AI時代を生き抜く最強スキル!全日本SEO協会が語る「SEOの魅力」とキャリアの未来

「今のスキルで通用するだろうか」「もっと市場価値の高い人材になりたい」――そうした思いを抱える中で、「Webマーケティング」や「SEO」という言葉が気になっている方もいるかもしれません。しかし、SEOと聞くと「専門的で難しそう」「本当に効果があるのか不透明」といったイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。

かつて情報の秘匿性が高かったSEO業界を健全化し、実践的な知識を普及すべく設立された「SEO検定」。本記事では、一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事の鈴木 将司さんへお話を伺いました。インタビューを通じ、AI時代におけるSEOの本質的な価値と、そのスキル習得がキャリアにもたらす変化を紐解きます。

目次

「SEO検定」はなぜ生まれたのか? 時代が求めた実践的検定

かつて情報がブラックボックス化され、不透明だったSEO業界。全日本SEO協会は、この現状をどのように捉え、変革をもたらそうとしたのでしょうか。SEO検定が生まれた背景には、時代が求めた「実践的な知識」への強いニーズがありました。

 SEO検定設立の背景と、業界が抱える「情報の秘匿性」という本質

──SEO検定が設立された背景や、この制度を通じてどのような人材を育成しようとお考えだったのか、その歴史についてぜひお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木 将司さん

まず設立当時の時代背景からお話ししますと、日本のSEO業界では、外部の専門業者に「請負」で依頼するのが一般的でした。つまり、現在私たちが提唱しているような「自社でSEOを行う」という考え方自体が、当時は全く存在しなかったのです

──なるほど。概念そのものがなかったのですね。

鈴木 将司さん

はい。概念が普及していなかった上に、SEOに関する情報そのものが非常に少なかったのです。そのため、多くの企業は何から手をつければ良いのか分からず、自社で実践することは不可能でした。

そして、より根本的な話をしますと、SEOのノウハウというのは、本質的に「誰にも教えたくない」秘匿性の高い情報なのです。

──有益な情報だからこそ、他者と共有したくないという心理が働くのですね。

鈴木 将司さん

当時は、SEO業者が用いるテクニックはほとんど非公開でした。その結果、クライアントは、具体的に何が行われるのか全く分からないサービスに対して、高額な料金を支払うという状況が生まれていました。

私は、こうした状況を非常に不健全だと感じていました。これでは一般企業がSEOの知識を学ぶ機会は永久に得られません。そんな業界を変えたいという強い想いがありました。

 セミナーから書籍、そして検定へ。高額な外注費からの脱却を目指した知識の体系化

鈴木 将司さん

2005年に、私は最初の書籍『ヤフー!・グーグルSEO対策テクニック』(翔泳社刊)を出版しました。当時、日本のSEO業界ではおそらく2冊目の解説書だったと思いますが、私の記憶では「SEO」という言葉をタイトルに用いたのは、私の書籍が初めてでした。

──そうなのですね。

鈴木 将司さん

はい。その書籍は、当時私が全国で開催していたセミナーで特に成果のあった内容を一冊にまとめたもので、これこそが私たちの活動の原点です。

出版当時は、Yahoo! JAPAN対策とGoogle対策という、二つの領域を網羅する必要がありました。そこで私は、業界で初めて、一冊の本を二部構成にするという試みを行いました。第一部を「Yahoo! JAPAN対策」、第二部を「Google対策」としたのです。

──一冊で二冊分の価値がある、非常に豪華な内容ですね。

鈴木 将司さん

そして、この本のもう一つの特徴は、考え方にも触れつつ、掲載内容のほとんどが具体的な「テクニック」に特化していた点です。まさしく、SEOテクニックの「百科事典」のような一冊でした。

──徹底したハウツー本を世に出されたわけですね。

鈴木 将司さん

はい。2005年に出版したこの書籍が、2017年に開始した「SEO検定」の礎となったのです。

──12年の時を経て、検定制度へと発展したのですね。

鈴木 将司さん

検定を創設した目的は、ただ本を読んで知識を得るだけでなく、その知識が本当に身についているかを証明する機会を提供することでした。

──インプットした知識を、試験という形でアウトプットする機会を設けられたのですね。

SEO検定がもたらす「数値化された自信」:キャリアを拓く実践的スキルとは

SEO検定は、個人のスキルを可視化し、キャリアを強力に後押しする「数値化された自信」をもたらします。単なる知識の確認に留まらない、SEO検定ならではの「実践力」の真価とは何でしょうか。

 抽象的な知識から「どこまで知っているか」を証明する

鈴木 将司さん

SEO検定を設立した当時の時代背景として、個人のSEOスキルを客観的に測定する手段がありませんでした。つまり、「SEOを知っているか、知らないか」の二択しかなかったのです。

そこでSEO検定を創設し、知識レベルを段階的に証明できる仕組みを作りました。例えば、SEOについて幅広く深い知識があることを証明するのが1級、基本的な知識があるのが4級、内部対策に精通しているのが3級、そしてコンテンツマーケティングや被リンクについて理解しているのが2級、といった具合です。このように級を設けることで、「SEOのどの分野を知っているか」ということを客観的に示せる検定制度にしたのです。

──なるほど。検定の級によって能力が数値化・可視化されることで、採用活動の際にも評価しやすくなりますね。

鈴木 将司さん

その通りです。SEO検定であれば、級によって得意分野まで示すことが可能です

 検定取得で変わるマインド:不確実性から自信へ

──SEO検定や認定コンサルタント制度を通じて、キャリアの変化が生まれた事例はございますか?

鈴木 将司さん

はい、そういったお話は実際にあります。私がコンサルティングを行っているクライアント企業の社員さんが、SEO検定に合格されるケースも見てきました。

そこで見られる最も大きな変化は、これまで確信が持てなかった情報に対して、「自信が持てるようになった」ということです。これこそが、この検定制度がもたらす重要な価値だと考えています。

──なるほど。情報に対する確信が持てたことで、ご自身の業務に意欲が湧き、具体的なアクションを起こせるようになった、ということですね。

鈴木 将司さん

まさしく、それが一番大きいと思います。実際に、そのような方は何人もいらっしゃいます。

──「おそらくこのやり方で合っているはずだ」という曖昧な感覚が、体系的な知識によって裏付けられ、確固たる自信へと繋がっていくのですね。

鈴木 将司さん

そうですね。加えて、「悩んでいるのは自分だけではないのだ」と感じられることも大きいようです。「多くの先人たちが試行錯誤を重ねた結果、このノウハウが生まれたのだから、自分もこれを実践してみよう」という気持ちが起きやすくなります。

──ご自身のモチベーションアップと、業務への自信に繋がるのですね。

鈴木 将司さん

はい。多くの方が「自信が持てるようになった」そして「やる気が出た」とおっしゃいます。

「検定・資格を取得するだけでは不十分」のジレンマを越える:SEO検定の「実践力」がもたらす価値

──Webマーケティング業界では検定・資格の価値が再評価される一方で、「検定や資格があるだけでは意味がない」という意見も根強くあります。この点について、SEO検定を取得する真の「意義」とは何か、鈴木さんのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木 将司さん

SEO検定の第一の価値は、「SEOをどの程度、どの分野まで知っているか」を客観的に証明できる点にあります。取得した級ごとに、ご自身のスキルセットを明確に示すことができるのです

──なるほど。能力を可視化できるのが一点目ですね。

鈴木 将司さん

そして第二に、「検定や資格を取るだけでは不十分だ」というご意見ですが、これはその通りだと思います。例えば、二級建築士の資格を取ったからといって、すぐに家を建てられるわけではありません。弁護士の資格があれば必ず裁判に勝てる、というものでもないでしょう。検定や資格の取得がゴールではない、というのは全ての検定・資格に共通する真理です。重要なのは、その検定・資格が「どれだけ実践的か」という点に尽きます。

──お話を伺っていると、SEO検定は知識のインプットだけでなく、試験によるアウトプット、そして実務でのフィードバックというサイクルが明確に設計されており、非常に実践的な検定だと感じます。

鈴木 将司さん

まさにその通りです。だからこそ「検定や資格を取るだけでは不十分」という批判は、SEO検定には当てはまらないと考えています。この検定は、単なる知識の確認テストではないのです。

SEOは「オワコン」ではない。AI時代も変わらぬ本質と新たな役割

AI技術の急速な発展は、Webマーケティングの世界にも大きな変革をもたらしています。「これからのSEOは『オワコン』なのか?」「LLMOに取って代わられるのではないか?」――そんな不安の声も聞かれる中で、SEOの本質的な価値は本当に失われるのでしょうか。

 AIの情報源は「Webサイト」が基盤である

──最近、「AI」という言葉を頻繁に耳にします。特にSEOに携わる方々の間では、「今後もSEOで生き残っていけるのか」という不安の声や、「これからはLLMO(大規模言語モデル最適化)の時代だ」という意見も聞かれます。こうした技術の進展についてどのようにお考えでしょうか。

鈴木 将司さん

最近ではAIに対する施策として、「AIO(AI Optimization)」や「LLMO」など様々な言葉が使われています。ここで最も重要な問いは、「AIは何を情報源として、あの回答を生成しているのか?」という点です。実は、AIには大きく分けて4つの情報源があります。

──4つの情報源ですか。ぜひ詳しく教えてください。

鈴木 将司さん

1つ目は、ウェブサイトです。

これは従来通りですが、AIはウェブサイトに書かれている情報に基づいて回答を生成します。

2つ目は、Googleビジネスプロフィールです。

Googleマップに掲載されている店舗や企業のプロフィールですね。そこにあるレビューの数、評価の高さ、そして「対応が悪かった」「親切だった」といったレビュー内の具体的な言葉まで、AIはすべて見ています。

3つ目は、企業のSNSです。

YouTubeを含めた公式SNSで発信されている内容と、さらにそこで他のユーザーがどのような評価をしているかという点も情報源となります。

──自社の発信だけでなく、他者からの評価も加わるのですね。

鈴木 将司さん

はい。他者からの評価の方が信頼性は高いと判断されるからです。例えば、どこかの施設について知りたい時、運営元の公式情報だけでなく、実際にそこへ行った人の「生の声」が知りたくなりますよね。

そして、4つ目が各種ポータルサイトや、比較・ランキングサイトです。

飲食店や美容室を探す時、それぞれの専用サイトで口コミを見ることと同じです。「銀座のおすすめランチ10選」のようなランキングサイトも、多くの人が意思決定の参考にする重要な情報源になり得ます。

AIは、これら4つの情報源を総合的に判断して回答を生成しているのです。

 AIの台頭で変わる「集客の勢力図」:SNS強化の2つの理由

──AIがSNSの情報を参照するからこそ、企業はSNSの運用を強化しなくてはならない時代になったのですね。

鈴木 将司さん

おっしゃる通りです。さらに、SNSを強化すべき理由はもう一つあります。今後、AIチャットの利用が拡大すれば、従来のGoogle検索を利用するユーザーは減少する可能性があります。そうなれば、Googleだけに集客を依存するビジネスモデルは成り立たなくなるでしょう。

──その際に、受け皿となるのがSNSだと。

鈴木 将司さん

はい。検索エンジンから減ってしまった分を、SNSからの集客で補う必要があります。つまり、これからのSNSは、「① AIに質の高い情報を提供する」という役割と、「② SNSそのものから直接集客する」という役割を担うことになり、その重要性はこれまでの2倍になったと言えるのです。

──AIが台頭してきたことで、Webマーケティングにおける勢力図が大きく変わってきたのですね。

鈴木 将司さん

「勢力図が変わった」という表現は、まさに的確ですね。ユーザーは、実際の体験に基づいた信頼性の高い「生の声」を求めて、再びSNSに回帰してきています。一度は下火になったと言われたSNSが、その価値を完全に見直されているのです

AI時代のコンテンツ制作:人間ならではの「経験」と「専門知識」を活かす

──コンテンツSEOに携わる者として、AI時代における「安全かつ成果の出るコンテンツ制作手法」は存在するのか、という点に非常に関心があります。この点について、ぜひ鈴木さんのご意見をお聞かせください。

鈴木 将司さん

結論から申し上げると、たった一つのポイントを押さえればうまくいきます。それは「W EATのある記事」、つまりご自身の「経験」に基づいたコンテンツを作ることです。

──なるほど。やはり、ご自身の経験に基づく「一次情報」が何よりも重要だということですね。

鈴木 将司さん

おっしゃる通りです。そしてW EATを構成するもう一つの重要な柱が「専門性」です。その分野の専門家でなければ書けない、独自性の高い見識があれば、AIが生成しただけのコンテンツとの明確な差別化が図れます

──具体的には、どのようにAIを活用すれば良いのでしょうか。

鈴木 将司さん

私が推奨しているのは、ご自身が体験したことを箇条書きで書き出すことです。例えば、「X月X日、初めて沖縄の施設を訪れた」という事実。そして、そこで何を見て、何を感じ、何をしたか、といった具体的な体験をリストアップします。次に、その箇条書きをChatGPTに入力し、「(ターゲット読者)に向けて、(読後感)のような印象を与える記事を書いてください」といった指示を与えます。そうすることで、ご自身の一次情報を基にした、オリジナリティのある記事を効率的に生成できるのです。

──自身の経験という「骨格」の部分さえ人間が提供すれば、AIが文章という「肉付け」をしてくれる、というイメージですね。

鈴木 将司さん

AIは肉付けは得意ですが、骨格をゼロから生み出すことはできません。ジュースで例えるなら、人間が提供するのは「新鮮な果物や野菜」です。この新鮮な素材がなければ、AIはありふれた情報から作られた、味の薄い「合成ジュース」しか作れません。

──その「合成ジュース」が、いわゆる二次情報や三次情報で構成された、価値の低いコンテンツということですね。

鈴木 将司さん

はい。それでは読者の心には響きません。結論として、AIに入力すべき素材は、ご自身の「一次情報としての体験」か、あるいは「専門家としての独自性の高い見解」のいずれかです。なぜなら、それこそが読者が本当に求めている情報であり、検索という行動の動機そのものだからです。

SEO検定合格への近道!SEOスキルを磨く効率的な学習ステップ

AI時代においても、Webサイトを通じた情報発信とSEOの重要性は変わりません。しかし、専門用語が多く、独学ではハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。未経験からでも最短で実践的なSEOスキルを身につけるためには、どのような学習戦略が効果的なのでしょうか。

 段階的にステップアップ:4級から始める重要性

鈴木 将司さん

時折、基礎から学ばずに、いきなり1級を受験される方がいらっしゃいますが、残念ながらほとんどの場合、不合格になってしまいます。

──そうなのですね。やはり基礎が大切だと。

鈴木 将司さん

はい。なぜなら、1級の試験範囲には2級、3級、4級の内容がすべて含まれているからです。同様に、3級に合格するためには、3級のテキストだけでなく、基礎となる4級の内容もしっかりと理解しておく必要があります。知識が積み上げ式になっているのです。

──なるほど。下の級の内容が、上の級の土台になっているのですね。

 合格者が実践する「本3回読み+問題集3回解く」の極意

──協会の公式テキストは非常に分かりやすいと評判ですが、さらに効果的に学習を進めるためのコツや、合格者が実践している勉強法があれば、ぜひ読者のために教えていただけますでしょうか。

鈴木 将司さん

私が大阪で試験官を務めた際に、受験者の方々から直接伺った話で、最も確実だとされている方法があります。それは、「公式テキストを3回読むこと」だそうです。

──テキストを3回、ですか。

鈴木 将司さん

はい。テキストを3回通読し、さらに「問題集を3回解く」。多くの方が、この方法で合格されています。そして重要なのは、この学習法を一番基礎となる4級から実践する、ということです。

──ポイントを3つに絞ってお話しいただいたので、非常に分かりやすいです。

  • 公式テキストを3回読む
  • 問題集を3回解く
  • 基礎となる4級からスタートする

この3点を徹底することが大切なのですね。

 動画は約2,400本以上! 全日本SEO協会YouTubeチャンネルが学習の強い味方に

鈴木 将司さん

もし独学で行き詰まった場合は、私のYouTubeチャンネル「鈴木将司のウェブマスターCHANNEL」も無料でご覧いただけます

──「全日本SEO協会」の公式YouTubeチャンネルですね。

鈴木 将司さん

はい。検定公式サイトのYouTubeロゴからもリンクしています。チャンネル内では、「1級対策」「2級対策」「4級対策」というように、級ごとにコンテンツを整理しています。その数も2,400本以上ありますので、ぜひ活用していただきたいです。

──2,400本ですか! すごい数ですね。

鈴木 将司さん

通勤時間などにBGMのように聞き流すだけでも、学習の助けになると思います。

SEOスキルで切り開く未来:フリーランス・副業で成功するための視点

SEOスキルを習得することは、企業内でのキャリアアップだけでなく、フリーランスや副業として自立する道も拓きます。この分野で成功し、持続的に活躍していくためには、どのような視点や心構えが求められるのでしょうか。鈴木さんが語る、集客と成長の鍵となる考え方を探ります。

 「与える精神」が鍵!知っていることを全て発信する勇気

──この分野は、独立・フリーランスとして活躍できる可能性のある領域だと思います。この業界で自立を目指す上で、大切にすべき視点や心構えについてアドバイスをいただけますでしょうか。

鈴木 将司さん

はい。これはSEOに限らず、独立を目指すすべての方に通じるアドバイスですが、最も重要なのは「集客力」です。そして、フリーランスにとって不可欠な集客力の源泉となるのが「発信力」です。

実は、私自身も以前は発信力がありませんでした。なぜ発信ができないのか。その理由は、突き詰めるとたった一つです。それは、「自分が知っている情報を発信すると、自分が損をする」と思い込んでいるからです。

──なるほど。「GIVEの精神」が大切、ということですね。

鈴木 将司さん

「GIVE & TAKE」という言葉で表現することもできますね。要するに、自分が持つ知識をすべてさらけ出すことによって、初めて人々から評価され、信頼されるのです。

自分の知識の5%や10%程度のエネルギーでは、人の注目を集めることはできず、集客には繋がりません。考えてみてください。私たちが最も心惹かれるのは、「有料級」と評されるような価値の高い無料コンテンツではないでしょうか。

──「有料級」の情報を無料で発信している方に出会うと、思わずファンになり、チャンネル登録したくなります。

鈴木 将司さん

ですから、出し惜しみをしていてはファンは生まれません。持っている知識をすべて発信し、人々に感動を与えることができれば、「ぜひこの人にお願いしたい」という流れが自然に生まれてくるのです。

 知識の「在庫」をゼロにする:成長し続けるための学びの循環

──しかし、ご自身の知識をすべて公開することに抵抗を感じる方が多いのも事実だと思います。

鈴木 将司さん

「自分の知識をすべて公開してしまったら、自身の優位性(アドバンテージ)が失われるのではないか」という恐れですよね。まさしく、かつての私がそうでしたから、その気持ちはよく分かります。

──おっしゃる通りです。多くの方がその危機感を抱えているのだと思います。

鈴木 将司さん

しかし、その「すべてを出し切って、空っぽになる危機感」こそが、次の成長の絶好の機会なのです。私はよく認定コンサルタントの養成スクールで、牛乳屋さんの例え話をします。自分が持っている牛乳をすべて売り切ってしまえば、当然、牛乳瓶は空になりますよね。

──はい。そして、空になったからこそ、また新しい牛乳を仕入れようと努力するわけですね。

鈴木 将司さん

ここで重要なのは、価値があるのは「牛乳」そのものではなく、「新しい牛乳を生産し続ける牧場の仕組み」の方だということです。人間は、知識の在庫がゼロにならない限り、必死に新しい知識をインプットしようとはしません。

──確かに、古い知識に安住してしまうかもしれません。

鈴木 将司さん

その通りです。過去の知識で安定してしまうと、その人は時代から取り残され「ガラパゴス化」してしまいます。一度その状態に陥ると、立ち直るのに何年もかかってしまうでしょう。ですから、常に新しいミルクをすべてお客様に提供し、自分をあえて空の状態にすることが、成長し続けるための秘訣なのです

AIは「敵」ではない。最強の「道具」であり、最高の「先生」である

──最後に、キャリアチェンジやスキル習得に挑戦しようとされている読者の方へ向けて、AI時代を見据えたメッセージをお願いできますでしょうか。

鈴木 将司さん

はい。AIは一見、私たちの仕事を奪う恐ろしい技術だと感じられるかもしれません。私自身、自分の仕事は不要になるのではないかと、恐怖を感じたこともあります。しかし、その考え方は100%間違っていると断言できます

これからの時代に求められるのは、「AIに使いこなされる」のではなく、「AIを使いこなす」人間になることです。AIを自身の能力を拡張するための「道具」として捉え、自分の価値を何十倍にも高める。つまり、AIを「レバレッジ」として活用するのです。AIは「敵」ではなく、最強の「道具」です

そしてもう一つ、私独自の視点としてお伝えしたいのは、「AIは先生である」と捉えてほしい、ということです。

──先生、ですか。

鈴木 将司さん

AIは単なるアシスタントではありません。作業を代行してくれるという側面もありますが、本質はそこではありません。AIは、私たちに知恵を授けてくれる最高の存在です。自分より何千倍も優れた存在として敬意を持って接する方が、結果的により大きな成果を引き出せます。これは何事においても同じですが、「尊敬」の念を持って接することが、より良い結果に繋がるのです

──AIを「道具」として使いこなし、同時に「先生」として敬意を払う。この二つの視点が重要なのですね。

鈴木 将司さん

その上で最後に、AIと人間の決定的な違いについてお話しさせてください。AIには決して持つことができない、人間だけの価値。それは、地道な実務を通して得られる「経験」と、それによって培われる「専門知識」です。

──「やりたいこと」を成し遂げるために、一見すると「やりたくないこと」にも真摯に取り組む、といった「下積み」の経験が、人間ならではの深みを生むのですね。

鈴木 将司さん

その通りです。大変なことや嫌なことも含めて、一つの仕事の裏も表もすべて経験して初めて、本物の専門家になれるのです。結局、Googleが提唱するW EATの根幹である「Experience(経験)」と「Expertise(専門性)」こそが、AIにはない、私たち人間が持つ最大の優位性なのです

AI時代を生き抜く、SEOの真価とキャリア戦略

今回、全日本SEO協会の鈴木さんへのインタビューを通じて、SEO検定の誕生背景から、その検定がもたらす実践的な価値、そしてAI時代におけるSEOの重要性までを深掘りしてきました。

AIが情報源としてWebサイトを参照する今、SEOは決して「オワコン」ではありません。人間独自の「経験」と「専門性」を活かし、時代とともに変化する集客の勢力図に適応することが重要です。AIを「道具」そして「先生」と捉え、知識を全て発信する「ギブの精神」で学び続けることこそ、AI時代を生き抜く鍵となるでしょう。

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