、世間にもう少し伝わってほしいですね。実際、私の講義を受けて合格された方の中には、地域の活動に積極的に参加されている行政書士の先生もいらっしゃいます。
——地域の町内会など、コミュニティの活動ですね。
行政書士としてではなく、まずは一人の住民として地域の活動に顔を出すようにしたそうです。そこで「どんなお仕事をされているのですか」と聞かれた際に「行政書士をやっています」と答えることでコミュニティとのつながりが生まれ、自然と相談を受けるようになったとおっしゃっていました。
周囲の方からも「行政書士は堅い職業だと思っていたけれど、こんなに気さくな人だったのですね」と驚かれたそうです。また、お子さんがいらっしゃる方で、PTAの活動などに積極的に参加してコミュニティとのつながりを作っている方もいます。「実は行政書士をやっています」と伝えると、「実はちょっと相談したいことがあって……」と話を持ちかけられることが多いようです。皆さん、専門家に相談するまでもないと遠慮しているだけで、見えないところで意外と悩みを抱えていらっしゃるのだと感じています。
人生経験のすべてが「職域」になる。伊藤塾の指導で法的思考力を味方にする未来へのエール
——これから行政書士を目指す方、もしくは今まさに学習に励んでいる方に向けて、メッセージをお願いします。
お伝えしたいことは色々とありますが、一番お伝えしたいのは「行政書士の職域はとにかく非常に広い」ということです。職域が広いからこそ、自分がやりたいことや、挑戦してみたいことが実現しやすい職業だと思います。
また、これまでの人生経験の中で身につけてきた知識やスキルも、職域の広さゆえに生かしやすい仕事です。現状に満足せず、「もう少しこういう風に生きていきたい」「こんなことをやってみたい」という思いで受験される方は多くいらっしゃいます。
理想の生き方や目標を実現するためには最適な資格だと思いますので、ぜひ興味を持って取り組んでいただきたいです。現在勉強中の方も、「合格したらこういうことをやりたい」という具体的なビジョンを常に描きながら、学習を続けてほしいと思います。

効率的な学びと伴走支援が、あなたのキャリアを切り拓く
伊藤塾の強みは、受講生一人ひとりの生活に踏み込んだ伴走支援と、実務に直結する法的思考の養成にあります。暗記の限界を感じている人や、忙しさで学習を諦めかけている人にとって、時間の使い方を可視化し、制度の趣旨から理解を深める独自の方法は、効率的に学習を進めるための心強い道標となるはずです。AI時代だからこそ、人間にしかできない最終判断を下せる専門家の価値は高まります。資格取得を通じて、社会を明るい方向へと導く存在へ、手厚いサポートが整ったオンライン環境で、新たなキャリアへの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
