社労士は独学でもいける?合格するための勉強法を徹底解説

社労士試験の平均合格率は約7%といわれています。

“7%”という数値は独学に限らず、通信講座で学んだ受験者も含まれているため、独学のみで考えると合格率は”3%”以下になることが想定できます。

そもそも独学で可能なのかどうか疑問がある方も多いと思います。

そこで、そんな社労士の独学での合格を目指すにあたって、必要な情報を調査してまとめました。

【当ページの内容をざっくりまとめると…】
・そもそも独学で社労士の試験に合格できるのかどうか
・独学と予備校ならどっちが試験合格に効率的か
・独学者におすすめの社労士試験向け教科書や参考書
・社労士試験を受験するに当たっての必要な書類や資格
・独学で社労士になる方法と押さえるべきポイント

今回は、上記の内容をそれぞれ詳しく解説していきます。(5分ほどでサックリ理解できるようまとめました。)

目次

【結論】社労士に独学で合格することは可能か?

“独学”で社労士の合格を目指すうえで「勉強はどのくらい必要なのか?難しいのか?」など、多くの方が不安に感じる要素はいくつか存在します。

しかし、まずは勉強量を度外視して「そもそも社労士は、大学や講座に通わなくても合格する可能性は1%でもあるのか…?」について、調査結果をまとめました。

いくら独学で勉強しても「受験資格」などが必要だった場合は、学校や講座に通う必要が出てくるものです。

ここでは大きく以下2つの観点から、調査結果をまとめています。

  • 「合格率から分析する試験の難易度」の観点
  • 「受験資格」の観点

①合格率から導く!社労士の一般的な難易度レベル

年度受験者数合格者数合格率
2023年42,741人2,720人6.4%
2022年40,633人2,134人5.3%
2021年37,306人2,937人7.9%
2020年34,845人2,237人6.4%
2019年38,428人2,525人6.6%
2018年38,427人2,413人6.3%
2017年38,685人2,613人6.8%
引用:厚生労働省

社労士試験は例年8月の終わりごろに開催されます。
年に一回しか受験できない試験なので注意しましょう。

2つの資格ランキングサイトを参考にしますと、社労士資格の難易度は一般的に以下のようになります。

資格名偏差値
社労士65
気象予報士63
中小企業診断士65
税理士68
引用:資格のとり方資格ランキング

資格取得が難しい、中小企業診断士や税理士並みに社労士は難しいといえます。

社労士試験には明確な合格ラインはありません。

受験者の平均点から算出もしくは、一般には公表されていない指標から補正を加えて合格ラインを設定します。

ここ数年は全体で7割が合格ラインといわれており、以下のような補正が5年間で行われました。

2022年から2年連続で補正なしが続いていることから、しっかりと学習していれば十分に合格を目指せる内容であると言えます。

年度択一式(70点満点)選択式(40点満点)
2023年なしなし
2022年なしなし
2021年45点以上、かつ各科目4点以上総得点24点以上、かつ労働に関する一般常識1点以上、国民年金法2点以上、その他各科目3点以上
2020年44点以上、かつ各科目4点以上総得点25点以上、かつ労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法2点以上、その他科目3点以上
2019年44点以上、かつ各科目4点以上総得点26点以上、かつ社会保険に関する一般常識2点以上、その他科目3点以上
引用:厚生労働省

②クリアすべき受験資格は無いのか?

社労士を受験するためには以下のいずれか一つを満たさなければなりません。

スクロールできます
区分受験資格コード受験資格提出書類
学歴01学校教育法による大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学若しくは高等専門学校(5年制)を卒業した者又は専門職大学の前期課程を修了した者次のいずれかとします。(1)卒業証明書若しくは修了証明書又はその写し(2)卒業証書の写し(3)学位記の写し
02・上記の大学(短期大学を除く)において62単位以上の卒業要件単位を修得した者・上記の大学(短期大学を除く)において一般教養科目と専門教育科目等との区分けをしているものにおいて一般教養科目36単位以上を修得し、かつ、専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上の卒業要件単位を修得した者大学の成績証明書又はその写し
03旧高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科又は旧専門学校令による専門学校を卒業し、又は修了した者次のいずれかとします。(1)卒業証明書若しくは修了証明書又はその写し(2)卒業証書の写し
04前記01又は03に掲げる学校等以外で、厚生労働大臣が認めた学校等を卒業し又は所定の過程を修了した者厚生労働大臣が認めた学校等はこちら次のいずれかとします。(1)卒業証明書若しくは修了証明書又はその写し(2)卒業証書の写し※外国語の証明書の場合は、全文を和訳した文書を添付してください。
05修業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が、1700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した者次のいずれかとします。(1)「専門士」若しくは「高度専門士」の称号が付与されていることを証明する書面又はその写し(2)【試験センター様式】専修学校修了者受験資格証明書又はその写し<様式2>専門学校修了者受験資格証明書はこちら
14全国社会保険労務士会連合会において、個別の受験資格審査により、学校教育法に定める短期大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者(各種学校等)次のいずれかとします。(1)卒業(修了)証明書又はその写し(2)成績(単位修得)証明書又はその写し(3)カリキュラム等又はその写し(修業年限、授業時間数、授業科目数、必要単位数等が記載されているもの)
実務経験08労働社会保険法令の規定に基づいて設立された法人の役員(非常勤の者を除く)又は従業員として同法令の実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者【試験センター様式】実務経験証明書又はその写し
09・国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び行政執行法人(旧特定独立行政法人)、特定地方独立行政法人(旧特定独立行政法人)、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者・全国健康保険協会、日本年金機構の役員(非常勤の者を除く)又は従業者として社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者(社会保険庁の職員として行政事務に従事した期間を含む)
11社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人又は弁護士若しくは弁護士法人の業務の補助の事務に従事した期間が通算して3年以上になる者
12労働組合の役員として労働組合の業務に専ら従事(専従)した期間が通算して3年以上になる者
13労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者
試験合格06社会保険労務士試験以外の国家試験のうち厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者厚生労働大臣が認めた国家試験はこちら原則として、次のいずれかとします。(1)合格証明書又はその写し(2)合格証書の写し
07司法試験予備試験、旧法の規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験又は高等試験予備試験に合格した者
10行政書士試験に合格した者次のいずれかとします。(1)合格証明書又はその写し(2)合格証書若しくは証票又は会員証の写し
引用:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

受験する前に「学歴」「実務経験」「試験合格」のいずれかを満たす書類が必要です。

【押さえるべき】合格の可能性を左右する3つの要素

独学で社労士の合格を目指すうえでは、一人で勉強するとなると、それなりの苦労も。

早速ですが、一番気になるであろう「独学で社労士の勉強をする上で、重要になるであろう要素」について答えをまとめておきました。

【No.1】入門テキストを読む

社労士試験では、入門のテキストを読み込んで知識を最初に蓄えることをおすすめします。労働法基準法や労働衛生法といった法律科目が中心で、法学部や法学を学んだ人でも、理解しにくい内容が多いからです。

具体的には「安衛法」が難しく、十分な対策をしなければなりません。労基法の一部として捉えがちの内容ですが、毎年1題試験に出題されており、最近では難化傾向です。

試験に合格するためには基礎・基本が重要で、内容を理解するには入門のテキストが必要になります。

【No.2】演習問題でアウトプット

入門のテキストが理解できたら、演習問題をすぐに解き始めましょう。知識を覚えるだけでなく、演習問題を通して知識を定着させていきます。テキストを読んで理解したと思っても、実際は完璧ではないこともあります。

試験で問題が解けるようにするためにも、問題を解きながら自分が理解していないところや覚えていないところを確認しましょう。

同じ出版社の同じシリーズを使って対策するか、テキストと問題集が一体型になっている参考書がおすすめです。

【No.3】学習計画を綿密に立てる

試験勉強開始から試験日までの勉強スケジュールを必ず綿密に立てましょう。社労士試験の勉強時間は1,000時間が目安のため、1日に最低でも何時間勉強が必要なのか必ず計算してください。

注意点は一日の勉強時間を過剰に設定しないことです。土日なら長めの勉強も大丈夫ですが、平日の仕事終わりに4時間や5時間も勉強をするのは避けましょう。

また社労士試験では得意な科目よりも不得意な科目から勉強しなければなりません。試験では各科目に足切りが存在するため、総合点が高くても足切りで不合格になることもあります。

社労士の勉強を独学で進めるメリット・デメリット

独学で社労士に挑むことは、かなり苦労することはわかりますが、もちろん良いこともあります…!
もちろん「苦労する」などのデメリットがあることも事実ですので、その両面から社労士の独学について分析しました。

【分析】独学がメリットの理由

メリット① 学習費用が安くなる

1つ目のメリットは、学習費用が安く済むことです。社労士試験のために必要な教材(テキストや問題集、過去の問題集を含む)は、全部で約3万円です。

予備校や通信講座で受講した場合は、20万円かかります。(TACの場合)独学の約10倍もの費用が発生するため、お金がない方は独学がおすすめです。

万が一、独学に不安を感じて直前演習や模擬試験を受けたくなったら予備校のオプション講座で代用可能です。

メリット② 自分で教材を選べる

独学なら自分で自由に好きなテキストや教材を選べるため、内容が理解しやすいです。予備校や通信講座のテキストは向こうが決めて授業を行うため、自分に合わない可能性も。

教科書の内容で理解が遅れると、講義についていくのは難しいです。
独学なら自分で理解しやすい内容を選ぶため、内容の理解に時間がかからず、余計な時間をかけずに効率よく勉強が可能です。

ただし参考書をたくさん購入しても、成績は上がらないため、一度購入したテキストを最後まで使いましょう。

メリット③ 時間や場所を自分で決められる

独学では、自分の好きな場所で勉強ができるため、やる気のあるときに勉強がしやすいです。

予備校では、通学している方やオンライン講座を受講している方は、決められた時間に予備校や指定場所に行かなければなりません。

仕事や家事がある人には、時間に余裕がなく予備校に通うのは難しいです。独学ならスキマ時間に勉強が可能なため、仕事などと両立しやすいです。図書館やカフェはもちろんファミレスで勉強が気軽にできるのも独学のメリット。

【分析】独学のデメリットと対策法

デメリット① 効率的な学習ができない

独学が難しい理由は効率的な学習ができないためです。
社労士の試験範囲は広く、テキストをすべて読みこんで理解するには時間がかかり、非効率です。

また理解するべきポイントと後回しもしくは覚えなくて良い部分の区別が難しく、余計な知識だけ学習して満足してしまう危険があります。

社労士に独学で合格するには1,000時間の学習時間が必要です。1年間で合格を考えると、1日約3時間勉強しなければなりません。限られた時間で合格するには、効率的に勉強することが不可欠です。

※対策法※

効率よく学習する方法は、試験から逆算して勉強する方法です。試験に出題された内容や似た内容から理解すれば、テキストのすべての内容を理解する必要はありません。

過去の試験問題や予備校の予想模試を集めて、出題頻度の多い部分から勉強すれば勉強効率が上がるでしょう。
注意点は古すぎる試験問題は、法令が改正されて試験範囲外の知識になっているかもしれません。

デメリット② モチベーションの維持が難しい

独学での合格が難しい理由の2つ目は、モチベーションの維持が難しいことです。綿密なスケジュールを組んでも、やる気がなければ途中で怠けたり、諦めてしまうかもしれません。

予備校に通っていたら、講師の方に相談や質問をすれば解決できるかもしれません。独学だと、誰にも相談ができず自分ですべてを管理しなければなりません。

一度下がったモチベーションを回復するのは難しいでしょう。

※対策法※

対策法としては、友人やSNSで社労士に合格すると公言することです。誰かに言えば必ず後で誰かに聞かれたり、話題として振られたりします。

SNSで伝えれば、その投稿が誰かに伝わって仲間ができるかもしれません。
TwitterやInstagramで社労士の内容を検索すれば、必ず誰かが発信しているので自分から相手と仲間になるのもおすすめです。

デメリット③ 質問をする相手がいない

独学だと自分ですべての内容を理解しなければなりません。社労士試験の内容は難しく、予備校では、質問すれば講師の方がすべて解説します。

わからない部分をおざなりにすると、内容の理解だけでなく、関係する内容すべてが解答不能になります。

社労士試験はすべてマークシートですが、理解しなければ問題が解けないため、分からない箇所は予備校の講師に質問することが有効な方法です。

※対策法※

独学で社労士を目指す場合は、参考書の解答以外にインターネットの掲示板を利用するなどの対処法を取りましょう。

「社労士 独学」と検索すると、一部のブログで社労士に独学で合格した方法が書かれています。

ブログの管理人や掲示板、Twitter、Instagramを活用すれば、質問に答えてくれる人が見つかるでしょう。SNS上では、一部のユーザーが問題の解説を行っており、参考になる部分も多いはずです。

独学で効率良く勉強する方法とは?

最後に、独学で効率良く合格を目指すために!押さえておくべき、3つのポイントをまとめておきました。

ポイント① 教材の選び方

  • 図や表・イラストが多く用いられているか
  • シリーズ展開の有無
  • 問題演習が載っているか

テキストが辞書のように、文だけで解説されていたら、理解するのは難しいでしょう。内容を素早く暗記したり、理解したりするためには視覚的に理解した方がよいです。

またテキストと問題集が同じシリーズかどうかも大切です。

出版社によって社労士の内容の解説方法は違うため、必ず同一のシリーズを使いましょう。問題演習はできる限り試験本番に基づいた内容のほうが、効率よく試験対策が可能です。

ポイント② 情報収集を定期的に行う

試験に合格するためには、定期的に試験に関する情報収集が必要です。試験の内容は毎年変更され、試験範囲が大幅に変更された年もあるからです。

独学でも予備校と同様に情報を収集する方法があります。

社労士過去問ランド」と「社労士の独学合格ドットコム」では試験の過去問を入手可能です。
2つのサイトでできることは以下の通りです。

  • 過去問を利用した一問一答の練習(範囲順・出題順・ランダムから選べます)
  • 会員同士の交流掲示板
  • ライバルとのスコア勝負
  • 実践的テスト
  • 学習スケジュールの作成

試験勉強に必要な内容が集まっているので、ぜひ使いましょう。

ポイント③ 受験仲間を探す

同じ目標に向かう仲間がいると、モチベーションが下がっても助けてくれます。
社労士過去問ランド」や「社労士の独学合格ドットコム」では、演習問題で勝負が可能です。

お互いが競い合えば、自然とやる気が出て勉強に励みます。ほかにもTwitterやブログで仲間を募集すれば、最新の試験情報を入手できるかもしれません。

【考察結果まとめ】社労士試験の独学は難しいのか?

今回は以下のポイントについて、それぞれ詳しく調査結果をまとめました。

・そもそも独学で社労士の試験に合格できるのかどうか
・独学と予備校ならどっちが試験合格に効率的か
・独学者におすすめの社労士試験向け教科書や参考書
・社労士試験を受験するに当たっての必要な書類や資格
・独学で社労士になる方法と押さえるべきポイント

独学でのチャレンジはもちろん難しいですが、誰にでも可能性はあるので、ぜひ当サイトの情報も役立てながら、挑戦してみてください。

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